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INTERVIEW

BARONESS

2019.10.01UPDATE

2019年10月号掲載

BARONESS

メンバー:John Dyer Baizley(Vo/Gt)

インタビュアー:山本 真由

米ジョージア州の4人組アート・メタル・バンド BARONESSが、通算5作目となるフル・アルバムをリリース。2010年にポスト・メタル・バンド、ISISとのツアーで来日して以来、ここ日本とはあまり縁のない彼らだったが、プログレッシヴ・メタル・ファンなどコアな音楽好きの間では再来日を熱望する声もある実力派バンドだ。そんな彼らの新作は、これまで以上に多彩で独創的でプログレッシヴで、それでいて異様なほどキャッチー。唯一無二のサウンドを紡ぎ出すバンドのフロントマンで、自身のアートワーク以外にも様々なバンドのアートワークを手掛けるアーティストでもあるJohn Dyer Baizleyに、BARONESSの音楽性やアート表現の成り立ちについて、詳しく語ってもらった。

-本日のノースカロライナ公演はどんなショーでしたか?(※取材日は8月中旬)

スーパー・ハイ・エナジーなショーだったよ。オーディエンスも素晴らしかった。楽しかったよ。

-激ロックでは初めてのインタビューとなりますので、まずは簡単にバンドとメンバーの紹介をお願いします。

俺はJohn Baizley。リード・ヴォーカルとギターを担当している。もうひとりのヴォーカル&ギター担当はGina Gleason。ベーシストはNick Jost。Sebastian Thomsonがドラマーだ。

-BARONESSの音楽性は、アート色の強いプログレッシヴ・メタルという印象ですが、こういう音楽性に行きついたきっかけや、メンバーの音楽的バックグラウンドについて教えてください。

実は、俺自身は音楽的バックグラウンドがあまりないんだ。若いころにハードコアやパンクのバンドをやってはいたけどね。同時進行でやっていたアートの方はいろんな活動をしていたよ。アート・スクールに数年通っていたしね。でもバンド活動もやっていて、ノイズを出す傍らアートをやっていた。芽が出たのはアートの方が先だったけど、アーティストとしてのクリエイティヴなエネルギーの多くが徐々に音楽に注がれるようになっていった。そしてこのバンドは何回かラインナップが変わったんだけど、そのたびにミュージシャンとして熟達したメンバーが入ってきたんだ。俺たちはコラボするタイプのバンドだから、全員がソングライターとしてもミュージシャンとしても作品に貢献している。何年もの間に他とは違うスタイルができてきて、なかなか興味深い日々になっているよ。俺は人が"こういう音が聴きたいな"って思っている音楽を書いているような気がするんだ。でも、その音は誰かの演奏を聴いたものではなくて、頭の中にあるものだから、俺たちはどうするのかというと......各メンバーのミュージシャンシップをバンドとして活用しながら、ユニークで、且つそれぞれが等身大以上の素晴らしいものを作ろうとしているんだ。

-あなたは唯一の結成メンバーでバンド・リーダーですが、それでもこのバンドの音楽はグループとして作っているという感じなのですね。

まぁ、両方かな。ヴィジョンのもとになるようなものは俺から出てくるものだとしても、BARONESSに新しくやってきたメンバーとの間にちゃんと一体感がないといけない。誰かの方向性と別の誰かの方向性との間に矛盾が生じないようにね。GinaとNickとSebastianとはそれを大切にしているんだ。誰かがバンド・リーダーかもしれないけど、だからと言ってすべての権限をそいつが持っているわけじゃない。お互いに影響を与え合うために頑張っているよ。音楽を前進させるという意味で興味深いやり方だと思う。

-通算5作目となるフル・アルバム『Gold & Grey』の日本リリースも決定しました。日本では少し先、10月にリリースされます。日本盤がリリースされることになった経緯について教えていただけますか?

このアルバムは、本国では"Abraxan Hymns"という自分たちのレーベルから出ているんだ。バンドとしてもレーベルとしてもインディペンデントだということだね。だから自分たちの音楽を世界のできるだけ遠くまで行き届けようという意識が常にあるんだ。俺もレーベルのスタッフも、世界中のディストリビューターと縁を繋げるように日々努力している。今こうして君と話していることもすごくワクワクするんだ。俺たちのストラテジーがうまくいったおかげでこうしてインタビューの機会を貰えているわけだからね。今回はSony(Sony Music Japan International)が俺たちのバンドになんらかの価値を見いだしてくれたということで、すごくワクワクしているんだ。何しろ日本には1回ツアーで行ったことがあるからね。それ以来また行きたいとずっと思っていたよ。わかってほしいんだけど、俺たちみたいなアメリカのバンドにとって、まず日本でアルバムを出してそれからツアーするというのは、時としてものすごく難しいことになるんだ。こうしてアルバムを出せることになってその方向で物事が動いているから、本当に嬉しいよ。

-来日経験があるんですよね。

そう。

-かなり前(2010年)でしたね。日本という国については、どんなイメージを持っていますか?

