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INTERVIEW

WITHERFALL

2021.03.08UPDATE

2021年03月号掲載

WITHERFALL

Member:Joseph Michael(Vo/Key) Jake Dreyer(Gt)

Interviewer:菅谷 透

-6~8曲目はどうでしょう? アコースティックな「Curse Of Autumn」から、「The Unyielding Grip Of Each Passing Day」を経て、アグレッシヴなメタル・ナンバー「The Other Side Of Fear」に変化していくまでの流れが個人的に気に入っているのですが、どのような狙いで構築しましたか?

Jake:ワオ、それは素晴らしいね! 気づいてくれたなんて最高だよ!

Joseph:そう、あれは間違いなく曲を作ったときの狙いだったよ。

-つまり、あの3曲は同時に書かれたものだということですか? 組曲みたいな感じで。

Jake:"組曲"。その通りだね。

Joseph:そう、"組曲"だね。ただ、俺たちの曲の書き方は効率的だから、だいたいどれも同じくらいの時期に書かれたものなんだ。あの曲、この曲とジャンプしながら作るからね。それで曲順が見えてきたころに"じゃあここのエンディングを書こう。次がこの曲だから"なんて話になる。曲のメインを書くのにあまり時間はかからないよ。Jakeが"ここのブリッジに16小節欲しい"なんて言ってくるとクレイジーになって、寝ている間も曲作りの幻覚を見るようなこともあるけどね(笑)。でも、曲のメインのパートはだいたいいつもかなり早くできるんだ。あまり考えこんで作っているわけじゃないからね。ひとりでにできる感じだ。だけど"早く"と言っても、俺たちの1日の仕事時間は16時間くらいだからね(笑)。

-(笑)

Joseph:昼間だけ作業してお開きにして、あとはリラックスして映画でも観に行く......という感じじゃないんだ。16時間ぶっ通しで仕事してから気を失ったように眠って、起きて、コーヒーを飲んで、また作業に入る。

-その過酷な仕事ぶりが、アルバムの激しさに繋がっているのかもしれないですね。ちなみにこの"組曲"は3つに分かれていますが、「...And They All Blew Away」みたいに、ひとつの15分くらいの曲にしようと思ったことはありますか?

Jake:いや。実はその話をしようと思っていたところなんだ。さっきの"組曲"仕立てに気づいてくれたのは素晴らしいことだと思う。3つ聴くと流れがあるというのは、完全に意図してああしたことだったからね。そのヒントはQUEENまで遡る。QUEENは曲順を決めるときに、全部通しで聴くとひとつの曲になるような仕掛けをすることがよくあったからね。「The Other Side Of Fear」は、実は『Nocturnes & Requiems』(2017年リリースの1stアルバム)のころに書いた曲なんだ。少なくとも一部はその時代に書いたけど、完成させたのは『Curse Of Autumn』だった。それから「The Unyielding Grip Of Each Passing Day」も、一部は『A Prelude To Sorrow』のころに書いたけど、当時は「The Other Side Of Fear」に使おうとしていたんだ。そして今回『Curse Of Autumn』ができた。みんなそれぞれどこかで繋がっているから、"Curse Of Autumn組曲"とでも呼べると思う。この3曲をまとめるというのは常に頭の中にあったから。

-「The River」は聴く者の感情を揺さぶるようなバラードです。YouTubeで公開されたMVのコメントによると、Josephの亡くなったお父様についての楽曲とのことですが。

Joseph:そうだよ。――子供時代、おじの土地にフィッシング・スポットがあってね。セント・ローレンス川の上流で、夏になると毎週行っていた年もあった。祖父、おじ、いとこ、親父と一緒にね。親父のお気に入りの場所だったんだ。遺灰もそこに撒いた。歌詞に"Kneel upon the shore / Cast me into eternity(岸辺にひざまずいて/俺を永遠へと投げ込んでくれ)"とあるのはそういうことなんだ。

