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INTERVIEW

DARK TRANQUILLITY

2020.12.17UPDATE

2020年12月号掲載

DARK TRANQUILLITY

メンバー:Mikael Stanne(Vo)

インタビュアー:菅谷 透

-ここからはいくつかのトラックについて質問します。アルバムからの第1弾シングルとなったTrack.1「Phantom Days」は、ツイン・リードのメロディが美麗な、まさに新体制を告げるようなトラックです。この曲について詳しく教えていただけますか?

たしか初期に書いた曲のひとつじゃなかったかな。少なくとも、最初に完成した実感を得られたのがこれだったんだ。何かを失いそうなのにその覚悟ができていなくて、まだその"何か"がそこにあるような気がしている状態を歌っている。あって当たり前だと思っていた何かを失おうとしていて、その状態にどう対処していくかについてだね。今の状態にとても合っている気がするから、アルバムの冒頭に置いたり、第1弾シングルにしたりするのに相応しい曲だと考えたんだ。それに自分たちが今までやり慣れていたものにストレートに繋がっているから、そういう意味でも最初のシングルとして適切だと思う。リスナーが"よし、期待を裏切らないぞ"という感じに聴いてくれるだろうし、同時に新しい要素もいろいろ入れてあるからね。

-ということは、この曲がアルバム全体のムードを決定づけたような感じなのでしょうか?

そう思うよ。

-第2弾シングルのTrack.3「Identical To None」は、叙情的なメロディと中盤のトレモロ・フレーズが印象的なファスト・チューンです。先行公開された際も好意的なコメントが多く寄せられていましたね。

(※照れながら)そうだね(笑)。もちろんすごく誇りに思っているよ。俺たちのファンはずっとついてきてくれているんだ。年々ありがたみが強くなっているよ。この曲はきっと好意的にとらえてもらえるだろうという自信があったね。ちなみに今日(※取材日は10月30日)第3弾シングルの「The Dark Unbroken」を出したから、いっそうワクワクしているよ。あの曲はちょっと毛色が違うから、コメントも興味深く見ているんだ。"これは今までとは違うな"とかね。この曲はアルバムの中でも別の面を見せていると思う。他よりエモーショナルでメロディックで。

-このアルバムの多面性が出ている曲だと思います。テーマはなんでしょう?

それは......(※しばらく言葉を選んで)ダイバーシティかな。物事をその本質じゃなくて、自分が期待していたものとの違いで見てしまいやすいことについて。自分にとって異質なものや違和感を覚えるものに出会った途端に、人間は本能的に反応して、個体ではなくグループとして見てしまうんだ。個々の出来事よりもパターンが見えるようになってしまう。そういうのは人間の本質みたいなものだと思うけどね。安全を確保するメカニズムというか。ゼノフォビア(※排外主義、狭義では外国人嫌いを意味する)みたいなものだね。ユニークでスペシャルなものというよりは、脅威として扱われてしまうんだ。異質なものに遭遇したとき、人はそれに恐怖を覚えるか、あるいは自分とは違うものだということを受け入れるのに時間がかかってしまう。悲しいことだよね。それが人間の性ではあるけれど、それじゃいけないことを理解して前に進むべきなんだ。でも、そういう集団心理や同族ファーストな考え方がどんどん強さを増してしまうことがある。そんな状態に遭遇するとつい考えてしまうよ。

-Track.7「Ego Deception」は、ソリッドなリフからクリーン・ヴォーカルが引き立ったパートへの移り変わりが美しい楽曲ですね。

あれはJohanが書いた曲で、変拍子を使っているところに惹かれたんだ。プログレッシヴなエッジが効いていてね。ヴァースとコーラスのコントラストを際立たせるところが挑戦だった。コーラスに向かうところはとことん激しくやって、そこからグッと引いて全然違うことをやる。一番長い間取り組んだ曲のひとつだね。とにかくしっくりくるコントラストを作るのに苦心したんだ。どこか改良の余地がある感覚がずっと続いていたけど、いつかは解決できるだろうと思っていた。なんとかうまくいったと思っているし、個人的にもすごく気に入っているよ。ああいう際立ったものを作れたのは良かったね。

-ラスト・トラック「In Truth Divided」は、全編クリーン・ヴォーカルでメランコリックなサウンドの楽曲になっています。この曲についても教えていただけますか? アルバムを聴き終えたあとの感触がユニークになる気がします。

