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INTERVIEW

D

2018.12.18UPDATE

2018年12月号掲載

D

Member:ASAGI(Vo) Ruiza(Gt) HIDE-ZOU(Gt) Tsunehito(Ba) HIROKI(Dr)

Interviewer:藤谷 千明

Dにとって2018年は、結成15周年、メジャー・デビュー10周年という節目になった。浮き沈みの激しいシーンの中で自らの世界観を掲げ続けてきた彼らのアニバーサリー・イヤーを締めくくるのは、新曲4曲を含むベスト・アルバム『Vampire Chronicle ~V-Best Selection Vol.2~』だ。本作のテーマである"ヴァンパイアストーリー"は、ヴァンパイアの王とその息子、そしてそれを慕う4人の騎士を中心とした数百年にわたる物語が、楽曲を通して展開されている。一見難解な世界観だが、背景にある情熱と強い意志はDというバンドそのものを表しているのだ。

-Dというバンドは様々な世界観を持っていますが、中でも結成当初から掲げている"ヴァンパイアストーリー"の楽曲が収録された、『Vampire Chronicle ~V-Best Selection Vol.2~』が12月19日にリリースされます。このストーリーは数百年にわたって展開されていますし、まつわる楽曲も何十曲とあります。"ヴァンパイアストーリー"はDにとって、どのような存在なのでしょうか?

Ruiza:Dが結成されるときに、ASAGI君が、最初に今回のアルバムにも収録されている「Vampire Missa」、その次に「弾丸」(※初回生産限定盤付属DVDに収録)という曲を作ってきてくれたんですね。Dというバンド自体がそこからスタートしているので、"ヴァンパイアストーリー"はなくてはならないものです。

HIROKI:15年を経て、今やものすごい数の"ヴァンパイアストーリー"の楽曲があります。自分たちもキャラクターとして登場しますし、ファンに愛されている曲ばかりです。Dを代表するストーリーなんじゃないかと。

HIDE-ZOU:Dには様々なストーリーがありますが、中でも"ヴァンパイアストーリー"は一番大きく広い展開をしていて、15年の主軸というか、僕らの強みであり、推しどころという位置になっていると感じます。

Tsunehito:メンバーがそれぞれ役を担っている部分もDのオリジナリティを表していると感じますし、何百年とある構想の中で、今も物語は広がり続けていて、本当に壮大で、Dの中で代表するものだと思います。

ASAGI:"ヴァンパイアストーリー"はDの核とも言えるものですね。もちろん"ヴァンパイアストーリー"だけがDではありませんが、これらの物語がなければ今のDはないと言っても過言ではないので。15年描いてきたなかで、物語の人物もDのメンバーと共に成長してきているんです。第1章までの基本的な物語は、過去を描いている楽曲もありますが、実は1ヶ月の間を描いていて、第2章はその3年後で、その間は人間としての時間を過ごしているので、それぞれの思考にも少し変化があったりして。僕らDもこの15年間、様々な経験をしてきたので、物語は当然フィクションなんですが、異世界での僕らなのかなという部分もあり、もはやなくてはならない存在ですね。歌を歌っているときはその人物の歴史や感情が憑依しすぎて、ある意味困る場合もあったり(笑)。今はドライツェンの最悪な気持ちを描いているので、僕も彼の気持ちになって鬱々としてます(笑)。

-このタイミングで主軸となる"ヴァンパイアストーリー"のベストを出すという意図を聞かせてください。

Ruiza:前回のシングル『Revive ~荒廃都市~』(2018年6月リリース)で第2章がスタートしましたし、"ヴァンパイアストーリー"のベストを結成15周年、メジャー・デビュー10年という記念の年に出せるというのが大きいですよね。

-曲順もストーリー的な意図があるのでしょうか?

HIROKI:そうですね。キャラクターを代表する楽曲の並びや、曲同士の関連性も感じられる曲順になっています。

ASAGI:実はDって15年やってるわりにはベスト・アルバムってそんなに出してないんですよ。10周年まで一度も出しませんでしたし。なぜ10周年で出した(2013年にリリースした『D 10th Anniversary GOD CHILD RECORDS Best Selection』)かというと、ファンの方たちがいつ、どのタイミングで、Dを好きになってくれるかわからないじゃないですか。なので、好きになったときに、過去の楽曲を手にしようとしたのに手に入らなかったら残念だなと思って。実際、未だに初期の曲も中期の曲もセットリストに入れていってますし。15年作ってきた曲はどれもDらしい曲なので、できれば全曲聴いてほしいんですよね。なので自社から出したCDは、ほぼほぼ何かの形で聴ける状態にしています。世界中でたくさんのバンドが生まれてくるなかで、結成15周年、メジャー・デビュー10年って、誰でも見られる景色ではないので、節目として出すのはいいかなと思っていますね。曲順の流れはストーリー順というわけではないのですが、Dは気になるけど今までの曲を全部集めるのは大変だなと思ってる人にもオススメですし、新曲もあるので、すでにファンでいてくれるみなさんにも一連の流れを通して楽しんでもらえると考えてます。

Ruiza:当然自分たちの曲なんで何度も全曲聴いてるんですけど、改めて感じることも多かったし、聴いてくれるファンの人も、新たな繋がりや楽しみ方ができるのではないですかね。

前回のインタビュー(※2018年11月号掲載)でも"ヴァンパイアストーリー"についてはご説明いただいたのですが、ヴァンパイアの王 ドライツェンと、その息子 ジャスティス、そして彼に忠誠を誓う4人の騎士といった、メンバーをもとにしたキャラクターが登場します。この物語自体が、Dというバンドを表している側面もあるのではと感じるんです。

Tsunehito:四騎士のキャラクターもそうですが、ASAGIさんが描く世界観は現実と重なるところもたくさんあると思いますし、ただの物語というだけではないですよね。

ASAGI:フィクションですが、それぞれのキャラクターは、メンバーとまったくの別人を描いているつもりはないです。メンバーの性格や雰囲気を少しずつ注入してできあがったのが各人物なんです。だから余計に親近感があるのかもしれませんね。本当のHIROKI君は大サソリに乗ったりしてませんけど(笑)、HIROKI君演じるウィルダネスだったらこんなふうに乗りこなすだろうなぁという、単純に僕の想像なんです。でもそれは長い間一緒にバンドをやってきたメンバーであるからこそ、そういうイメージも浮かぶというか。曲や歌詞ができたときにざっくりとしたストーリーも添えて、メンバーに送るんですけど、みんな少年のように物語を楽しんでくれているので、僕としても嬉しいですね。HIDE-ZOU君は読んだあとに電話をかけてくることが多いです(笑)。もう、いわゆるありがちな感じの、"ヴァンパイア!"っていう単純なものではないんですよね。それぞれの人物像にそれぞれの歴史があって、苦悩と葛藤があって、それらが交差するときに時代が動くというか。本筋以外も、描こうと思えばこの先何年でも描いていけると思います。過去編も遡って描くならなおいっそう。人生の一部で、僕にとってなくてはならないもののひとつです。

Ruiza:僕は氷を司るヴァンパイア、キルヒアイスというキャラクターが役どころになるんですけど、その背景やストーリーを読むときに毎回感動しますし、自分に近いなと思うところもあります。ASAGI君が書いてくれるストーリーは大好きですね。

HIROKI:メンバー各々の性格が踏襲されている部分もあるので、自分たちでも、デモの段階で楽曲についてや歌詞の内容をASAGI君から聞いたときは感動がありますね。そういったキャラクターの新たなストーリーが生まれたときは感慨深いです。