-なるほど。

Joseph:後悔と懺悔の歌だね。親父が亡くなったのは9.11(同時多発テロ事件)のあとだったからフライトのルールが変わってしまって、俺はIDを持っていなかったせいで(飛行機に乗れず)実際の散骨には立ち会えなかったんだ。実はこの話を、今朝マネージャーにしていたんだ。"「The River」の話は覚えてる。デュッセルドルフ(ドイツ)にいたときに、「川に行く。そして"The River"というタイトルの曲を書くんだ」と言っていたよね?"と言われたよ。タイトルはまさにそこから来た。死について曲を書こうとは思っていたけど、具体的にどういうふうに書くのかは見当がつかなかったから、川で誰かを溺死させるとか、そういう曲になるのかなと思っていたんだ(笑)。もとのヴィジョンはその程度だったんだよね(苦笑)。

-(笑)

Joseph:そんなある日の朝、俺はシアトルにいてSANCTUARY向けの曲に取り組んでいた――SANCTUARYのメンバーがこのインタビューを読まないといいけど(笑)――俺はSANCTUARY向けの曲を書く予定で、朝6時か7時くらいに彼らのレコーディングが行われている納屋に向かっていた。そこにJakeからボイスメモが入った。こいつが電話に向かってプレイした、ちょっとしたコード進行だった。それを聞いたら思わずノート・パソコンを落としかけたよ。というのも、それが流れた瞬間、この曲は親父についてのものになるって確信したんだ。俺はパソコンを下ろして、納屋に駆け込んで、自分の携帯に向かってファッキンなメロディをハミングし始めた。Jakeが送ってくれたコード進行を俺のメロディに合わせるには、コードを分解しないといけなかったけど、送ってもらったコードで"川の歌"の内容がひらめいたんだ。

-Jakeはコードを送ったときに、Josephのお父様の曲になるなんて思いもよらなかったんですよね?

Jake:まったく思わなかったよ。あの曲は新しいアコースティック・ギターを手に取ったときにコード進行がひらめいたんだ。で、ボイスメモに入れたんだけど、バックにうちの猫の鳴き声も入っちゃってさ(笑)。しかもそこに俺の親父が鍵を置きに部屋に入ってきた。その鍵のガチャガチャした音も入っちゃって、ちょっと変な音源だったんだ。それからデモの段階で作った音源は実際の曲にとても近いものだったけど、結構複雑なことをやっているんだ。なのにとても自然体でできた。トラッキングは一番難しい曲のひとつだったけどね。Josephはデモの音源を忠実に再現することにこだわっていたんだ。ヴァース、コーラス、ギター・ラインを俺が最初に書いたときは、こういう曲になるとは思わなかったよ。というか、17分くらいの曲になるんじゃないかとまで思っていたんだ(笑)。でもJosephが作ったものを聴いたら、これは素晴らしいと思った。その時点では、ふたりの中でこの曲がどういう方向に行くのかがはっきりしていたんだ。そこからは一緒に作業して、コーラスやソロを作った。そんなところだね。"シンプルで複雑"な曲なんだ(笑)。

Joseph:Jakeがギター・パートを送ってくれて、俺がメロディ・ラインとか、あちこちにビートを足すとか、そういう作業を始めたときは、カットした音のコピペを繰り返して作ってたんだ(笑)。そうしたら、拍子が変わるときの感触が変になってしまった。でも聴くとすごく辻褄が合うんだ。譜面で見ると"いったいどうなっているんだ?"と思うけどね。あの曲でもうひとつクールだったのは......Jakeも"初めは20分のクレイジーなプログレの壮大なシロモノになるんじゃないかと思っていた"なんて言っていたけど(笑)、アレンジを終わらせてヴォーカルのデモを作る段階になったとき、曲の後半が自然にこうなっていったんだ。お互い顔を見合わせて"これはビッグなロックのエンディングになるぞ"と確信したよ。GUNS N' ROSESみたいなファッキンに素晴らしいものにね。まるで天の声があったみたいな展開だったよ。

