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INTERVIEW

工藤晴香

2020.09.30UPDATE

2020年10月号掲載

工藤晴香

インタビュアー:宮﨑 大樹

次世代ガールズ・バンド・プロジェクト"バンドリ!"のリアル・バンド、Roseliaのメンバー(氷川紗夜/Gt)としても活躍している声優 工藤晴香。彼女が、ソロ・アーティストとしての2ndミニ・アルバム『POWER CHORD』を完成させた。本作の音楽制作は、デビュー作『KDHR』に引き続き、PassCodeのサウンド・プロデューサーとしても知られる平地孝次が担当。エレクトロニコアを土台としたアグレッシヴなサウンドは、激ロック読者の心もガッチリと掴むはずだ。こんな時代だからこそ"希望"をテーマにしたという本作について訊いた。

-激ロックでは次世代ガールズ・バンド・プロジェクト"バンドリ!"のリアル・バンド、Roseliaのメンバーとしてインタビューに登場していただいていますが、ソロ・アーティストとしては初登場ですね。Roseliaの工藤さんと、ソロ・アーティストの工藤さん、それぞれの活動で心掛けていることは、やはり違うものですか?

声優の工藤晴香としてバンドをやっていたり、キャラクターを演じていたりするときは、やっぱりキャラクターが主体なので役を演じるっていうことは心掛けていて。自分だったらこうするけど、このキャラクターはきっとこういうことをするんだろうな、だったらこっちをしようっていう感じで、キャラクターがメインなんです。だけど、工藤晴香としてソロになった場合は、私自身がやりたいこと、伝えたいこと、表現したいことが前面に出ているっていうのはありますね。たぶん、ひっこんでいるか、出ているかっていう違いです。

-言い換えれば、ソロ・アーティストとしてやっているときは等身大に近いんですかね。

そうですね。等身大です。ありのままの自分でやってます。

-工藤さんの等身大を出した作品に迫るにあたって、まずは工藤さんの音楽のルーツや、音楽活動を始めたきっかけについて聞いていきたいのですが、そもそも音楽を聴き始めたスタート地点はどこですか?

小学生のときにはJ-POPばっかり聴いていましたね。今も好きですけど、その当時だと浜崎あゆみさんとか、宇多田ヒカルさんとか、安室奈美恵さんとか。テレビの歌番組で観るようなJ-POPをよく聴いていました。バンドにはまるようになったきっかけは、中学生のころにアジカン(ASIAN KUNG-FU GENERATION)さんに出会ったことなんです。ギター・ロックだと、小学生のときにはLUNA SEAさんとか、L'Arc~en~Cielさんとかも聴いていたんですけど、遠い存在だなと思っていて。でもアジカンさんを聴いたときに、見た目もそうなんですけど、わりと親しみやすい感じがするというか、身近に感じたんです。その当時、下北系とかよくわかっていなかったんですけど、なんかすごくカッコいいなと思って。そこからバンド系はいっぱい聴くようになりましたね。

-そんな工藤さんがいつしかKurt Cobain(NIRVANA/Vo/Gt)に憧れるようになっていくわけですが、アジカンからNIRVANAへの道のりというのはどんなものだったのでしょうか。

高校生のときに洋楽にめちゃくちゃはまったんです。学校帰りに毎日のようにレンタルCDショップに通ってCDをレンタルしていて。1泊レンタルだと料金が安いんですよね。次の日は学校で朝が早いから、なんなら当日料金で借りられちゃう日もあるみたいな(笑)。そこでCDを借りていったときに、スタッフのオススメ、60年代の名盤、70年代の名盤みたいなコーナーがあって。今週はこのコーナーを全部借りよう、みたいにやっていたときにNIRVANAに出会ったんです。聴いたときは衝撃でしたね。時代ごとに順番に聴いていったんですけど、90年代で"え! なんか変わった!"みたいな。"90年代って音楽の歴史が変わってない!?"みたいに感じたんです。そこから"この人たち、今は何してるんだろう?"って調べていったときに、"なんかすごいことになってる!"って、歴史も衝撃でした。そこで奥さん(Courtney Love)のバンド(HOLE)とかも知って、その当時はよく聴いていましたね。なんでも聴いてみよう、みたいな時期でした。

-そうして音楽にどっぷりはまっていった工藤さんですけど、ミュージシャンではなくモデルや声優の仕事に就いていくわけじゃないですか? その当時はバンドでやっていきたいとか、ミュージシャンになりたいっていう気持ちはなかったんですか?

