INTERVIEW
Sick.
2018.04.25UPDATE
2018年05月号掲載
Member:Tatsuki Nakanishi.(Vo) Fuki Konishi.(Gt) Lyu Sakai.(Gt) Tokio Ozaki.(Ba) Shiyu Nagahashi.(Support Dr)
Interviewer:杉江 由紀
Sick.として作ってきた曲たちも歌詞たちも捨てることは絶対にしたくなかった
-あらゆる意味で、Sick.の未来がここからスタートしていくことになりそうです。紆余曲折はありつつも、見事な復活劇となりました。
Tatsuki:Fukiとふたりきりになったときは、ほんまに"どうしよう?"って思ったのも事実やし、周りからしても"あいつら、終わったな"と言われてたんでしょうけどね。でも、だからって新しいバンドを立ち上げることはしたくなかったし、Sick.としてこれまで作ってきた曲たちも歌詞たちも捨てることは絶対にしたくなかったんですよ。Sick.は、最初に始めたときから自分のバンド人生において"最後のバンド"にしたいとずっと思っていますからね。その夢を、こんなにも最高のメンバーと出会うことによりちゃんと繋ぐことができて良かったです。
-かくして、このたび発表されるミニ・アルバム『Sick of you.』は、新生Sick.としての初アイテムとなります。半年足らずで、よく完成までこぎつけましたね。
Fuki:率直に言うと、今回のアルバムはタイミング的な事情もあって"このメンバーありき"で最初から作ったものにはなっていないんですよ。ギター録りについても、レコーディング段階ではまだLyuさんがサポート状態だったので、Lyuさん自身は弾いてないですしね。今回の作品については、アドバイザーというかたちで参加してくれてます。
-ドラム録りはShiyuさんがされているのですか?
Fuki:彼は叩いてはいないです。その代わり、彼の作ってくれたフレーズを彼自身が打ち込んでドラム・トラックを作ってくれてます。
Shiyu:こういうやり方は僕自身も初めての経験で(笑)、いい勉強になりました。
-Tokioさんの場合、ベーシストとして初めてSick.のレコーディングに参加された手応えはいかがでしたか。
Tokio:今回の曲たちは前のバンドよりもチューニングが低い曲ばっかりだったので、使う竿を変えたんですよ。そこがまずちょっと難しかったです。
Fuki:ドロップAとかA♯が多いからね。無理難題なことも、いきなり頑張ってもらうことになっちゃいました(笑)。
Tokio:持ってはいたけど、これまでほとんど使ってなかった5弦を持ち出して弾きましたよ。買った当初より時間が経っていい具合に乾燥したのか、楽器自体の音が断然良くなってたので、Sick.で活用することができるようになって良かったです(笑)。
Fuki:いずれにしても、今のこの新編成になったことで曲調の幅を広げられるなという目論見はあったので、その面で今回のレコーディングでは、より新しい可能性を正面から追求した作品にすることができたと思っています。
Tatsuki:それと同時に、今回は歌詞についてもすごく大事にしました。これまでは何かと後ろ向きな内容も多かったですけど、今回はここから進んでいくんだ! という気持ちが何より強かったですからね。どうしても、前向きな言葉しか出てきませんでした(笑)。
Fuki:曲調も明るくなったしね。排他的な要素が今回はあんまりないんですよ。
Tatsuki:それはあるな。リード・チューンの「Resonance.」で歌ってる今の自分たち自身のこともそうだし、「Song for you.」という曲ではメンバーが変わってもSick.を応援し続けてくれている人たちに向けての言葉も、今回はとにかくしっかりとありのまま伝えたかったんです。いろんなものを失ったなか、でも新しいものも手にして、っていう今だからこそ書けた、今までとは違う歌詞ばかりになってます。
-『Sick of you.』は、新生Sick.にとっての大切な序章に仕上がったようですね。
Tatsuki:今回は"Sick."というバンド名を意図的にタイトルに入れた一方で、いろんな意味で僕らにとって非常にイレギュラーな作品ではあるんです。音の面でも歌詞の面でも挑戦していることが多いし、そういう意味ではこの1枚だけで"これからのSick."をすべて表せているとは思わないです。むしろ、"Sick.ってこの方向でずっと行くんだ"とも思われたくないというか(笑)。純粋に今現在のSick.のリアルな姿がここに凝縮されているだけなのであって、"スター・ウォーズ"みたいに時系列の違う映画シリーズの1本として解釈してもらった方がいいんじゃないかな。
Fuki:あぁ、"エピソード0"的なことね(笑)。
Tatsuki:そうそう! ここからのSick.は過去も現在もすべて込みで未来へと向かいます。