INTERVIEW
首振りDolls
2019.05.20UPDATE
2019年05月号掲載
Member:ナオ(Dr/Vo) ジョニー・ダイアモンド(Gt/Vo) ショーン・ホラーショー(Ba)
Interviewer:荒金 良介
よりオーバーグラウンドで活躍できるバンドになりたい
-では、今作の話に移りますが、首振りDollsらしい個性が色濃く出ながらも、新体制としての色合いもしっかり注入された作風ですね。
ナオ:曲を作り始めたときはあてもなく作っていたけど、ショーン君が入って......レコーディングしようと思っていた曲を改めて洗い出したんですよ。それで新しい曲を作り直しました。だから、ショーン君が入ってから14曲もできたんです。
-それはすごいですね!
ナオ:曲を作るなかでアルバムの全体像が徐々に見えてきた感じですね。ガムシャラだったし、初期衝動という言葉がぴったりで、ただ生まれてきたものを形にする作業でした。そういう意味でバンドのおいしいところが詰まっていると思います。自分が書いた歌詞に関してはマイナスなイメージの言葉を多く使っているけど、リアルに自分が置かれた状況というか、メンバーも抜けて大変な時期を通過したリアルな心境を歌ったものが多いんですよ。そこは意識せずに統一感が出たのかなと。
-自分の心情を隠さずに歌詞を書こうと思ったんですね。
ナオ:嘘の歌は歌えないから。めちゃくちゃ調子いいぜ、ハッピーだぜ! という状態ではなかったので、メンバー・チェンジをエネルギーに変えて音楽にぶつけた結果です。
-たしかに今作はどこかダークな雰囲気も漂ってますよね。
ナオ:ジャケットをカネコアツシさんに描いてもらったんですけど、曲作りしている期間と漫画"デスコ"を読み終えた時期が重なって。その主人公である"デスこ"はダーク・ヒロインなんですけど、カネコさんにジャケを描いてもらうことが決まってから歌詞を固めたものもあるんで、そこは"デスコ"の世界とリンクさせた部分もあります。
-なるほど。今作はミドル・テンポのナンバーも多い印象を受けましたが。
ナオ:単純にミドル・テンポの曲が好きなんですよ(笑)。美しいメロディを作れるようになりたいという気持ちもあり、そう考えると自然とミドルがやりやすいから。意外とロックロックしてる曲は少ないかもしれないですね。でもバランスのいい作品になったと思います。
-ジョニーさんは、曲作りでどんなことを考えましたか?
ジョニー:さっきも言ったように新しいバンドという感覚があるから、前作とは違って背伸びした感覚もなく、自分らしさを出せたと思います。あまり難しいことを考えずに作りましたから、いいギターを弾けたんじゃないですかね。
-「lazy」はTHE CLASHの「London Calling」風味の曲調ながら、中盤のテーマパーク調のアレンジも面白かったです。
ジョニー:それは実験というか、一緒に音を合わせたときにやってみようと思ったんですよ。以前からやりたかったことのひとつですね。
-それと、今作はホラー感を匂わせるテイストも感じます。
ナオ:ショーン君が加入して、それが音の雰囲気にも出ているんじゃないですかね。首振りDollsが持ってるホラー感、シアトリカルなムードも自然に出てるのかもしれない。
ジョニー:ショーンが入ったことでその傾向は強くなりましたね。
-ショーンさんが作曲した「PSYCHO CLUB」は、まさにホラー色の強い曲調ですね。
ジョニー:それは完全にショーンの色が出た曲で、これまでの首振りDollsにはなかった曲調ですね。やってみたら意外とハマりました。
-首振りDollsが持っている昭和歌謡感とうまくマッチしてます。メンバー3人が曲を書けるのは大きな武器ですよね。
ナオ:そうですね。「PSYCHO CLUB」を持ってきたときも、今までと違う曲だからって突っ撥ねるんじゃなく、恐れずにやってみて良かったです。
-首振りDollsがもともと好きなAlice Cooperにも通じる世界観の曲ですね。ショーンさんは「PSYCHO CLUB」をどんなイメージで作りました?
ショーン:首振りDollsには、うねって、跳ねて、お客さんと一緒にノれるような曲は少なかったから試しに持って行ったら、いいねと言ってくれたんですよね。
-「カラリカラマワリ」の跳ねるリズムもそうですよね。で、「PSYCHO CLUB」はギターとベースにエフェクトをかけてて、音色もユニークですね。
ショーン:もともとシンセで作った曲なんですけど、ギターもそれに寄せてもらったら、バッチリなものが来ました。
ジョニー:ギターはシンセっぽい音色にして......そういう考え方もあるのかって、ショーンに気づかされました。
-あと、「黒い太陽」は唯一ナオさんとショーンさんによる作曲ですね。
ナオ:サビのリズムは今までにないテイストで、そのリズムありきで曲を発展させました。作曲は1時間ぐらいでできたかもしれない。バンドのキラーチューンってできるときは早いんですよ。
-ベースもいいフックになっているし、曲もキャッチーですね。
ショーン:あのリズムも首振りDollsにはなかったから、提案したんですよ。ライヴで盛り上がる曲になればいいなと。
ナオ:サビを繰り返したり、歌いやすさ、覚えやすさを重視しましたからね。ショーン君のガイドがあったから、曲作りもスムーズに進みました。
-「ホール」は作詞作曲がショーンさんで、バンドへの関わり方が初作品から濃密ですね。
ショーン:それは趣味嗜好が出た曲で、採用されるとは思わなかったんですけどね。"ドロヘドロ"という好きな漫画が完結しちゃったけど、それのアニメ化が始動するという話になり、そのエンディング曲を勝手に作りました(笑)。A、Bで遊んでサビはキャッチーというのは自分の曲作りで意識していることなので、それがうまくいったと思います。
ナオ:ぜひアニメに使ってほしいですね! この曲では初めてウィスパー・ヴォイスにもトライしてますから。
-今作を発表して、これからのバンドの展望を聞かせてもらえますか?
ジョニー:もう1枚アルバムを作りたいですね。
ナオ:曲はいっぱいあるのですぐに出せます(笑)。
-マジですか! 今作を聴くと、音楽的な可能性はもっと広がりそうですね。
ナオ:うん、そうですね。ショーン君が入ったことにより、オーバーグラウンドで活躍してるバンドとも渡り合える音楽性になってきたと思っているんです。俺たちはメジャー・デビューしたとはいえ、まだこれからだから。最近、昭和の歌謡曲を好む若者が増えているみたいだから、そういう人たちにも刺さればいいなと。今作に手応えがあるからこそ、よりオーバーグラウンドで活躍できるバンドになりたいですね。