そのときは確か5日間くらい滞在したんだ。

-確かISISとのツアーでしたね。

そう。あのツアーは一瞬一瞬が最高だったよ。アメリカ人としてというより、世界中を旅した者としてね。それまでも長年、頻繁に、しかも絶えず世界中を回っていたんだから。俺にとっての日本はその当時まったく新しい場所で、何もかもが違っていた。違うだろうという予想はあったけど、それまで訪れたことがなかった身としてはあれほど違う場所とはわからなかったんだ。ミュージシャンとしてもアーティストとしても興味深い場所だったよ。だから次に行くときはもっと現地の人たちと触れ合って、現地のカルチャーを吸収したいと考えているんだ。この仕事をしているといろんなカルチャーに身を任せて現地の友達を作ることも可能だからね。そうすると、それまでとはちょっと違った形で世界を理解することができる。それってすごく美しいことだと思うんだ。だから日本でリリースが決まって、いつかはまたツアーする機会もできるかも知れないと思うと本当にワクワクするよ。

-今作でも、アートワークはこれまでの作品同様、あなたが手掛けていますね。素晴らしいアートワークです。今までの作品も、タイトルがすべて色で、イメージ・カラーをメインに使用したイラストがカバー・アートワークとして描かれていますが、テーマ・カラーからインスピレーションを得た曲を制作しているのでしょうか? それとも、できた楽曲のイメージからテーマ・カラーを決めているのでしょうか?

たいていの場合は、曲を作っていくなかで色へのインスピレーションが生まれてくるんだ。でも、そのインスピレーションがいつ出てくるかにもよるね。プロセスの初期に色のイメージが出てきたら、残りの曲はその影響を受けて色を思い浮かべながら書いたりするし。ただ俺は、伝統的なcolor wheel(色相環)の中でイメージしていたから、3原色と3つのサブ・カラー、つまり赤、オレンジ、黄色、緑、青、紫だけを考えていた。で、今回まで残っていたのがオレンジだったんだ。だから選択肢がなかったんだよね(苦笑)。でも、アルバムを"Orange"と名付けたくはなかったんだ。自分の中のどこかでそうすることに不快感を覚えていたからね。じゃあ"Orange"と名付ける代わりに別の名前を付けるとすれば......と思って、orangeという単語の綴りや発音なんかをいろいろ見ていた。アルバムのコンセプトと何が合うかとかね。"Gold & Grey"にしたのはアルバムがほぼできあがってからなんだ。それまではずっと"Orange"と呼んでいたよ。だからパソコンでデモとかのファイルを探したり、スタジオでミックスを引っ張り出したりするときは"そうだ、「Gold & Grey」になったのは最後の最後で、それまでは「Orange」だったんだ"と念頭に置いておかないと、いつまで経っても探していることになる(笑)。"Orange"を別の言葉で表現すると"Gold & Grey"が近いかなと思ったんだ。アートワークを見てみると明らかにオレンジが使われているだろう? 俺が作るアルバムのアートワークにはある程度のシンボリズムがあって、それはすごくディープでシリアスなんだ。それでいて、楽しくもあるものを目指している。このアートワークの、特に下の方にオレンジを多用しているのが気に入っているんだ。あれはジョークみたいなもので、"「Orange」って呼びたくないんだけどさ......"みたいな気持ちが表れているんだ(笑)。で、"Gold & Grey"にしたのは、実際歌詞にも出てくるからっていうのもあるんだけど(※「I'm Already Gone」に"golden"/「Throw Me An Anchor」に"golden"、"gold"/「I'd Do Anything」、「Broken Halo」に"gold and grey"が出てくる)それ以上に2色にした方がいいような気がしたんだよね。ふたつのものについて表現しているところが多いから。例えば"gold"の要素は貴重で力のあるもの。一方"grey"はその正反対だからね。あらゆるものの中間にある色でもある。"gold"は栄光、輝かしいもの。響きもエレガントだし、"Orange"のいい代わりになりそうとも思ったんだ。

-"Gold & Silver"というのはあり得たのでしょうか。goldと対になるものとしてはsilverを思い浮かべることのほうが多いような気がしますが。

うん。考えはしたけど、それだとあからさますぎると思ってね。似すぎているし、どちらも貴重なものを表すし。片方は金属でもう片方はただの色、みたいな感じにしたかったんだ。

-このアートワークを作ったのは、アルバム名がまだ"Gold & Grey"ではなくて"Orange"だったころですか?

"Orange"のときはバックアップしかできてなかったな。通常は曲と同時進行で作るんだけど、今回は曲が最初で、それからタイトル、最後にアートワークが決まったんだ。アートワークの場合はコラボ相手がいないから、レコーディングと同時進行で、自分でリサーチしたりメモを取ったりしながらアイディアを煮詰めていくんだ。今回は色(オレンジ)が先にあったから、それをベースにアイディアをストックしていった。ジャケットは......俺の絵の描き方はちょっとクレイジーなんだよね(笑)。意味を持たないものがいろいろ出てくる。最終的にできたのが、レイヤーを極端に重ねたこの作品なんだ。すごくディテールがきめ細かい。ただ、アーティストとしての俺にとって、ディテールというのは単なる"symptom(症状)"なんだ。シンプルでストレートなものを作ろうと思えばできたのかも知れないけど、作りながら変わった要素を足していきたいという気持ちに抗えないんだよね。その極端にきめ細かいものたちのぶつかり合いを楽しんでいる感じかな。相反するものに惹かれやすいんだ。