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INTERVIEW

RED in BLUE

2019.08.20UPDATE

2019年08月号掲載

RED in BLUE

Member:高橋 祐揮(Vo) 田口 悟(Gt/Cho) 磯村 駿介(Ba/Cho) 山崎 慧(Dr/Cho)

Interviewer:山口 智男

とにかく多くの人に聴いてほしい。どんないい曲も聴いてもらわないことには始まらない


-そして、8月21日に1年8ヶ月ぶりとなる音源として、100円ワンコイン・シングル『FRANKEN MUSIC』をリリースするわけですが、なぜ破格の100円で、限られた店舗のみのリリースという形になったのでしょうか?

高橋:100円なのは、もうとにかく多くの人に聴いてほしいからです。どんないい曲も聴いてもらわないと始まらないですからね。僕らをあまり知らない人が、例えばジャケットなどに興味を惹かれたときに、100円なら衝動的に手にしてもらいやすいと思うんですよ。CDショップで見つけて、冒険心で手に取ってもらってそのまま連れて帰ってほしいです。今はそういう人は少ないのかもしれないですけど、ジャケ買いみたいなノリでも出会ってもらいやすいかなと。

田口:僕らがここまで活動してきてお世話になった地域と、これから勝ち上がっていきたい地域に置かせていただくことにしましたね。お世話になった地域には恩返しを、勝ち上がりたい東名阪の地域では起爆剤として、レーベルにめちゃくちゃな予算を組んでもらいました。感謝です。

山崎:例えば、無料サンプルCDがライヴハウスや店舗に置かれていたとするじゃないですか。個人的に、あれに爆裂興味が湧くタイプじゃないんですよね。無料なんて、いつでも聴けるから、むしろ聴かなくなっちゃうんです。通常シングルCDなんて500~1,000円くらいで、リード曲+カップリングといった形をよく見るじゃないですか。内容の良し悪しは置いといて、なんか話題性に欠けるなと。そのスタイルから壊してみたくて。一発ドカンと"これぞリード曲! 100円!!"みたいなのって、なんじゃこれ!? ってなるでしょ? どこの店舗でも取り扱いがあるわけではなく、場所によっては本当に遠出しないと手に入りませんが、そこが本作の価値でもあります。これらに踏み切る最高の楽曲ができたので、必ず買って聴いて、体感してみてください。

-"この1曲!"とリリースするわけですから、「FRANKEN MUSIC」は相当の自信作だと思うのですが、何曲かある候補の中から選んだのでしょうか? それとも決め打ちで? キャッチーでダンサブルな「FRANKEN MUSIC」は、どんなテーマ、コンセプト、方向性のもと、どんなふうに作っていったのでしょう?

田口:実は他にも候補があったのですが、いい意味でアクが強くて踊れる曲である「FRANKEN MUSIC」をチョイスしました。作るときはとにかく開始10秒が勝負だと思って冒頭のインパクトに注力しましたね。そしてとにかくシンプルを心掛けました。楽器隊としてはテクニカルなフレーズだったり、めくるめく展開だったりを押し出したい気持ちだったのですが、そこはできるだけ削ってノリとメロディ一点集中で作り進めていきましたね。頭から終わりまでほぼ同じリズムでいくのって、意外と勇気がいるんです。そのなかでどこまで自分たちらしさを出せるかが肝だと思ったので、何度もメロディは作り直しました。バカなとこはバカに徹し、踊らせるところは踊りに徹した鉄のナンバーになったと思います。

-この曲で現在のRED in BLUEの、どんな姿を打ち出したいと考えているのでしょうか?

高橋:前作(2017年リリースの1stフル・アルバム『Hybridize』)をリリースするにあたって、いろいろなジャンルの音楽を掛け合わせた"雑種"と打ち出しました。今回の曲は、雑種である僕たちが、いろいろな音楽を手軽に聞く"雑食"なリスナーたちに食って掛かる1曲です。"いろいろなジャンルのバンドと対バンできそうだけど、どこにも属してる感じがしない"とよく言われるのですが、そもそもリスナーにいたってはどこにも属していないんじゃないかと思います。だったら雑種のまま噛みつける1曲を僕らは提示し続けるまでです。そういう意味で、キャッチーで踊れて、攻撃的に噛みついていくサウンドを感じてほしいです。俺らを聴け! と。

