INTERVIEW
NEMOPHILA
2021.12.15UPDATE
2021年12月号掲載
Member:mayu(Vo) SAKI(Gt) 葉月(Gt) ハラグチサン(Ba) むらたたむ(Dr)
Interviewer:杉江 由紀
蒼く可憐なネモフィラは、その見た目とは裏腹に"success everywhere=どこでも成功"という花言葉を持っているそう。そして、次世代ガールズ・ロック・バンドとしてこのところ急激に台頭してきているNEMOPHILAは、まさにその名のごとく貪欲なスタンスで、ここからのサクセスロードを大爆走していくことが期待される存在となる。12月15日に発表される1stアルバム『REVIVE』の内容は、そのことを裏づける確かな仕上がりになっていると言っていい。2022年1月9日に控えているLINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)でのホール初ワンマン"REVIVE ~It's sooooo nice to finally meet you!!!!!~"も、当然のごとく要注目だ!
-NEMOPHILAはこのたび待望のアルバム『REVIVE』を発表することになりましたが、今回は激ロック初インタビューということでもありますので、まずはこのバンドの生い立ちについて少しお話をお聞かせください。なんでも、mayuさんが音頭を取り、セッション・バンドとしてスタートしたのは2019年夏のことだったそうですね。
mayu:最初のきっかけは、私がラウド系の音楽をやりたいなと思ったところからだったんですよね。スクリームを生かした女の子バンドってたぶんあんまりいないし、きっと面白いことができるはず! ということでメンバーに声を掛けていって集まったのが、この5人だったんです。
-当時、真っ先にmayuさんが声をお掛けになったのはどなただったのでしょうか。
mayu:まずはたむさんでした。といっても、別に前から知り合いだったとかではないんですよ。私が一方的に動画とか雑誌でたむさんのことを知っていただけの状態だったんですけど(笑)、思いきって誘ってみたんですね。
-突然の飛び込み営業をされたわけですね。すごい!
mayu:それなのに、たむさんからはまさかのOKを貰えたんですよ。ほんと良かったです。そして、その次に協力してくれることになったのは知り合いのツテで紹介してもらったSAKIさんで、そのSAKIさんが葉月さんも繋げてくれて、ハラちゃん(ハラグチサン)は私の専門学校のときの友達で、話をしたら"いいよ"って言ってくれました。
-なるほど。そのあとNEMOPHILAはセッション・バンドであったところから"バンド"になるわけですが、それはいつどのようなタイミングでのことだったのです?
mayu:バンドになるまでには、2回のセッション・ライヴをやったんですよね。その段階で本番はもちろんですけど、リハに入っているときにもいいフィーリングがあったし、だんだんとお互いのことを人として知っていくうちに、なんとなくみんなの中で"このまま一緒にやっていきたいな"という気持ちが生まれたんだと思うんです。2回のライヴが終わってそろそろバンド名を付けようか、っていう話し合いをしてNEMOPHILAという名前が決まったときに、5人の気持ちがカチッと固まって、そこで一気に雰囲気がバンドらしくなった感じがしました。
-ではここで、各メンバーがNEMOPHILAの一員として、"ここからどのようなことを成し遂げていきたいと思っているのか"を教えていただけますか。
SAKI:自分の場合はMary's Bloodというハード系のバンドも並行してやっているんですけど、NEMOPHILAに関してはmayuちゃんがさっき言っていたとおり、スクリームができるっていう特色を持っているので、それを生かしたガールズ・バンドって日本にはあんまりいないなぁ、と思って参加することにしたんですよ。私としては、この、ほかにいないようなNEMOPHILAの面白さをここからたくさん打ち出していけたら、もっと楽しくなっていきそうだな、と思ってます。
葉月:私はギターを始めたきっかけ自体が"バンドをやりたい"ということだったんですよ。しかも、好きでよく聴いていたのがARCH ENEMYとかCHILDREN OF BODOMとか、それこそデス・ヴォイスやスクリームがいっぱい入っていたようなバンドばかりだったので、mayuちゃんっていうヴォーカリストとやれるのはすごく嬉しいんです。だから、私としてはmayuちゃんの声に似合うようなギターの音を出していきたいので、できるだけ激しく重くいきたいなと思ってます。
-ということは。葉月さんが主に7弦ギターを使われていらっしゃるのは、その気持ちを反映してのことなのですか?