高校生のときに洋楽をバンバン聴いていたときは、すでに声優のお仕事もモデルのお仕事も始めていて、"やれたらいいなぁ"みたいな気持ちはあったんですけど、音楽的知識とかはなかったんです。"曲ってどうやって作るんだろう?"とか、"音楽をやってみたいって、誰に相談すればいいんだろう?"みたいな感じで。なおかつ声優に初挑戦していた時期だったので、目の前の仕事にいっぱいいっぱいだったんですよ。"声優としてこの作品をやり切らなきゃ"みたいな気持ちだったので、そこまで(音楽を)"やりたい! やりたい!"みたいな感じではなかったです。

-声優としてやっていくなかで"バンドリ!"と出会い、ミュージシャンとしてキャリアがスタートしていったと。そうして今年2020年3月にソロでメジャー・デビューを果たしてミニ・アルバム『KDHR』をリリースしましたね。今振り返ってみて、改めてどんな作品でしたか?

デビュー作品だったので、初めましての意味も込めて、聴いた人が"工藤晴香ってこういう人なんだろうな"っていうのが伝わる作品で、なおかつファンのみんなに"くどはる(工藤晴香)ってやっぱりこういうとこあるよね!"って感じてもらえる作品にできたらいいなと思っていました。実際そういう作品になりましたし、激しい曲も、バラードもあって、トータルでわかりやすい1枚になったんじゃないかなと。

-自己紹介的な作品ということだと思うんですけど、反響や手応えはどうでしたか?

まだライヴができていないので、曲を披露してファンの人の表情をダイレクトに見る機会が一度もないんですよ。ただ、ファンレターであったり、SNSであったりとかを見ると、"生活の一部になっています"って言ってくれる方がたくさんいて。それはすごく嬉しいですね。嬉しい声がいっぱい届いています。

-そういう声があったからこそ、今回ソロとしての2作品目に繋がった部分もあったのだと思いますが、『KDHR』での経験を経て、2ndミニ・アルバム『POWER CHORD』の目指していた方向性はありましたか?

『KDHR』は、私の内面をどう伝えていくかという意志とか、そういったことがテーマだったんですけど、次に出すなら同じことは避けたいなっていうのはあって。なので、誰しも経験したことがあるものや、誰もが"わかるわかる!"って感じるものをテーマに作っていく気持ちはありましたね。

-本作について"この激動の時代で私が感じたこと全てが詰まっています。とにかく「希望」が見える1枚になるよう心がけて制作に挑みました。"というコメントも発表されていますよね。今のこの時代は工藤さんの目にはどう映っていますか?

未だかつてないことばかり起きていて、すごい時代になっちゃったなっていうのは感じています。この先どうなるんだろうっていう予測が不可能じゃないですか。そこを不安に思うとか、恐怖を抱くっていうよりは、私は希望を抱いて前に進んでいきたい、みんなを導きたいっていう気持ちが強かったので。ポジティヴを伝えたいっていうのはずっと思ってますね。

-サウンド面においては、前作に引き続き、PassCodeなどで知られる平地孝次さんが作編曲をしていますね。工藤さんが表現したい音楽と、平地さんの音楽とは近いところにあるということでしょうか?