田口:好きなものを好きなように聴いて、好きなように消化して、それがかっこいいんだと考えています。愛すべき畑がたくさんある僕らは、どんな現場でも戦えるというところを見せていけたらと思いますね。

磯村:この曲は、まったく違う音楽をルーツに持つ僕たちそれぞれが、かっこいいと思うアプローチで煮詰めていってできた曲です。何かに寄せたりしなくても、自分の信じる音楽をひとりひとりが本気でぶつければ、カッコいい曲ができるんだぞってことを見せたいですね。

山崎:進化したサウンドを盛り込んだ今作は、これまでとは違う新しいスタイルを形作る最初の看板になります。新たなる可能性に挑戦し、また新しいメンバーを迎えたという意味でも、RED in BLUE的に節目を迎えたという本気を見せたい勝負の1枚です。

-音楽的な聴きどころは、どんなところだと?

高橋:一番は、EDMの要素がふんだんに入っている中に同居してる泥臭さでしょうか。それは、僕らの武器でもあるシンガロングが生み出すものじゃないかと思います。また、同期を導入するにあたって、今まで使っていなかった打楽器の音や面白いサンプリング音なども入っているので、エフェクティヴな僕らの一面でも、新しい幅を提示できているんじゃないでしょうか。

田口:THE BLUE HEARTSや9mm(9mm Parabellum Bullet)だったり、ボカロだったり、僕自身の育ちが見えるような曲になったんじゃないかなと。いろいろなエッセンスを散りばめているので、"あ、ここはきっとこれを意識してるんだ"とか、気づいてニヤリとしてもらうのも面白いと思います。

磯村:印象的なリフや音がたくさん入った曲なので、何度も聴き返してどんな音が鳴っているか見つけるのも楽しい曲になってます。あとベースとドラムを、一緒に顔を合わせながら録ったことで、後ノリ感を含め、強弱を共有することができたので、そこも感じながら聴いてもらえると嬉しいですね。

山崎:RED in BLUEとしては、メッセージの方向性が新しい楽曲になったと思います。サウンドの進化、これはわかりやすく体感してもらえるかと思いますが、CD音源ではなく、ライヴ会場で立体的な臨場感を体感してほしいです。

-歌詞は、音楽があまりにも手軽に聴ける現在の状況に対するバンドの意見にも聴こえますが、どんな思いが込められているのでしょうか? そういう歌詞を書くに至ったきっかけが何かあったのですか?

田口:今、音楽は良くも悪くもBGMになってきていると感じていて。すごく日常に溶け込んでいるように感じるんです。あると嬉しいけど、ないと寂しい、みたいな。でも、それはとてもいいことだとも感じていて、音楽と人の距離は確実に近づいて身近な存在になったと思います。当たり前に音楽が身近にある時代だからこそ、より強く僕らのことを認識させたいと考えたんです。みんなポップでオシャレなものを何気なく聞きすぎてるんじゃないかと。もちろんBGMとしても日々の中に取り入れてほしいけど、1回じっくり味わって聴いてみてほしいんです。コンビニだって当たり前のように身の回りにあるけど、ないと困るし、コンビニがない生活なんて想像できないって人も多いですよね。それと同じで、音楽もそうだぞ、しっかり味わって食べてくれよ、という気持ちを込めて書きました。

磯村:歌詞は受け手によって解釈が変わると思うんですが、僕はこの曲の歌詞を聴いたとき、ヒット・チャートを好んで聴く人がいたり、特定のアーティストやジャンルを聴く人がいたり、リスナーそれぞれいろいろな形で音楽を掘り下げていくなかで、どんな人にでも胸に響かせてやるっていう挑戦的な歌詞だと感じました。

-リリース後は東京と広島でレコ発ライヴがありますが、お客さんは、どんなことを期待して足を運んだらいいでしょうか?

