INTERVIEW
WORLD END MAN
2018.12.06UPDATE
2018年12月号掲載
Member:Kiyo Nishihara(Vo) Naoto Inui(Gt) Shigeki "UMEBO" Nakazato(Dr)
Interviewer:吉羽 さおり
-UMEBOさんは今回、試行錯誤したところはありましたか。
UMEBO:もともと俺はデスメタルの派手なフレーズが好きなので、ドラムに関して、そんなに難しいっていうわけではないんですけど、ひたすら派手に見えることを意識していますね。曲の根幹はInuiとKiyoさんのふたりで作ってくるんですけど、そこに対して自分なりにフレーズを改善したり、"スネアの位置をもうちょっとこうした方がいいんじゃないか"というアイディアを勝手に盛り込んで返したりするんです。で、"どうだった?"ってInuiに聞くんですけど、"正味わからなかったから大丈夫だと思います"って。
Kiyo:(笑)
UMEBO:これは、ドラムは勝手にやっちゃっていいんだなと。
Naoto:いや、それはUMEBOさんなんでね(笑)。パッと聴いて違和感ないし、かっこいいなっていう。
UMEBO:自分のやりたいことができているので問題ないですけどね(笑)。
-Nishiharaさんからは、ドラムに関しては何かオーダーはあるんですか。
Kiyo:僕は楽器をやったことがないので、言う資格がないと思っていて。ひと言も言ったことないですね。
Naoto:Kiyoさんがそういうのを言うときって、楽器がどうとかじゃなくて、"パーンとかドーンの感じ"みたいな──
Kiyo:パーンとかドーンが欲しいみたいな(笑)。
Naoto:そういうので、ちょこちょこ変えていくことが多いですね。
-その感覚的なところをInuiさんが拾っていくわけですね。曲作りではそういう擬音や感覚的な言葉が飛び交うことも多いんですか。
UMEBO:感覚的な方が、ある意味ではわかりやすくていいのかなって気がしますね。楽器やっている人がわちゃわちゃやっても、楽器やってる人にしかわからない世界になってくるので。そういう面では、いい効果を出しているんじゃないかなと思いますね。
-今回の制作で、この曲は難航したっていうものはありますか。
Kiyo:僕的には「Blackest end」ですね。これはだいぶ昔に書いたものなんですが、InuiもUMEBOもいないときに書いた曲やったので、ふたりが演奏したらちょっと違ったんですよ。
UMEBO:前の音源とちょっと違ったみたいな、若干ズレが出たような感じでしたね。
Kiyo:だから、ヴォーカルが全然ハマらなくて。ヴォーカルのレコーディングを1時間くらいやりましたね。
-それでも1時間なんですね(笑)。
Kiyo:僕はやり直さないので。何回やっても別に上手くはならないので(笑)。
-そこは、メンバーが変われば曲も変わるという感覚ですかね。
Kiyo:やっぱり昔のメンバーは演奏が下手でしたからね(笑)。UMEBOとかInuiは正確なんですけど、昔は曲の途中でBPMが変わってた、という曲があったらしくて。僕は"なんで合わへんのかな"と思ってたけど、Inuiが"曲の途中でBPMが変わってるからですよ"って説明してくれたんです。あかんやんって(笑)。
-今音楽的なところで目指しているものを、より形にできている感覚は強いんですか。
Kiyo:そうですね。僕は日本でも、アメリカに住んでいたときもずっとバンドをやっていましたけど、今のメンバーが最高ですね。
-Inuiさんが曲の部分でしっかりハンドルを握っている感じもありますしね。
Kiyo:Inuiに100パーセント任せてるので。
-Inuiさん自身がやりたいことをどんどん盛り込める感じもあるんですか。
Naoto:リフや曲を作ってるときって、細かいこだわりみたいなものを入れたくなるんですよ。入れたくなるんですけど、それをKiyoさんに持っていったときに、"もっとシンプルにしてほしい"って言われるようなこともあって。やりたいことをやってるというよりも、WORLD END MANっていう部分を意識していましたね。ただ、シンプルにしすぎたときに、逆に自分の中で不安になったりするんですよ。でも、やっぱりヴォーカルが入ったときに、聞こえ方が全然違ったりもするので。あぁ、正解やったんやなっていう。
-Nishiharaさんは、そのあたりの差し引きっていうのが感覚的にわかっているんですかね。
Kiyo:僕は素人目線で見ているので。音楽のリスナーの80パーセントが一般人で、20パーセントがミュージシャンだとしたら、たぶんInuiとかUMEBOはその20パーセントの人だと思うんです。それで、その20パーセントしか良さが理解できないような曲を作ってきたら、"いや、80パーセントはそんなんやってもよくわからんで"っていうことは言いますね。
-そこがキャッチーさや、このバンドのフックになる場所なんでしょうね。
Kiyo:まぁ次は、Inuiの好きにやってもらっていいですけどね。
Naoto:はははは(笑)。
-今回のアートワークでは、デスメタルを紹介するという意味合いも込めたということでしたが、それは歌詞の内容についても言えそうですね。徹頭徹尾ブルータルなもので、どの曲もブレがない世界観になっています。
Kiyo:歌詞については、僕はホラー映画が大好きなので、ホラー映画とか好きなことを詰め込んでいる感じですかね。
-ホラー的要素や残虐なモチーフというのは、何か現実的な出来事が引き金になって歌詞に影響するっていうこともあるんですか。
Kiyo:僕のは全部実体験とは別です。僕の場合、ホラー映画と実在の連続殺人鬼とかの話が多いですね。"世の中つらいけど頑張れ"みたいなことは、まったく思わないタイプなので(笑)。InuiとかUMEBOとかは僕がどういう人間かわかると思うけど、僕からそういう、"頑張れ"、"負けるな"みたいのは絶対出ないと思うから。
UMEBO:たしかに(笑)。
-世の中的にはどうしても、そういう曲は多いですしね。
Kiyo:最近、アルバムのブックレットを作ったときに、他のバンドの歌詞とかを読んでいたんです。日本のバンドって、めちゃくちゃ厳ついバンドなのに、歌詞を和訳をすると"頑張れ"みたいなのも多くて。"それ、別に怖い声で言うことじゃないよ"っていうところはありました。でも、それも好みの問題ですけどね。まぁ僕はやらないです。