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INTERVIEW

YOU ME AT SIX

2021.01.18UPDATE

2021年01月号掲載

YOU ME AT SIX

Member:Josh Franceschi(Vo)

Interviewer:山本 真由

-ちなみに、先月Twitterに若い頃の写真と今の写真の比較をアップしていましたが、音楽性とファッションの変化がリンクしていて面白かったです。また、リアクションを見ていると、バンドだけでなく、ファンも一緒に成長してきた歴史が感じられて素敵だなと思いました。

(笑)ほんと、正直言って素晴らしいことだと思うよ。結成当時からファンがついてきてくれる、こういう立場になれてとてもラッキーだと感じるね。素晴らしいことだよ。そうありふれたことではないこともわかっている。それに、バンドとして7枚目を出せる状態というのもなかなかないことだし、しかも、10年以上も積極的に僕たちの音楽を聴いてもらえるというのはね。そういう意味でも僕たちは特筆すべき場所にいると思う。そう、ああいう昔と今との比較みたいなのはいつも楽しいよね。ファンも楽しんでくれているんだ。いいことだし、なかなかないことだと思う。友達のバンドも多くが出てきては去っていったけど、その間も僕たちはバンドとしての形を維持することができたし、今でもやっていけるのはとてもラッキーだよ。

-メンバーもお互いにずっとついてきていますよね。1stアルバム『Take Off Your Colours』(2008年リリース)から変わらぬメンバーで活動を続けていますが、メンバーとはどうやってバンドの方向性や好みを共有しているのですか? 意見が分かれてしまうこともあるのでしょうか。

人生には、健全なディベートがあることがすごく大事だと思うんだ。それがあるからこそ、人間としてもアーティストとしても成長できるからね。いつも意見が合っているわけじゃないし、別の人間が言っていることに常に耳を傾けているわけでもない。でも、それって自然なことだし、人生ってそんなものじゃないかな。僕たちは本当にたくさんのことを一緒にやってきたけど、それはそれだけの信頼があってのことなんだ。僕が何かをすごく強く信じていて他の誰かも別の何かをすごく強く信じている場合、相手を信頼して、そいつが言っていることが正しいと考えてついていく必要があるときもある。ユニットとしてとても長い間やっているから、友人としても人間としても一緒に成長していくという選択肢以外ありえないんだ。

-なるほど。では、今作の話に戻りますね。まずタイトルですが、"Suckapunch"の意味について教えてください。これは造語なんでしょうか?

"Suckapunch"というのは、何か予期せぬことや、ショッキングなことに遭遇することを表現した言葉なんだ。"うわ、Suckapunchだな"というのは、起こると思っていなかったことに遭遇したときの様子を要約しているんだよ。

-"Out of the blue(青天の霹靂)"みたいなものですか。

その通りだよ。

-「MakeMefeelalive」のビデオであなたがいきなり殴られますよね。ああいうのをSuckapunchというのでしょうか。

そうだね(笑)。

-あのビデオは興味深いのでのちほどまた質問しますね。今回は、作業に打ち込むためにタイに行ってレコーディングをしたということですが、なぜタイだったのですか? また、現地で何かサプライズや影響はありましたか?

タイでレコーディングすることにしたのは、使ってみたいスタジオ(Karma Sound Studios)があったからだったと思う。とにかく日常生活から"アンプラグド"したかったんだよね。あのままイギリスにいたら、"今週末は実家に帰るよ"とか、友達やパートナーが入れ代わり立ち代わり来ていただろうし、どこかに逃避したかったという気持ちを全員が持っていたんだ。

-イギリスとは全然違いそうですからね。

うん。全然違うよ。

-それまでにタイに行ったことはありましたか?

いや。バンドとしてはなかったね。初めて経験できて良かったよ。

-いろんな驚きがあったのでは?

もちろん。現地は漁村のカルチャーがあったしね。タイの人たちはみんな心がきれいだなと思ったよ。振る舞いが良くて、とてもピュアで。歓迎されているなと思ったね。ありがたかったし、あの場所で過ごす時間ができて良かったなと。スタジオの人たちともコミュニケーションできたしね。本当にスペシャルな経験だったな。バンドとして行けて本当に良かったよ。

-今作も、6人目のメンバーとも言われているDan Austinが、プロデューサーとして参加しているのでしょうか?

うん。

-彼はバンドにとってどんな役割ですか? 例えば、前回と役割が違うなど、変化はありましたか?

いや。でも、今回はお互いを知る過程を飛ばすことができたから、それで時間がたくさん節約できたね。お互い何を期待できるかよくわかっていたし、どうやったらベストな結果を得られるかもわかっていたから。彼は僕たちからベストなものを引き出すのがとてもうまいんだ。僕たちひとりひとりのことも理解してくれているし、自分たちのやっていることに自信も持たせてくれる。そういう意味でも、スタジオにいるときには僕たちの延長線上に彼がいるような感じなんだ。彼とは曲を作ったり、レコーディングをしたりしやすいね。なんでも提案してくれるし、僕たちが作りたいものを形にすることに心からフォーカスしてくれて、僕たちのアイディアやヴィジョンを実現してくれるんだ。そのためにものすごく力を注いでくれるしね。お互い出会えてラッキーだったよ。彼も僕たちみたいな、長期にわたって一緒にやれるバンドを探していたからね。僕たちもアルバムを作るごとに組む相手を替えるのに疲れてしまっていたし......正直言って今は彼以外には考えられないよ。才能のあるプロデューサーは山ほどいるけど、YOU ME AT SIXが他の誰かと組んでアルバムを作っている姿が想像できない。理想の相手を見つけたから、その必要がないんだ。

-"6番目のメンバー"と呼んでいるくらいですから、パーフェクトな組み合わせであることが想像できます。彼がプロデューサーでなかったとしても、一緒にいられる相手なのでは?

