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INTERVIEW

HOTSQUALL

2020.09.16UPDATE

2020年09月号掲載

HOTSQUALL

Member:アカマトシノリ(Vo/Ba) チフネシンゴ(Gt/Vo) ドウメンヨウヘイ(Dr/Cho)

Interviewer:山口 智男

熱度が"頑張れよ~"から"一緒に頑張って乗り越えよう"ってなったときに"Yell"が"Shout"になった


-チフネさんとしては、メンバーにも曲を作ってほしいんですか?

チフネ:ぜひ! そのほうがいいと前から思っていたし、よくお願いもしていました。

アカマ:さっきドウメンも言っていたけど、曲を作るとき"HOTSQUALLっぽい"って、それを意識したほうがいいのか、ぶっ飛んだほうがいいのかって考えたとき、意識して準じた曲を作ってもやっぱり全然敵わないんですよ。だから、俺も今回ドウメンと同じ意識で曲を作ったんですけど、ドウメンが自分らしい曲のネタを作ったし、俺もそのときの自分の思いをどう歌にしたらいいかって切り口で始められました。ドウメンはドウメン、俺は俺のやり方で、チフネにぶつけてみて"あ、こんなふうにHOTSQUALLの曲としてカタチになっていくんだ"っていう方法論も見えたりして。チフネも面白がって、"これはこういうことが言いたいの?"と作った本人でも"あぁ、そうかも"って発見を掘り下げてくれたんです。"だったらこういうアレンジを入れてみようか"とか、"こんなふうに歌ったほうが伝わるんじゃない?"とか、そんなふうに自分が作った曲に対して一生懸命に言ってくれて、その中に入ってきてもらえるのって、それだけで楽しいんですよ。だから、俺も曲作りしている間、にこにこ笑っていたと思う。たぶんチフネにとっても、その作業は新鮮だったんじゃないかな。

-アカマさんが元ネタを作った曲というのは?

アカマ:「Life Is Short Movie」と「High -On The Winding Road-」です。

-なるほど。ところで、『SEVEN SHOUTS』を作るにあたっては、どんな作品にしようと考えたんですか?

チフネ:作品というよりは、一曲一曲ですかね。作品全体が見えてきたのは、それぞれ曲が仕上がってきてからなので。アッパーなのが欲しいとか、ライヴでみんなで歌えるような曲が欲しいとか言いながら一曲一曲、作っていきました。そのなかで、「Grateful Shout」のメロディができたときに、これは大切な曲になるかもなって思っていたら、コロナ禍になってしまって。もともと、"Yell"って仮タイトルで、なんとなく歌詞のイメージもあったけど、改めて声援という意味を深めて、日本語で歌詞を書き直そうと思って。僕たちの曲ってどれも少なからず応援しているような意味を持ってはいるんですが、今作は今の状況的にも、自分たちらしさを考えたうえでも、"Yell"よりも"Shout"って表現のほうがぴったりくると思ったんです。同じ声援って意味があるんですが、まさに"Shout"がハマるなと。そのテーマがあったからそれに沿う7曲を選びました。そして、"これ、「SEVEN SHOUTS」ってタイトルの作品にしようと思う"って伝えたときに、"あ、それ、いいね"ってすぐなって。

アカマ:ピンときましたね。コロナ禍になる前から、"次は俺たちなりのこれぞ応援歌みたいな曲があったらいいよね"って話してたことあったよね。

チフネ:あ、そうだったね。東京オリンピックもあったから、"深い意味を持たせないで、あえて軽いノリでみんなの背中をポンッと押せるような曲があるといいんじゃない?"という話はしていました。でも、状況が変わって、もう少し本格的にみんなの日々に寄り添うような内容というか、メッセージが必要だと思って書き直したって流れでしたね。

アカマ:その熱度が"頑張れよ~"じゃなくて、"一緒に頑張って乗り越えよう"ってなったときに"Yell"が"Shout"になったというか、その曲に対する熱の入れ方が変わったというか。"いい汗かいて頑張れ"じゃなくて、"みんなで頑張って生きよう"って変わったときに、"SEVEN SHOUTS"ってワードをチフネが言ってきて、"それこそHOTSQUALLだ"と思いました。歌い出しの"声を枯らして"という歌詞を聞いたときは、"はい、きた!"と興奮しましたね。