Jake:たしかデモのGUNS N' ROSES的な展開ができたところでいったん中断して"よし、次の曲に行こう"ってことになったんじゃなかったかな。そのあとどうするかなんてわからなかったよ(笑)。ともあれ、あの曲は最近リリースしたばかりで、評判もとてもいいんだ。アルバムの中でもメロディックなハード・ロックだよね。

-Josephのお父様も天国で喜んでいらっしゃるでしょうね。

Joseph:ああ、そうだといいね。――曲はシンプルだけど内容はすごくオタクなんだ。メロディとコーラスは、クリーンなセクションではJakeがプレイしている上でポリリズムを奏でているし、ディストーションのセクションではJakeが拍子を変えてポリリズムになるんだ。すごく不思議な構成だよ。

-たしかに聴けば聴くほど発見がある、癖になるような曲ですよね。さて、このアルバムが3月にリリースされたら、秋にはEVERGREYやDUST IN MINDとEUツアーがあります。今話題にするのは時期尚早または難しいと思いますが、他の活動予定はありますか?

Jake:いや。Josephと俺は近いうちに新作用の曲を書き始めるんだけどね。曲を書くのはふたりとも大好きだから、とにかく書き続けるよ。今はツアーするのがとても難しい状態だから、MVをもっと出すんだ。ツアーが無理だからそれがプロモーションになるね。

-実はMVについても少し訊きたいと思っていたんですよ。怖いものもあれば楽しそうなものもあって、MVでも多彩な面を見せていますね。

Joseph:うん。みんなに"これはなんだ?"と思わせ続けたいんだ。それは確かだね(笑)!

Jake:俺たちはGUNS N' ROSESの昔のMVみたいなのが好きだしね。

-ビデオはビデオで独特の世界があって、それも面白いです。

Joseph:そのとおりだね。各曲に独自の世界がある。俺たちのこのバンドに対する見方も同じなんだ。俺たちはひとつのジャンルだけに当てはまるタイプじゃないし、やっている音楽のスタイルもひとつじゃない。ヴィジュアル面での表現もそれにマッチしていると思う。ビデオのスタイルに一体感があるわけじゃないからね。

-ですね。いつも驚かされます。これから新曲を作るということで、もっとサプライズを期待しています。その前にもろもろの状況が整って、日本に来られるようになって、みんなでワインを飲みたいですが(笑)。

Jake:(笑)まったくだよ。待ちきれないね。日本はツアーで行くのが好きなところのひとつだし。ただぶらぶらしているだけでも楽しいんだ。いつもみんな温かく歓迎してくれるし......(※Tシャツのロゴを見せながら)これは日本のヘヴィ・メタル・バーのTシャツなんだ。

Joseph:今も動画を取っておいてあるよ。みんなで酔っ払っていたときのね。

Jake:早く日本に行きたくてたまらないよ。日本は素晴らしい国だ。

-今おっしゃってくださったことと重複してしまうところもありますが、最後に日本のファンへメッセージをお願いします。

Jake:一刻も早くパンデミックが終わってほしいね。そうしたらそっちに行って美しい国を見れるし、みんなみたいな素晴らしい人たちのためにプレイすることができるから。日本でプレイするというのは俺たちにとってとてもスペシャルなことなんだ。すごく心が繋がっている気がするし、日本のファンも俺たちの音楽に共感してくれていることが嬉しいよ。こういうインタビューをやるときもいつも心からワクワクするんだ。レコード会社とのやりとりもそうだけど、日本と何かやれるってだけでワクワクするんだよね。日本のソニーが俺たちに来てほしがっていると聞いて本当に嬉しかったんだ。アリガトウ!

Joseph:ソニーのオフィスにワインを送ったんだけど届いた? 郵便物係の人が飲んじゃってないよね(笑)? (※グラスを掲げながら)また乾杯したいよ!