INTERVIEW
Amiliyah
2018.04.05UPDATE
Member:kimi(Vo) Ambii(Gt)Wester(Ba)
Interviewer:杉江 由紀
-ところで、今作中にはWester様が主人公となっている楽曲もあるそうですね。
Wester:うむ、あるぞ。『Departure』の中の「daisy」がそうだ。
kimi:私はすべてのモンスターたちの"これまで"を把握しているので、必要に応じて彼らのことも歌詞にしています。
Wester:姫は幽閉されていた期間が長かったせいか、会話という意味での言葉はあまり得意な方ではないのだがな。そのぶん、伝えたいことを詞で書くことには大変長けておる。
-その一方で、kimi姫はヴォーカリストという観点からいくと、今回の2作品たちの中でどのような可能性を追求していくことになりましたか。
kimi:例えば、『Departure』の最後に収録されている「gravity」は普段あまり使わない高めのキーの曲だったんですよ。とても透明感がある楽曲ですし、そこはキーを変えてしまうと醸し出せない部分でもあったので、高い音を維持することでこの世界を表現する必要があったんです。逆に、同じく4thアルバムの3曲目となっている「air」は私からするとかなり低めのキーの曲ですし、曲調もどこか男らしい感じが漂っていたので、今までにないくらい力強いイメージを出したかったんですよね。それぞれに、今までとはちょっと違うスタンスで歌っていくことになりました。
-キーの高低差もそうですが、時にストーリー・テラーのようであり、時にモンスターたちの心情を代弁しながら、聴き手に対して説得力のある歌を織り上げていくのは、技術的に難しいところが多くあるに違いありません。
kimi:特に、『HIDDEN DOOR』の方は闇の世界や、心の中の闇を深く掘り下げていくような内容になっているので、そこをどれだけ伝えられるかという点は自分としても非常に重視しました。ややその反動もあったのか(笑)、光や太陽をイメージさせる『Departure』の方では明るく伸び伸びと歌えたとも言えますね。
-モンスターたちは、レコーディングで姫が歌っているときに"もっとこうして"的なオーダーを出すことはあるものですか。
Wester:そんなにはないな。ただ、姫は明るめの曲だと思い切って開放的に歌うということに、少し躊躇してしまうところがあるので、そういうときに指摘をすることはあると言えばあるとも言える。だが、闇を歌うことに関してはとてつもなく長けているので(笑)、その点については一言たりとも発したことはないぞ。
-不思議なものですね。光の国のお姫様なのに、闇を歌うことにとてつもなく長けているだなんて。
Wester:結局、そこは長く幽閉されていた経験の影響が強いということであろうな。
kimi:でも、表裏一体なんですよ。光と闇というのは。
姫には、俺様たちモンスターがついていないといけないのだよ
-深いですね。それでは、最後にもうひとつ質問をさせてください。モンスターたちは、なんでも願いごとが叶う神様からの"標"が欲しくて、姫との旅を始めたとのことでしたよね。ある意味それは、もともと忠誠心をもって仕えているのとは違って、相当な下心ありきの行動であると思えるのですが......。
Wester:そうだな、そのとおりだ!
-むろん、今作たちのような秀逸な作品ができあがるということは、姫とモンスターたちの間にある種の信頼関係が結ばれているのだろうとも思うものの、モンスターたち側の動機がどこか不純である、というところが少し気になります。
kimi:もっとも、たとえ動機は不純だとしても、彼らは目的を果たすために一生懸命曲を作り、精一杯の演奏もしなければいけませんからね(笑)。それに、私自身も彼らと同じようにこの旅を通じて見つけたいものがあるので、彼らの気持ちはよくわかります。
-つまり、利害関係は一致していると。
Wester:そうか、わかってもらえたようで何よりだ。だいたい、姫がひとりでフラフラしていて何かに襲われたり、食べられちゃったりしたら大変なことになるだろう? 姫には、俺様たちモンスターがついていないといけないのだよ。そして、"標(しるし)"を探し出していくのにあたっては、姫の歌がどうしても必要な鍵だからな。"標"があるところで姫が歌えば、"標"がなんらかの反応をするらしいぞ。だから、これからも姫にはたくさんの場所で歌ってもらっていってほしいと思っておる。ひいては、そのことによってAmiliyahの世界の住人も増やしていきたい、と目論んでおるぞ。
-では、さらにもうひとつだけ。Ambiiさんにとって、姫とはどんな存在なのです?
Ambii:えーと......。だいすきぃー♡
Wester:おぉ、それは良かった。Ambiiはまだ子供だから仕方ないな(笑)。