-今回、制作に時間をかけたということもあってメロディ、アレンジ、プレイすべてさらに磨き上げられているという印象がありました。

チフネ:お、ほんとですか? それは嬉しい。実は自分たちの実感としてもあるんですよ。

ドウメン:めちゃめちゃあるね。

チフネ:時間をかけられたぶん自分たちのスキルアップもできたりして、それをいい感じで詰め込めたなと思います。それだけ自分らのスキルと向き合ったし。今まではやっぱりライヴをやりながら作っていたので、レコーディングに向けてわーって一生懸命作り上げて、ふーっとひと段落したときにできあがった作品がどんなものか実感する感じでしたけど、今回は"ここまで届かせたいから"、"このテンション感を落とし込みたいから"と目指すものがあって。それにはしっかりその部分の練習が必要だなって(笑)。

アカマ:だから、勝手に壁にぶち当たってた(笑)。多くのバンドは"ライヴができない"、"予定が延期になっちゃった"という不安にぶち当たっていたかもしれないけど、俺らはこの曲を最大限に生かすために、"こんなヴォーカルじゃダメだ"とか、メンバーそれぞれの持ち場で悪戦苦闘していました。

チフネ:でもそれが、もっと成長したいと思うきっかけになりましたね。それが良かったです。ここまでやってきて"あ、俺たちまだまだ伸びしろあるな"と感じられたのは、すごく幸せなことだと思います(笑)。

-どんな壁にぶち当たったのか、それぞれに教えていただけますか?

アカマ:俺はヴォーカルもそうだし、ベースのプレイもそうだし。作っている段階で、チフネとのやりとりの中でも、"あ、これじゃ歌詞届かないんだ"、"このメロじゃまだ届かないんだ"みたいなことはいっぱいあって。制作そのものはすごい楽しかったんですけど、やっぱり『SEVEN SHOUTS』の曲を歌うなかで、ひとつひとつが違う表情だから、それをしっかり表現するというのが簡単じゃなかったです。熱がないものをやっていてもそれはHOTSQUALLじゃないから......やっぱり歌ですね。「Grateful Shout」の日本語の乗せ方、歌い方、響かせ方、熱の入れ方は自分的にすごい壁にぶち当たりました。ベースも今までやっていないようなアレンジが多かったりして。

-ドウメンさんは?

ドウメン:自分としては新鮮なことをいろいろやっているんですけど、まずは「Grateful Shout」。8ビートの曲なんですけど、キックの入れ方を、何パターンか考えて、そこですごく悩んだり。今までは1曲目は速い曲なイメージがあったんですけど、今回はこだわって、このパターンで行こうと決めて、それにして良かったと感じています。他の曲もそれぐらい1曲ごとに向き合って作りました。「High -On The Winding Road-」も、どうやって合わせようか迷ってたんですけど、自分が思っているようになかなか叩けなくて、しっかり考えながら練習して。その成果が出てるのが最終的にレコーディングされているんですけど、他にもそういうところがいっぱいあります。最近リズム的には跳ねるというのがバンドのテーマなんですけど、それが生きてくる曲ばかりだったので、そこを表現しなきゃっていうところもありましたし、「High -On The Winding Road-」もミドル・テンポの曲ですけど、跳ねている。そのノリのいい感じを出せたらと思ってました。速い曲は慣れてるけど、それとはまた違うふうにしっかり聴かせたいと思っていたんで、それはうまくいったかな。

アカマ:いろんな表情の曲をやりたいから、メロも生かしつつも歌っていることには熱が必要で勢いがいる。そこで、テンポを速くするんじゃなくて跳ねる。そこに挑戦していたかな。ドウメンは速い曲を叩くのは得意分野なはずですから。アクセントのつけ方とかで今までにないもので力を発揮することができてきてたから、"おっ、すげぇ"と思ってました。

-チフネさんがぶつかった壁はなんでしたか?

チフネ:今までの作品は限られた時間の中で作っているから、言い方はあれですけど、プレイが置きにいっていると感じるものもあったりして。メンバーにも"とりあえず、この雰囲気さえ出せれば"って感じで、もうちょっと練ったら良くなるかもというのは置いておいて、素材で勝負という感覚があったんです。でも、今回は料理することにこだわったので、もっと弾けちゃうぜっていうのを出してみようとは思っていましたね。いざ弾いてみて結構難しいってときに、練習する時間もあったし、この部分を練習すればいいんだっていうのを見つけられたのは歓びだったし。しっかりこだわってやらないと、自分が思い描いてるようないいものにならないじゃんって。その雰囲気をふたりも感じてくれて、今までだったら、本当はこういうふうにやりたいけど難しいし時間もないし違うアレンジにするかってところも、"いや、やってみよう。できるようにするチャンス。練習もしないうちに難しいなんて言わずにやってみよう"、ってことが今回できて。それは本当良かったですね。それで、自分たちそれぞれが"ネクストレベルに行けたかも"って実感こそが歓びだというのを、めちゃめちゃ味わいました。他のバンドとはテーマとかレベルとか目指すところはそれぞれ違うと思うから比べずに、あくまでも自分たちのハードルでそれを見つけられたのはすごくアツかったですね。