もう近しいどころか、本当にそのままですね。細かいオーダーはしないでぼんやりとお伝えするんですけど、想像通りの曲ができあがるのですごいなって思います。平地さんだったら絶対に大丈夫っていう信頼はあるかもしれないですね。

-細かいオーダーはせず、ぼんやりと伝えるとのことですが、平地さんとの制作についてはどのくらいまで踏み込んでいるんですか? 例えば作品の全体像とかはどうでしょう?

今回は、絶対にこの全体像で行くぞ、みたいな感じでスタートしたわけじゃなくて、とりあえず曲の制作だけは進めていこうっていう話で、「GROOVY MUSIC TAPE」と「君へのMHz」から作り始めたんです。そうして平地さんから送られてきたサウンドに言葉を乗せていくにつれて、徐々にテーマが見えてきて。全曲完成したときにそれぞれの曲のテーマがワッと集まって、今回のテーマは"ポジティヴ"、"希望"だなってなりました。最初からテーマを決めて走っちゃうとそこに縛られて何もできなくなっちゃうので、成り行きって言ったらあれですけど、流れに身を任せて最終的に辿り着いたのがこのテーマなんです。

-なるほど。では曲についてはどのくらいのぼんやり感でオーダーしていったんですか?

"激しい曲で!"、"アップテンポで!"みたいに、本当にざっくりとしか言ってないんですよね。

-あぁ、信頼関係があるからこそ、ざっくりでいいんでしょうね。ここから各曲について聞いていくと、リード曲「KEEP THE FAITH」は、激しく、そしてキャッチーで、実にリード曲らしい作品に仕上がっています。

この曲は、ラップに挑戦したいっていうのがまずありまして。ラップのビートは平地さんとは別の方が作っているんですけど、そこのビートとラップじゃない部分のバンド・サウンドのバランス感であったりとかは、作曲家さん同士ですごく相談していたみたいです。この曲に関しては、"もっとこうしてほしい"みたいな細かいオーダーをそこまでしてないですね。仕上がったサウンドが文句のつけようのないくらいカッコ良かったので、歌詞をどう乗せようかっていうのはずっと考えてました。

-歌詞はとてもポジティヴで、特にサビの部分とその歌唱が聴き手に印象を与えるものに仕上がってます。

サビの部分の歌詞はめちゃくちゃ時間がかかりましたね。リフレインする歌詞もいいなって思ったんですけど、似ている言葉でリフレインっぽく続いていけたらいいなっていうのは、デモを聴いて思っていたので、英単語を上手い具合にはめていって、自分も歌っていて高まっていくように意識していました。歌いづらい言葉とか、テンションの上がりがいまいちなものよりは絶対にそっちのほうがいいので、家でも歌いながら書いていたんです。

-ラップに挑戦していますけど、もともとロックだけじゃなくヒップホップも通ってきていたんですよね?

そうですね。ヒップホップはすごく好きで、よく聴いています。まぁ......できないと思って聴いていたんですよ(笑)。自分ができないことをできる人って、めちゃくちゃカッコいいなと思っていて。ただ、それでもやってみたいっていう欲も出てきたんです。難しいのはわかっているんですよ、できてたらもうやってるので(笑)。難しそうだけど、やれるだけやってみようということで挑戦しました。

-普段から聴き込んでいるからか、初めてには思えないカッコ良さですよ。

良かったです。頑張って書いた甲斐がありました。やっている最中は"大丈夫かなぁ?"とか思っていたんですけど、スタッフさんに"ちゃんと成立してるから自信持って"、"ドヤって感じでやって"と言われて。そういった部分はお芝居に似ているなと思ったんです。キャラクターのセリフとかでも、プロフィールとかの情報がないときってあるんですよ。その中で自分なりに想像して、"きっとこういう性格の子だからこういう口調で言うのかな?"みたいな感じでセリフを発したときに、ディレクターさんとかに"その感じでいいよ、大丈夫"って言われて、安心して本番を演じられるっていう。そういった部分は一緒だなと思っていて。なので次のテイクからは自信満々にドヤドヤやってました(笑)。