INTERVIEW
Sick.
2018.04.25UPDATE
2018年05月号掲載
Member:Tatsuki Nakanishi.(Vo) Fuki Konishi.(Gt) Lyu Sakai.(Gt) Tokio Ozaki.(Ba) Shiyu Nagahashi.(Support Dr)
Interviewer:杉江 由紀
転んでもタダでは起きないどころか、より盤石にして万全な体制での再起を見事に果たしたSick.は、このたび発表する全6曲入り4thミニ・アルバムに"Sick of you."と自らのバンド名を冠した。昨年11月には突如3人もメンバーが脱退するという事態に陥りながら、その窮地を逆手にとった彼らは"今、最も自分たちの目指したいバンド像"へと大胆に新生することを選択。Last Day DreamのギタリストであったLyu Sakai.と、ベーシストであったTokio Ozaki.という名うての猛者たちを新メンバーとして迎えることにより、Sick.が得たものは相当に大きいだろう。今後の彼らは、より広いフィールドを舞台にして派手に闘っていくことになるに違いない。Sick. is Back!
-昨年11月に、Sick.からは3人のメンバーが脱退しました。そして、このたびは新メンバーを迎えて以降の初音源となるミニ・アルバム『Sick of you.』がここに完成したことになります。まずは率直にうかがいますが、旧Sick.と現Sick.では何がどう大きく変わったことになるのでしょうか。
Tatsuki:わかりやすく言うと、去年11月までのSick.が未完成なところのあるバンドやったとしたら、今の新しい体制になったSick.は完成形に向かって一気に近づいた状態なんじゃないかと思いますね。
-新メンバーであるLyuさんとTokioさんが、どのような経緯でSick.へ加入されることになったのかも教えてください。
Tatsuki:Lyu君とTokio君は、ふたりともLast Day Dreamというバンドにいたんですよ。特に、Tokio君とはもう5年以上前から知り合い同士ではあったし、僕からすると秘かに彼らのことを"すごいバンドやな"と思っていたんですね。"いつか一緒にやれたらいいな"と思ったことも実はあったし、それ以前にTokio君に関しては昔"一緒にやるか、やらへんか"という話を具体的にしたこともあったくらいなんです。まぁ、そのときはお互いにまだ十代やったし、若さ故のぶつかりあいもあって(笑)、とりあえずその話はなくなったんですけど。
-だとしても、縁はもともとあったということなのでしょう。
Tatsuki:きっとそういうことなんでしょうねぇ。あれから時間も経って、お互いにいろいろな経験をしたこのタイミングで、Sick.には新たなメンバーが必要になり、Tokio君はLast Day Dreamを脱退したということもあり、改めて話をしてみたら、ふたりの考えていることや、先々に見据えているヴィジョンのようなものが一致したんですよ。それで、まずはTokio君に入ってもらうことにしたんです。
-そもそも、TatsukiさんとTokioさんとの出会い自体は何がきっかけだったのですか?
Tokio:TatsukiがSick.以前にやっていたバンドのライヴを、僕が昔お客さんとして観に行ったことがあったんですよ。しかも、彼と僕のバンドはたまたま使っていたスタジオも一緒で、ロビーみたいなところですれ違ったりすることもあったんですね。ちなみに、当時はとにかくCrossfaith、SiM、coldrainあたりが流行ってて、それを聴いてたら"俺、カッコいい"みたいになりがちな雰囲気があったんですけど(笑)、TatsukiはそういうなかでENTER SHIKARIとかARTEMAなんかの動画をパソコンでよく観ていたりしたんですよ。そのときに、"ENTER SHIKARI好きなんですか?"って話し掛けたところから共通の話題で盛り上がったのが始まりで、そこからやったよね?
Tatsuki:そうやね。俺の方も、いろいろ話をしていくうちに思い出したんです。"そういえば、大阪のライヴハウスで僕が当時やってたバンドの曲を、前の方で一緒に歌いながら観てた男の人がいたな"って。それが、実はTokio君だったということがわかりました(笑)。"じゃあ、そっちのバンドのライヴも行くわ"って観に行ってみたら、これが予想以上にめっちゃカッコ良くてびっくりしましたね。それ以来、時間が合えば飲みに行くようにもなったし、彼がLast Day Dreamに入る前には一緒にやろうかという話も一瞬出ていた、ということだったんですよ。出会ってから、なんだかんだ5年越しでようやく一緒にやれることになりました(笑)。
-なんでも、Lyuさんが入られたのはさらにそのあとのことだったそうですね。
Lyu:俺が入ったのは、わりとつい先日のことです(笑)。
Tatsuki:"Lyu君も入れたい"という話は、Tokio君からの提案だったんですよ。ただ、Lyu君を誘うのはちょっと難しかったです。最初はかなりまどろっこしい感じで話を始めていきましたね。FukiとTokio君も一緒に、さりげなくみんなで飲みに行くところからスタートしたんですけど。もちろん、いきなり"ウチに入ってくれへん?"なんていうことも言えなかったです。
Lyu:とはいえ、飲みの場に呼ばれて3人がカウンターに並んで座ってる時点で、"なんだろうなこれは?"とは思ったんですけどね(笑)。俺としては、普通にTatsukiだけがいるものと思って行った感じだったので。
Tatsuki:そこは僕としても、気は遣ったんですよ。だって、当時まだLyu君は前のバンドに残っていたわけですし。そこで、唐突に"そっち抜けてこっちに入ってください"なんて言えるわけないですからね。"どうなんですか、最近は。今のバンドはずっと続けていく感じなんですか?"みたいな話からしていきました(笑)。
Lyu:いかにも"何かありそうだな"という雰囲気は漂わせつつも、一向に直接的な誘いとか発言はないんですよ(笑)。
-いわゆる、"今の彼氏とはどうなの? ずっと付き合っていくつもりなの?"的なアプローチと非常に似ていますねぇ。
Tatsuki:いやもう、まさに僕は女の子もそういうふうに口説いてきましたから(笑)。そして、結論から言うとLyu君的にも"いいバンドに誘われたら、そこでやることも考える"という意志はその場で確認できたので、そこからはわりと家も近かったので頻繁に会うようになって、今現在に至っています。
-そういうことでしたか。正直、昨年あの"3人のメンバーが一気に脱退"というニュースが流れたときには"大丈夫なのかな?"と心配しましたよ。
Tatsuki:あぁ、間違いなくそれはみんなが思ったことでしょうね。
-ぶっちゃけ、TatsukiさんとFukiさんだけになってしまった当時に、危機感や不安を感じたことはなかったのですか?
Tatsuki:前の3人が抜けた時点では、まだ誰も後任の当てはなかったんですよ。だから、本当のことを言えば"さて、これからどうしよっかなー"というのはありました。ただ、ある意味ではいろんなことが白紙に戻ったので、これはひとつのいい機会かもしれないな、と考えていたところもあるんです。
-その機会とは何を意味していたのですか?
Tatsuki:実は、活動の範囲というかシーンを少し変えたい、もっと広げたいということは前々から思っていたことだったんですよね。要は、これまでやってきたヴィジュアル系のフィールドをメインにするのではなく、もっとほかの場所にも積極的に出ていきたいという意志をここで明確にしていくには、いい時期でもあるなと考えたんですよ。