アカマ:うん、すごくアツい。俺たち自身がちょっとずつ変わっていけたから。今までは"それは難しいかも"と言っていたことも、今回は自分が作った曲に対してチフネが、"もっとこうしたら?"って言ってくるもんだから、そういう要求に応えられないのはすごく寂しいし、頼りないし、"だったらできる限りやってやる"っていう感覚がすごく芽生えてきて。お互いの気持ちがちょっとずつわかってきたからこそ追求できたっていう、そういう期間でもありましたね。

-7曲それぞれに違う魅力がありますが、それはテーマのひとつとして考えていたんですか?

チフネ:あ、それは前からですかね。僕ら、昔から音楽に関して雑食なので自然とそうなるのかな。この3人で集まって、メロコアっていうならこんな感じっていう曲以外にも、それとは違うアプローチの曲も結構あって。それを以前よりはうまくまとめられるようになってきたという感じですかね。そういう部分でも、自分たちは長い時間をかけながら、ゆっくりでも成長できていると思っています。少しずつ曲を料理できるようになってきたので、まだたくさんある個性的ないろんなパターンの曲をど真ん中に持ってこれるようにしたいですね。

-最後に、具体的なことは言いづらい状況ではあると思うのですが、HOTSQUALLのファンが聴いても、これから出会うファンが聴いてもガツンと来る作品だと思うので、リリースしてからのことも聞かせてください。HOTSQUALLはこれからどんな気持ちで活動していこうと考えていますか?

アカマ:何が起きたかじゃなくて、そのなかで何をしたのかっていうのが大事だと思うんですよ。ひとりじゃ何もできないかもしれない。でも、もしかしたらバンドだったらできる。何かあったとき、プラスに変えられたり、前向きに生きられたりするのが俺にとってのバンドだから。それは理想でもなんでもなくて、間違いなくそうだと思うんです。実際、今回もそうやって作れたから、これからもそうあり続けたいという気持ちです。

ドウメン:こんな状況でも、何かしらはできるじゃないですか。ドカンと先に進むのは難しいかもしれないですけど、一歩一歩ちょっとずつでもいいから、前に進んでいきたい。そういう姿勢でありたいと思います。

チフネ:たしかに具体的な活動は見えないけど、ライヴができるようになったらもちろんやりたいし、活動の幅をより広げていきたいという野望もあります。でも、音楽ってシンプルに楽しいということを今回の制作で改めて感じられたので。20周年を経て、大きく1周して、今自分たちの好きなものを作ることに向き合って、その歓びを感じたので、やっぱり成長する歓びを感じながら、僕はやっていきたいですね。すごい才能があって若くして開花する人もいるんでしょうけど、僕らはそれをじっくりやれているのもすごく有り難い。それでより良い作品を作りたい。いつかはお客さんの前で披露したいというのもあるけど、音楽を作ることがもはやライフワークになっているので、それを追求していく歓びもある。僅かでも成長を実感するっていうのが幸せなんじゃないかと思います。

-今回の作品を聴いていると、次の作品でHOTSQUALLはどんなふうに成長するのか楽しみになるんですよね。

アカマ:うわー、なんか若手バンドみたい(笑)。

チフネ:そう言ってもらえるのは嬉しいですよ。僕もそう思っているので。何かの兆しが見える作品ができたって感じですかね。次が楽しみになるってのは今作にかわいそうな言い方かもしれないけど(笑)。

-この作品はこの作品で、とても聴き応えがあるうえで、今後がさらに楽しみになるということなんですけど、それが20周年を迎えたバンドってところがいい。

アカマ:俺もそう思う。

ドウメン:このままいけたらいいよね。この次もヤバそうって言いながら。

アカマ:ドウメンなんて、また曲をいっぱい作っちゃって、全然止まらないんですよ。

チフネ:実は、もう新曲も作り始めていて。で、あっちに行こうか、こっちに行こうか、さぁどう広げていこうかってワクワクしているところなんです。