それが狙いだったんだよね。アルバムの始まり方と終わり方を、まったく違うものにしたかったんだ。シンプルなピアノで始まったあとの展開をいろいろ考えた。パワー・バラード的な、超ヘヴィなトラックにすべきかとも思ったけどあまりしっくりこなくて、もっとエレクトロニックでゆったりとした、エモーショナルなヴァイブを目指すことにした。この曲にも時間をかけたね。この曲でアルバムを締めくくりたいと思ったし、何より俺たちに合ったものにしたかったから。他の曲と比べて突出させすぎずに、同じフィーリングがあるものを作るのが一番大変だったよ。この曲は、情報を本来とはまったく異なる形で利用するのが今はいかに容易いことかということを歌っているんだ。俺はテクノロジーを愛する者として、情報も大好きだ。情報の探し方も、いい利用の仕方も知っている。教養と知識をくれる素晴らしいものだと思う。今は誰もが同じものにアクセスできるから、情報収集もずっと楽になっているはずだろう? 全員が同じ普遍的な事実にこだわるべきなのに、現実はその反対だよね。自分が信じたいもの、耳に入れたいものを選んで、それがその人の真実になってしまう。それは別の人の真実とはまったく違うものだけど、なぜかどれも論理的なことになっていて、それに異議を申し立てられる筋合いはないらしい。どれも正しいんだと。それもいいけど......自分の意見やものの見方を持つのは大事なことだけど、異議を申し立てられる心の準備はしておくべきだね。自分の主張を裏づけられないのは問題だと思うよ(苦笑)。でも、実際はそれが日常茶飯事だよね。事実をすべて集めていないのに、意見だけが強いっていうリアルをここでは表現しているんだ。特にインターネット・カルチャーではその傾向が強いね。同じ現実や事実に基づいて、ふたつのまったく違う意見が同時に存在することが可能なんだ。そして、その現実の様々なバージョンが生まれてしまう。そういう現象を見るたびにびっくりしてしまうんだ。その人が持っているモチベーションがあまりに強いから、事実を見過ごして、自分の考えや信条、自分の支持する政党の主張、自分が確信していることだけに固執してしまう。そうなると何もうまくいかないよね。

-まだ困難な状況ではありますが、リリース後の活動予定について教えていただけますか?

今は何もブッキングできないんだ。これから何が起こるかわからないしね。ツアーの予定はいろいろあって、キャンセルされたものもあればまだ生きているものもあるけど、実現するかはそのときまでわからないし......今は状況をしっかり見て、いつまたツアーに出られるかを慎重に見極めないといけないけど、みんなが安心してライヴに来られるようになるまではできないね。しばらくかかることは確実だ。それまでは他の方法を考えようと思うよ。ということで、ストリーミングでコンサートをやるんだ。11月21日、アルバム発売(海外盤)の翌日だ。いつもアルバム発売日当日にツアーをスタートさせるから、今回もそうしようという話になってね。ツアー初日みたいな扱いでショーをやるつもりだよ。プロダクションもフルにやって、クルーもみんな揃えてね。やっと仕事させてあげられるよ(笑)。もう1年くらい働いてないからね。通常とまったく同じ形でショーをやるんだ。新作からは全曲演奏するつもりだよ。絶対超クールなものになるだろうし、俺自身ものすごく楽しみにしているんだ。今はそのリハーサルや準備をしている。なんらかの形でみんなに近くなれるからクールだよね。少なくとも現時点では、それが一番みんなに近づく方法なんだ。ただ、誰もいないところで演奏しないといけないってのはちょっとフラストレーションになるけど(苦笑)。少なくとも頭の中ではみんなの姿を思い描いて、自分がみんなの前に立っている姿を想像してムードを作ろうと思う(笑)。とにかく楽しみにしているんだ。その次のショーがいつになるかは分からないけど。

-ストリーミングのライヴは初めてですか。

もちろんだよ!

-では、そういう意味でも楽しみですね。

それは間違いない。素晴らしいスタッフたちと仕事ができているから安心感もあるし。ちなみに、会場は「The Dark Unbroken」のビデオを撮ったのと同じ場所なんだ。あれがテストみたいな感じだったんだよね。あれがゲネプロで、次が本番なんだ。

-前身バンドを含めて、今年で結成31年を迎えました。活動当初から現在に至るまで、メロディック・デス・メタルのスタイルを定義づけるような存在として活躍していますが、長きにわたって活動を続けられた秘訣はなんだと考えていますか?

秘訣なんてあるのかな(笑)。でも、俺たちは今でも心から楽しくやっている。もちろん曲を書くときはいつもチャレンジングだけど、ツアー先で出会えるファンたちとの交流やステージでの会話は他では絶対手に入れられないものだし、最高の出来事だと思っているんだ。なかったら生きていけるかわからないぐらいにね。このバンドをやっていると、素晴らしいことが本当にたくさん起こるんだ。その要因はこのバンドだから、この音楽だからというだけじゃない。だからこそ、もっと頑張ろうという気持ちになれるんだ。あとはこのバンドが表現の窓口になっていて、ネガティヴなエネルギーや考えを発散させる場というのもあるね。俺にとってはなくてはならないものなんだ。心から楽しめているからどんどん前進したくなる。だからいいのかもしれない。パフォーマンスもツアーのやり方も、年を追うごとにいい状態になっているよ。

-最後に日本のファンへメッセージをお願いします。

日本もファンのみんなのことも、心から恋しいんだ。最後に行ってからもう5年くらいかな? そんなのまったくクールじゃないよね。絶対にまたそっちに行って、フェスだけじゃなくてコンサートもやりたい。その日が今から待ちきれないよ。というか、それができないのが一番つらいことだね。早く日本でみんなに会って、一緒に過ごしたり、想像を絶するくらい素晴らしいオーディエンスの前でプレイしたりしたいと思っているんだ。――イエス、実現させるよ。その日まではぜひアルバムやストリーミングを楽しんでくれ!