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INTERVIEW

山嵐

2019.07.24UPDATE

2019年08月号掲載

山嵐

Member:KOJIMA(Vo) 武史(Ba) KAI_SHiNE(Maschine)

Interviewer:荒金 良介

-そういう意味で言うと、今作の中にはここ数年ライヴでやってない楽曲も含まれてますよね。例えば「未体験ゾーン」、「ホログラム」あたりとか。

武史:そうですね。その2曲はまったくやってなかったし、できないと思ってたんですよ。「未体験ゾーン」をリハでやっても勢いが出なくて。

KOJIMA:当時の魅力が出ないんですよ。みんな演奏したあとに首をひねるみたいな(笑)。昔には戻れないからしょうがねぇなって、ごまかしていたけど、もう一度詰めたら......。

武史:"できるじゃん!"って。だから、自分たちの曲だけど、「未体験ゾーン」、「ホログラム」をやるのも挑戦だったんですよ。まぁ、「ホログラム」はだいぶ変わったけど、それもいいかなって。

KAI_SHiNE:ちょっとずつどこかで裏切ってますからね。

-「ホログラム」は今作の中で一番変化してますよね。原曲のあの完成度の高さを、また違う方向から超えた仕上がりで感動しました!

武史:『シックスメン』(2001年リリースの3rdアルバム)のころにジャムのやり方を覚えて、最近はやってなかったから、そういう要素を入れたんですよ。

-その時々の山嵐のアプローチを今回呼び戻すことで、また表現力や経験値がアップした部分も大きいんでしょうね。

KOJIMA:いろいろ気づけたことは多かったですね。今回歌いやすかったんですよ。それは演奏陣が歌の場所を知ったうえで組み立ててくれたから。今まではできたてホヤホヤで、このへんに歌を入れとけ! という感じで録ってますからね。今回はライヴで何度もやってる曲が多くて、歌の居場所も見つけやすかったから、すごくやりやすかったです。あと、KAIのコーラス・ワークで楽曲がこんなに広がるんだなって。一番面白かったのは「ホログラム」の歌詞で"3Dだか4Dだかもういいほどの立体感"と早口で言ってるパートにとんでもなく高い声を何層も重ねて......超3D、4Dになってて、すげぇアイディアを出してきたなって(笑)。

武史:KOJIMAとSATOSHIとは違う高いコーラスが増えて。「未体験ゾーン」もそうだし、「Anytime Anywhere」の最後のほうのコーラスもそうだし。

-ラストを締めくくる「ホログラム」、「Anytime Anywhere」の流れも最高で。特に「Anytime Anywhere」は聴きながら涙が溢れてきて......この曲も化けましたね。"こんな名曲があったのか!"と。

武史:ははは(笑)。「Anytime Anywhere」は大人になった感じが出てるし、精度は上がったんじゃないかと。

KAI_SHiNE:山嵐はいい歌モノを持ってるんですよ。

-そう、ゴリゴリの前半を経て、11曲目「Go Your Way」からラストにかけての流れはとてもエモーショナルで素晴らしかったです。

KAI_SHiNE:そういう部分を出したくて、「Anytime Anywhere」は"絶対やったほうがいいですよ!"と言いました。

KOJIMA:僕は最後まで拒否してましたけどね(笑)。

武史:KAIは半ギレ状態で"やりましょう!"って。この曲を入れたのはKAIの押しがあったからですね。

-聴けて幸せな気持ちになりました。あと、「希望の鐘」もよりドラマチックな仕上がりになってますね。

KAI_SHiNE:当時のトライアルに沿って、「WIDE VISION」はもっとジャジーなフレーズがあったほうがいいんじゃないか、「希望の鐘」は歌詞や構成にドラマ性があるから、もっと映画みたいにしたらいいんじゃないかと。僕のテーマとしては新たに音を加えるうえで、楽曲のポテンシャルをどう引き上げるかを考えました。「BOXER'S ROAD」にボクシングの試合っぽい音を入れるとか、みんなには説明してないけど、結構細かいことをしてるんですよ。"山嵐"という柔道の技があるじゃないですか。「山嵐」には、その格闘家の声をサンプリングして入れてるんですよ。あと、2000年前後の楽曲には当時のヒップホップなどをサンプリングして入れるとか、どこまで言っていいかわからないけど、そういうこともやってます(笑)。

-面白いですねぇ。あと、今回は音も引き締まってタイトになっているし、サウンドもすごくかっこ良くて。今まではほぼ一発録りだったと思いますが、今回からバラ録りに切り替えた理由は?

武史:いつも使っていたスタジオがなくなったから、それが一番の理由ですね。今回もみんなで一緒に録りたかったけど、それができなくて。じゃあ、バラ録りにしようと。

KAI_SHiNE:時代に沿ったレコーディング方法で、今の録り方も試してみようと。

武史:ただ、リズム隊は大変でした。基盤作りからやったから、ISHII(YOSHIAKI ISHII/Dr)じゃないと、できなかったですね。ふたりでやれば早いから、次第にこうなっていくんだって。逆にこの録り方で良かったですね。

KOJIMA:土台作りは大変だろうけど、ヴォーカルは最高に楽ですよ。次もこのやり方でやりたいと思ってます。さっきも言ったように、歌う場所が空いているから、声も抜けるんですよ。

武史:歌やリリックに合わせて演奏しているんで、それも今までになかったことですからね。だから"あれ、前より良くなってる!"と思ってもらえるんじゃないかと。

-今回はリレコーディングですけど、第2のデビュー・アルバムみたいな気持ちもどこかにあります?

KOJIMA:まったく知らない世代の人もいるだろうし、1stアルバムというか、こういうバンドですよって、ちゃんと伝わる内容かなと。

武史:なかなかこういうスタイルのバンドはいないだろうし、時代に関係なく、音楽が好きな人に届いてくれたらいいなと思います。

-「BOXER'S ROAD」のMVを観て、"初めて聴いたけど、かっこ良かったです"とコメントしている新規リスナーもいましたからね。

武史:そういうのも嬉しいっすね。逆に20年ぶりに聴いて、"すげぇかっこ良かった!"と言ってもらえるのも嬉しくて。すごくおっさんになったなぁと言われないように、常に現役感があって、ピカピカしていたいですね(笑)。

-今作から「BOXER'S ROAD」、「未体験ゾーン」とMVがアップされましたが、このタイミングで初期ナンバーが出ることに対してはどんな気持ちですか?

武史:レーベルに感謝ですよね。自分たちだけだったら、「BOXER'S ROAD」、「未体験ゾーン」なんてMVにしないだろうから。しっかりと恩を返したいですね。

-わかりました。そして今作の全国ツアー"山嵐「極上音楽集」ツアー 2019~2020"が9月から始まりますけど、やはり今作からの楽曲を中心にやるんですか?

武史:ほぼやりますよ!

KOJIMA:ほかにもレギュラーの曲があるから、その兼ね合いをどうしようかなと考えているところですね。

武史:対バン・ツアーだし、時間も限られてますからね。これを経て、次はワンマン・ツアーもやりたいです。その意味でも今回の次に出るアルバムが大切ですね。全力をブチ込みますよ!