INTERVIEW
Jolly Bobby SEX
2019.06.19UPDATE
2019年06月号掲載
Member:RYU(Dr/Vo) AKA(Gt/Cho) NAOKI(Ba/Cho)
Interviewer:山口 智男
90年代の日本のメロコア・バンドのコピーから始まった前身バンドを経て、福岡発の3ピース・バンド、Jolly Bobby SEXは現在、便宜上タグづけされているメロディック・パンクというひと言には収まりきらないユニークさをアピールしている。バンドの結成は2005年だが、彼らの武器のひとつである現在の編成になった2011年以前と以降では、もはや別バンドという気持ちもあるそうだ。TOTALFAT、Northern19らを輩出した"CATCH ALL RECORDS"からリリースする2年ぶりの新作『Don't mess with us』は、そんな彼らにとって新たな転機になるに違いない。
-まず、ドラマーであるRYUさんがリード・ヴォーカルを担当するという編成が珍しいと思いました。
RYU:もともとベース・ヴォーカルがいる4人組だったんですけど、2011年にそのベース・ヴォーカルが脱退してしまって、これからどうしようってなっているなかで――
NAOKI:ギターだった僕がベーシストになって歌おうかって言ってたんですけど、もとからあった曲のキーが、それまでコーラスを担当していた僕には低すぎて歌いづらかったんですよ。
RYU:それで、"じゃあ俺が歌ってみるか"ってやってみたらしっくりきたんです(笑)。
-RYUさんは、それまでに歌った経験はあったんですか?
RYU:コーラスはずっとやってましたけど、リード・ヴォーカルはなかったです。
-バンドにとってかなり大きな決断だったんじゃないかと思うのですが、躊躇はなかったですか?
RYU:逆にさっき言ってもらった"珍しい"っていうのが武器になると思いました。それにバンドマンって"ドラム・ヴォーカルってかっこいいよね"って言いがちなので、仲間ウケを狙ったところもあるし、それがきっかけでバンドマンの友達が増えるんじゃないかという期待もあったんです。ただ、実際ライヴになると、お客さんからは見えづらいし、パフォーマンスも限られてくるので、しょぼく見えないように、そこは3人で話し合いながら意識はしています。
-最初から上手く歌えたんですか?
RYU:いやいやいや、体力的なものもありましたし。
NAOKI:最初はそんなに良くなかったですね(笑)。
RYU:はははは(笑)、全然上手く歌えなかったですけど、8年ぐらいやってきて、ある程度どしっとできるようにはなっていると思います。
-なるほど。もともとベース・ヴォーカルを含む4人編成だったそうですが、このバンドはそもそもどんなふうに始まったんでしょうか?
RYU:僕が大学進学で広島から福岡に来た2002年に、大学で同じクラスになった前のベース・ヴォーカルと前身バンドを結成したんです。
-EAST NINEですね。
RYU:そうです。そこから3年ぐらいオリジナル曲も作ってライヴもやってたんですけど、何か足りない。じゃあメンバーを入れようってNAOKIがギターで入って、4人になったタイミングでバンド名がJolly Bobby SEXになりました。そこからメンバーがちょこちょこ変わりながら今に至ります。
-EAST NINEを始めたときは、どんなバンドをやろうと考えていたんですか?
RYU:最初はHi-STANDARDとかHAWAIIAN6とか、90年代の日本のメロコアをコピーしてました。それからオリジナル曲を作り始めたんですけど、それも切ないメロコアって感じでした。
-NAOKIさんが聴いてきた音楽も日本のメロコアだったんですか?
NAOKI:そうですね。中学生ぐらいからHi-STANDARDにどっぷりハマってました。僕だけ1個下になるんですけど、1年遅れて大学に入ったところを誘われて、入ることになったんです。
-NAOKIさんが加わって、バンド名以外にも、音楽性やバンドに取り組む気持ちも変わったんでしょうか?
NAOKI:変わったかどうかはわからないです。っていうのも、入ってすぐにCDを出すことになって、レコーディングが始まっちゃったんですよ。それまでバンドって言ったら高校時代にやっていたコピー・バンドぐらいだったから、最初はそのスピード感についていくのが精一杯でしたね。
RYU:でも、もともとEAST NINEの3人であまりうまくいってなかったところに、1個下のNAOKIが入ってきて、3人を上手いこと繋げてくれたとは思いますよ。僕ら3人は同級生だったんですけど、NAOKIは1個下だから、全員NAOKIには文句が言えたんです(笑)。
NAOKI:はははは(笑)。
RYU:おかげでメンバーの関係はちょっと良くなったというのはありましたね(笑)。
-NAOKIさんが加わってすぐにレコーディングってことは、すでにオリジナルの曲をやっていたということですよね。そのときは、曲はどなたが作っていたんですか?
RYU:全曲、前のヴォーカルです。
-じゃあ前のヴォーカルが抜けた時点でRYUさんが曲を作るようになったんですね。
RYU:EAST NINEの頃に作ってみたこともあったんですけど、ライヴでやったことはなかったですね。
-曲を作り始めたとき、"これからは自分がバンドを引っ張っていかなきゃいけない"という覚悟みたいなものもあったんですか?
RYU:それはなかったです。というか、バンドを引っ張っているという気持ちはもともとあったんですよ。ただ曲作りに関しては、最初は自信がなかったですね。作ってはみるんですけど、いいのか悪いのかわからないし、そんなに音楽をいっぱい聴く方ではないので、誰に影響されたっていうのもないし。自信がないっていう時期が結構続きましたね。
-いつ頃から自分らしい曲を作れるようになったと感じ始めたんでしょうか?
RYU:2013年に『We Have No Choice』というミニ・アルバムを自主で作ったんですけど、それがお客さんや対バンから結構評価してもらえて、それからですかね。"あぁ、これでいいんだ"って思えるようになったのは。