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INTERVIEW

THE FOREVER YOUNG

2021.09.28UPDATE

THE FOREVER YOUNG

Member:クニタケ ヒロキ(Vo/Ba)

Interviewer:荒金 良介

-MV「人間合格」ではバンドマンの1日を撮影してますよね?

今回は川口 潤監督に撮ってもらったんですけど、過去にbloodthirsty butchersの映画やMV、eastern youthの日比谷公園大音楽堂のライヴも撮られた方なんですよ。ずっと川口監督の作品を観てきたし、プロレスも好きなんですけど、葛西 純の映画"狂猿"も監督が川口さんなんです。"うわっ、好きと好きや!"って。

-俺の好きと好きがコラボしていると。

はい(笑)。映画"狂猿"も速攻で観に行って、めっちゃ感動して。社長とミーティングしているときに川口さんにお願いすると言われたときは、"うわーっ!"と思いました。人間らしいところ、その人らしさを切り取ってくれる監督ですからね。このMVは新宿ACB HALLでやったワンマンを撮ってくれたんですけど、モッシュやダイヴもなくて、そのなかで拳を上げている姿や、ステージに立つ変わらない俺たち......THE FOREVER YOUNGらしい姿を撮ってくれたので良かったです。

-あの映像を通して伝えたかったことは?

ライヴハウスは危ない場所と認識している人もいると思うけど、今のライヴハウスはこんな感じで、そこで生きているお客さんとTHE FOREVER YOUNGというバンドがいて、今だからこそ撮れた映像かなという。みんな音楽やライヴハウスが大好きで、そういう人がいろんなことを我慢しながら生きているんだぜ、というのがあの映像にギュッと詰まっているんじゃないかと思います。

-"証を見つける旅"(「人間合格」)と歌詞にありますが、これは冒頭曲「証」との繋がりを感じさせますが、やはりそういう意図で?

そうですね。「証」は直で語り掛けていて、最初の"ずっと 独りで寂しかったかい?"の歌詞は自分が言われたかったというか。自分が自分に歌って、涙が流れるような曲を作りたかったんですよ。この曲を作ったときもボロボロ泣きましたからね。"証"という言葉は存在証明という意味で、そこから証を取りました。コロナ禍でディープに考えたと言いましたけど、この曲を聴いてくれた人をみんなひとりにしない、それが俺たちの証だなと。"証を見つける旅"というのは、そういう旅のことなんですよね。

-なるほど。

"神様は キミを救ってくれたかい?"の歌詞も、神様とかおらんなぁと感じるから。周りの人が幸せじゃない状況を見ると......もしいたら、みんな幸せだと思うんですよね。

-"祈るその手を 今すぐほどけよ"、"終焉の鐘はその手で鳴らせ"(「証」)と歌詞にありますが、これも力強いメッセージになっています。

ひねくれているけど、誰かに期待しないほうがいいというか......神頼みとか言うけど、それで肩透かしを食らうよりも、自分の命は最後まで自分で握ったほうがいいなと。

-「証」もそうですが、前作以上に衝動感が詰まった楽曲が目立ちます。

"ギャー!"という感じですよね(笑)。歪んだ音で胸を鷲掴みにされる曲に影響を受けたので。ハードコア、青春パンクしかりですね。それを咀嚼して、ありそうでないバランスで届けようと思いました。

-切迫感のあるヒリヒリしたサウンドもあれば、明るいキャッチーな曲調もあり、「FELLOWS」、「HEY YOU!」、「ジェミニズ」は後者ですよね。特にロックンロール調の「HEY YOU!」は新鮮でした。

チャレンジというか、制作しているときに初期パンクを聴いていたので、その影響が大きいのかなと。THE DAMNED、福岡のTHE SWANKYSあたりすね。こうしたロックンロールはやったことがなかったけど、自分の根底にあるものだからやれるだろうと思って。

-ナカオさんが正式メンバーになり、バンド的に変化した部分もありますか?

めちゃくちゃありますね。僕は制作のときにギターのフレーズを口で言うんですよ、長嶋(茂雄)監督みたいに"ギューン! ギャーン!"みたいな(笑)。ナカオが入ることで、タカノのギアが入り、お互いに切磋琢磨して、こんなふうにコード変えましょう? と提案してくれるようになったんですよ。タカノは前作とは別人ぐらい変わりました。あと、バンドの空気も良くなりましたね。(ナカオは)27歳で一番歳下なんですけど、移動中の車内の会話も増えましたから。そういう意味でも今は楽しいです。

-今の4人体制だからこそできた曲は?

「ジェミニズ」のイントロはギターが印象的で、タカノが"これどうですか?"と持って来たんですよ。ギター・フレーズは4人体制になり、全曲良くなったと思います。いつもはコードを弾いて、その上にソロを乗せていたけど、それもやめたんですよ。結局ライヴで表現できないフレーズはやらずに、不必要なものを排除しました。不安もあったけど、今までのTHE FOREVER YOUNGとは全然違うものになりましたからね。

-ということは、楽曲もだいぶシンプルになりました?

そうですね。ギターやドラムもシンプルなところはシンプルに、テクニカルなところはテクニカルになっているので、そこはレベル・アップしたと思います。

-あと、「本当の私になりたい」も今作のキーになる楽曲だなと。ポエトリー調の語りから始まり、切実な思いを吐き出してますよね。

本当の自分ってなんやろうなと思ったんですよ。話は戻りますが、優しい人間になりたいと思い、日々生活するなかで友達や家族に気を使って優しくすることもあるけど、それって本当の優しさなのかな、偽善じゃないのかなと思って。自分に接してくれる人に対して、本当の自分をひとつでも見つけて、伝えたいという思いが強くなったんです。それをひとつでも多く見つけて、リアルな自分で人と接しないと、恩返しもできないから。

-大きな意味でラヴ・ソングとも受け取れますし、理想の自分に一歩でも近づきたいんだ、という思いの強さが伝わってくる内容です。この曲は唯一歌詞を掲載してなくて、そこにも特別な気持ちが込められているのかなと思いました。

最初にレコーディングしたときに感情が入らなかったんですよ。1stアルバム『THE FOREVER YOUNG』(2014年リリース)の「YOUR WRIST SCAR~キミのいつかの絶望を~」という曲は、当時泣きながらレコーディングしたんです。だから、この曲もそのときの気持ちを思い出してやりました。で、"本当の自分はこれだ!"と見つけられたんですよね。泣きながら思いを吐き出せるのが俺なんじゃないかと。歌詞を載せなかった理由は後づけになるんですけど、THE FOREVER YOUNGの歌詞とサウンドに心が重なった状態で聴いてほしくて。

-では最後になりますが、今作のレコ発ツアー("THE FOREVER YOUNG pre.「証を見つける旅」")が10月から11月にかけて行われます。どんな気持ちで回ろうと思ってますか?

まだどういう状況になっているかわからないですけど、今ライヴに来てくれる人たちはただならぬ思いで来てくれていると思うんですよ。ひとつのライヴに行くためにいろんなものを削っていると思うので、僕らも命の欠片をやるくらいの気持ちでライヴをやりたいですね。そうじゃないと、"ありがとう!"という気持ちは伝わらないと思うから。