葉月:そうなんです、7弦はNEMOPHILAが始まってから使うようになりました。具体的に言うと、ヴォーカルのシャウトなんかは音域的にギターと被ってくるところが出てきやすいので、私はそれよりも下に行こうと思ったんですよ。ツイン・ギターでひとりは常に7弦っていう構成もそんなに多いパターンではない気がするので、バンドとしての特徴を出していくという意味でも私は7弦を弾いています。
むらた:私も葉月ちゃんと同じで、バンドはずっとやりたいなと思っていたんです。ただ、個人的には音楽性とか以上に一緒にやっていくならメンバーの人柄がすごく大事だなと思っていて、それで今まではバンドをやるというところまではなかなか踏み切れなかったところがあったんですけど、このメンバーと出会ったときには、"この仲間たちと一緒にやっていきたいな"と自然に感じることができたんですよ。
-たしかに、バンドは個の集合体ではありつつもひとつの団体ですものね。お互いに仲良く楽しくやっていくことができたほうがいいに決まっています。
むらた:だから、今私としては本当にmayuちゃんのおかげで素晴らしいメンバーと出会うことができたなぁ、ってすごく感謝してるんです。そして、いちドラマーの気持ちとしては"こざかしいドラム"が自分はもともと好きなんですけど(笑)、その中でも最も荒々しくてパワフルな部分というのを、NEMOPHILAでは前面に押し出していけたらいいな、と思ってますね。
ハラグチサン:私も、NEMOPHILAで弾いていきたいのは力強くて男らしいベースですね。女性バンドではありますけど、NEMOPHILAにはちゃんとした芯がありますし、アグレッシヴな音を出すことが大好きなメンバーが揃っているので、自分もバチバチなベースを弾いていきたいです。
-ところで、先日の配信ライヴでは「Blooming」でハラグチサンとmayuさんがツイン・ヴォーカルをとられる場面、さらに「Breaking Out」ではむらたさんとmayuさんがツイン・ヴォーカルをとられる場面もありましたよね。NEMOPHILAの仲睦まじい雰囲気はあの微笑ましい場面からもよく伝わってきたのですが、楽器陣とヴォーカルがともに歌うというアイディアとして発案されたのはどなただったのです?
SAKI:「Breaking Out」は、私とmayuちゃんで"たむさんに歌わせちゃおう!"って言ってああなったんですよ。ソロのシングルでも歌ってるしね。
mayu:そうそう。スクリームが多く入っている曲なので、"主旋律は誰かに歌ってもらわないとなぁ"となって"やっぱここはたむさんでしょ!"って決まりました(笑)。
むらた:歌いながら叩くとなると、リズムをちゃんと計算しながらやっていかなきゃならないので、逆にリズムをシビアに考えながら叩けるんですよ。そこはすごく勉強にもなってますし、いつも「Breaking Out」は楽しくやらせてもらってます(笑)。
SAKI:ハラちゃんも、昔バンドでヴォーカルをやってたそうなんで。「Blooming」は"じゃあ、ぜひ!"ってお願いしました(笑)。
ハラグチサン:歌ってたっていっても、そのバンドのときはまだ18歳とか19歳くらいだったし、急に当時のヴォーカルの人がアメリカに行っちゃって、仕方ないから残ったメンバーでひとりずつ歌ってみて消去法で私に役割が回ってきた、っていうだけの話だったんですけどねぇ(笑)。NEMOPHILAでも歌うってなったときはその件が一瞬ちょっとフラッシュバックしましたけど、あのときの経験が今になんとか生かせてるところもあるのかもしれないです。
-また、今回のアルバム『REVIVE』に入ってる「DISSENSION」や「雷霆 -RAITEI-」といった曲たちでは、メンバー全員がコーラスに参加されたりしておりますが、場面によって自分以外のメンバーも一緒に歌ってくれるという状況について、mayuさんはどのように捉えていらっしゃるのです?
mayu:あんまり深く考えたことはないんですけど、ライバル視? みたいなのをしてるところはまったくないです(笑)。むしろ、ライヴのときにみんなの声がモニターから返ってくるとテンションがめちゃめちゃ上がるんですよ。バトンを受け取ったような気持ちになれるというか、みんなの声を聴くことで自分もさらに精一杯歌いたい! みんなと盛り上がりたい! っていう気持ちになれるので、私としてはありがたいなと思ってます。
-わかりました。それでは、ここからいよいよアルバム『REVIVE』についてのお話をより深くうかがって参りましょう。先だっての配信ライヴでは、MCで葉月さんが今作について"血と汗と涙の結晶"と表現されていましたけれど、今回のレコーディングはそこまで過酷だったのですか?
葉月:レコーディング中、1週間くらいずっと自分のソロ・パートについてばっかり考えてた時期があって、何テイクも自分でボツにしながら苦しんで作ったので、それであのときはぽろっと"血と汗と涙の結晶"っていう言葉が出てきたんです(笑)。
-それだけ丹精込めて作った作品である、ということなのですね。なお、今回の1stアルバム制作にあたって事前にバンド内では方向性決めなどについて、どのような言葉が交わされていたのかもぜひ知りたいです。教えていただけますか?
SAKI:最初はここまでに出したシングルがすべて公式サイトでの販売のみだったんで、一般流通することになるアルバムにはその曲たちはまず全部入れたいよね、そうなると新曲は多くても3曲くらいになるのかな? という話をマネージメント側ともしていたんですよ。でも、やっぱりせっかくの1stフル・アルバムなんだし、途中からは"もっと新曲も入れたいよね"ということで新曲を増やした経緯がありました。とにかく、この1枚を聴いたら、NEMOPHILAってこういうバンドなんだなってことがわかるような作品にしたかったんです。
-それから、今作ではメイン・コンポーザーとして元LAST MAY JAGUARの秋山健介(Gt)氏が参加されていますが、バンド側から"こういうタイプの曲が欲しい"というようなオーダーを出したことはあったりしました?
SAKI:事前にみんなで"こんな感じの音が好き"とか、"ああいうのも好き"とか、"こういうこともやってみたい"って、いろんな意見を自由に投げるだけは投げました(笑)。その結果、各曲ができあがってきて"これいいですね"、"これやりましょう"ってその都度リハ終わりのスタジオに秋山さんが来てくれて、私たちとしゃべりながら選曲をしていった感じでしたね。