それは間違いないね。人間同士としてもすごく馬が合うんだ。

-今作で、新たに取り入れたことや、チャレンジしてみて良かったと思うことは?

今回はドラマーのDan Flintのベッドルームにもうひとつスタジオ機能を作ったんだ。他のメンバーがレコーディングしている間、僕とDanはふたりだけで、その部屋で「Our House (The Mess We Made)」(2020年2月リリースのシングル)と"What you're doing right now"を......。

-あの、Track.4「WYDRN」というのは"What you're doing right now"の略なんでしょうか?

そうそうそう。それだよ(笑)。

-そうなんですね。聞こうと思っていたので。

他にも当てていた人がいたよ(笑)。あの曲はスペシャルだったな。部屋に入って、"さぁどうする? のんびりリラックスするか、それともこのスペシャルな場所で過ごしている時間を有効活用して、一緒にクリエイティヴなことをするか"という話になってさ。「WYDRN」は朝4時くらいに書いた曲なんだ。そういうこと自体がユニークな経験だった。そんな時間まで起きて曲を書いていたことなんてなかった気がする。通常はプロデューサーが夜8時くらいにお開きにして、そのあとは昼まで寝ているとかしていたからね。午後2~3時まで仕事を始めない日もあった。その日やりたいことや、気分によってスタート時間を変えていたんだ。今回はとてもエキサイティングだったね。

-今作では多彩な楽曲だけでなく、幅広いヴォーカル表現にも驚かされますが、何か特別なトレーニングは行ったのでしょうか? どうやって声を進化させたのでしょうか?

正直言って何も......(苦笑)。人によっては"ヴォーカル・コーチについて長い時間練習した"とか、あれをやったこれをやったと言うのは知っているけど、僕の場合はたまたまこうなっただけなんだよね。例えば、「MakeMefeelalive」みたいな曲のときは、ヴォーカルが曲のエネルギーや、怒りを反映していないといけないことがわかっていたんだ。これが終わるまでにマイクに自分の心を吐き出さないと、みたいな感じだったね。特に何かトリックを使ったわけじゃなくて、曲の流れについていっただけなんだ。「Glasgow」はクリーンな感じだから、声もそうする必要があると思ったし。シンガーとしての多様性を見せることができているんじゃないかな。そういう意味では進化できたのかもしれないけど、そのために何か特別なことをしたわけじゃないんだ。

-前回よりいろいろな意味で集中して取り組めたから、人間としてもシンガーとしても成長したのかもしれませんね。

ありがとう。

-「MakeMefeelalive」のミュージック・ビデオは、右目と左目で見ている景色が違うという面白い作品でしたが、なぜこのような試みを?

(笑)あれは監督のアイディアでね。メンバーから出したリクエストは、視力(ヴィジョン)を失った状態を、言葉遊びみたいな感じで、"ヴィジョンを失った"ということにしたかったんだ。政治家たちや、階級社会が統制力を取り戻していることに不満を感じて、社会の中で自分を見失ったみたいな感じの喩えとしてね。「MakeMefeelalive」のビデオではそんなエッセンスを捉えようとしたんだ。だから、あのビデオの中での僕は視力を失って、最後にそれを取り戻している。自分の視野や考え方をね。

-なるほど。それで、ビデオの最後で目玉をまた入れると視界がはっきりするんですね。

そう、その通りだよ。あとビデオの中に顔のない人というか、仮面を被った人が出てくるけど、あれは"自分の敵がどんな姿をしているか、常にわかるとは限らない"という意味なんだ。

-はっ......なるほど。

そんな感じで、あのビデオにはいろいろ裏に意味が隠されているよ。監督は素晴らしい仕事をしてくれたと思う。画面を2分割して表現するなんて今までなかったんじゃないかな。作るのもすごく楽しかったし、僕もスタントマンと仕事をすることができた。あれは"はい、キッチンでちょっとケンカして"みたいな演出とはちょっと違ったんだ。エキサイティングだったし、新しいチャレンジでもあったし、やってみてとても楽しかったよ。

-2021年5月からは欧州ツアーが予定されていますが、どのようなショーになりそうですか? まだ先のことを考えるのは難しい状況ではありますが、日本でのライヴは実現できそうですか?

日本にはぜひまた行きたいね。早ければ早いほどいい。残念ながら今の状況は、来年欧州ツアーを予定してはいるし、実現することを願っているけど、本当に実現するかはまだわからないってところなんだ。各国の政府によるコロナ対策の動きに対して臨機応変に判断していくしかないよね。

-そうですよね......あるいは欧州ツアーを日本や、遠方から来られないファンのために配信を行うのもいいかもしれませんよ。

それもいいね。その前に、実はアルバムが発売される週にライヴ・ストリーミングができないか、いくつかの配信会社と検討しているところなんだ。実現したら最高だよね。世界中の人に観てもらうことができるし。

-最後に、日本のファンへメッセージをお願いします。

日本のファンのみんな、いつも応援してくれてありがとう! 日本のみんなのエネルギーや、恐れることを知らない音楽愛が恋しいんだ。早くみんなと会えるのを楽しみにしているよ!