高橋:「FRANKEN MUSIC」のライヴでの威力を楽しみにしてほしいのはもちろんなんですけど、曲の世界観とライヴの迫力を叩きつけることに振り切った、削ぎ落としながらも骨を太くした、新しいRED in BLUEのライヴをシンプルに楽しみにしていてほしいです。

田口:音源上では、いろいろな音がクリアにまとまって聴こえるので、ちょっとスタイリッシュなイメージを持たれるかもしれないです。でも、僕らのライヴはエネルギーの放出なので、そういったステージング込みで人間味を感じてもらって、いい意味で裏切られてほしいですね。

磯村:レコーディングを通して、いろいろなことを吸収しました。もちろんバンドとしても個人としてもいろいろな課題も見えました。でも、レコ発に向けてそれぞれ課題を着実に乗り越えていってますし、最近は吸収したものをライヴで出せるようになってきた感覚があります。この2日は、現状のRED in BLUEの集大成と言える姿が見せられると確信してますね。

山崎:サウンドの可能性の広がりを、ぜひライヴで味わってほしいと思います。マジで期待してくれて大丈夫です。足繁くライヴに来てくれる人たちにも胸を張って言えます。僕たちは欲張りなので、音を圧倒的に進化させたうえで、これまで通り派手なステージもお届けすることを約束します。

-広島のライヴ(9月28日に広島CAVE-BEで開催する[RED in BLUE 『FRANKEN MUSIC』RELEASE PARTY "CHAOTIC NIGHT"])をフリーにしたのは、どんな理由から?

高橋:これまで、中国地方でワンマン・ツアー("FULL POWER TOUR ワンマン編")を経験しているんですけど、そこから今回のワンマン・ライヴ決定まで2年半以上空きました。あれから確実にライヴのパワーが上がって、いい意味で別物になっていると思っていて。だからこそ今回のワンマン・ライヴは絶対に見逃してほしくないんです。僕らに期待してくれている人はもちろん、最近僕らのライヴに足を運ばなくなった人にも今一度ライヴをぶつけたい。だから気軽に足を運びやすいフリー・ワンマンを選びました。もっと言うと、僕らの生活の拠点である広島でお世話になっている、すべての人に足を運んでもらいたいので、そういう意味でも足を運びやすい1日にできればな、という思いからですね。

田口:ライヴハウスに行き慣れてない人にとって、ライヴに行くことってハードルが少し高いものだと思うんです。予定を合わせたり、ライヴハウスのシステムがわからなかったり、もしくは値段だったり。そんなハードルの内のひとつであるチケット代を取り除いて、純粋にライヴを観てほしい、そして楽しんでほしいと思いました。"広島のRED in BLUE"をまずは改めて知ってもらって、来てくれた人たちに僕らを叩きつけたいです。

磯村:あとは、ライヴハウスは楽しい場所で、気軽に遊びにいけるとこだって知ってほしいからですね。音楽を聴くのに年齢や性別が関係ないように、生で音楽が聴ける場所も誰でも気軽に行っていいんだって思ってもらいたくて。そのきっかけになるにはって考えた結果、フリー・ライヴにしようと考えました。

山崎:そもそもワンマン・ライヴをやったのがもう2年前の話で、磯村がサポートに入ってから今日に至るまでワンマン・ライヴをやっていないんです。だからこそ今やります。新体制、新しい音源、具体性のある進化した音、これらを掲げて、満を持してワンマン・ライヴをやります。だからこそ見逃してほしくないんです。

-現在、新しいアルバムの制作に着手しているそうですが、どんな作品になりそうですか?話せる範囲で教えてください。

高橋:レコーディング場所から、すでにライヴでやっているまだ音源になっていない曲だったり、再録だったり......いろいろ喜んでもらえそうな話もあるんですけど、そこは完成してからのお楽しみにしておきます。でも間違いなく今までで一番いい音源になる、とだけは言わせていただきますね。楽しみにしていてください。

田口:高橋も言ってるのですが、実はそれらの新曲はもうほぼライヴでやってるんですよね。今回アルバムを制作するにあたって、ライヴで育てたものをレコーディングしようという意図があって。なのでライヴのたびに歌詞が違ってたり、アレンジが違ってたりしたと思います(笑)。つい最近レコーディングを終えて、限りなくライヴに近い、それでいてクオリティの高いものができたと思うので楽しみにしていてほしいです。

磯村:曲の振り幅が大きいのに、RED in BLUEの曲だってわかる僕ららしいアルバムになりそうです。もちろん、より洗練されたものになっていってますね。初めて聴く人も、すでに僕らのことが好きな人にもきっと満足してもらえると思います!

山崎:すべての頭に"RED in BLUEらしい"ってつけてほしいんですけど、派手な楽曲、みんなで歌える曲、エフェクティヴなやつ、爆発感のあるもの、とかいろいろ詰め込んだ飽きのこない作品になると思います。今は漠然とこのくらいしか伝えられませんが、僕らの代表作になること間違いなしです。