INTERVIEW
STONE TEMPLE PILOTS
2018.03.23UPDATE
Member:Dean DeLeo(Gt)
Interviewer:山口 智男
フロントマンを失ったSTONE TEMPLE PILOTS(以下:STP)が、新ヴォーカリストを迎え、アルバムとしては『Stone Temple Pilots』以来8年ぶりとなる7thアルバム『Stone Temple Pilots(2018)』をリリースした。STPらしさと同時に90年代のグランジ/オルタナ・ブームのなかでは見過ごされてきた、また別の一面を印象づける快作がアピールするのは、不屈、そして不滅のSTP魂だ。7月2日には恵比寿LIQUIDROOMで一夜限りの来日公演が開催されることも決まった。アメリカをツアー中のバンドを代表して、Dean DeLeoがインタビューに応えてくれた。
-『High Rise』(2013年にSTONE TEMPLE PILOTS WITH CHESTER BENNINGTON名義でリリースしたEP)から数えて、約4年半ぶりとなる新作『Stone Temple Pilots(2018)』を完成させ、リリースしたばかりの現在の心境をまず教えてください。
今の心境だって? 今僕はオレゴン州ポートランドにいるんだ。ツアーの真っ最中なんだけど、休息をとてもよく取れた気分だよ(笑)! 素晴らしい気分だ。すごくいい。甥がここに住んでいるんで、もう少ししたら甥に会いに行く。Jeff(Gutt/Vo)、Robert(DeLeo/Ba)、Eric(Kretz/Dr)、そして僕はとてもうまくいっていて、素晴らしい時間を過ごしている。ライヴは素晴らしいよ。ところで、君は今どこにいるの?
-東京にいます。
7月に東京に行くことになるんじゃないかな。
-それは素晴らしい知らせです。
僕は日本が大好きなんだ。Robertと僕は1年ほど前に"CLASSIC ROCK AWARDS"で日本に行ったけど、最高の時間を過ごしたよ。だから、大好きなのさ。
-ツアーはいつから始めたのですか?
初日は3月2日だった。
-2014年にChester Benningtonがバンドを離れた時点で、STPの活動は宙に浮いてしまったんでしょうか? それとも、Chesterに代わるヴォーカリストを見つけて、バンドを続けるんだという意志は堅かったんでしょうか?
Chesterの代わりなんかいないよ。Scott(Weiland)の代わりもいなかった。僕たちはただ単純に、やるべきことをやりたかっただけだ。レコードを作って、ライヴをして、それをみんなのためにプレイしたかったんだよ。ChesterはEP(『High Rise』)に参加することしかできなかったけど、そのことを僕たちは承知していたんだ。Chesterと一緒にEPを作っていたときから、LINKIN PARKが再始動しそうになっていたから、悲しいことに彼がSTPと過ごす時間は終わりを迎えることになった。それで、RobertとEricと僕が3年ほど前にSTPのヴォーカリストを世界中から募ったところ、約2万人応募してきたんだ。このこと知ってた?
-なぜそういう形で広く募集したのですか?
世界中からヴォーカリストを見つける以上にいい方法があるかい? なぜ制約を設けるんだ? 僕は自分のやり方に制限を設けるつもりはなかったんで、サーチ・エンジンを使って世界中から募ったんだよ。特定の基準を設けてね。そしたら、約2万人が応募してきた。RobertとEricと僕はそれぞれ、ひとりひとりをチェックした。正直、100時間以上はコンピューターの前に座って、世界中から応募してきたヴォーカリストを観たんだ。でも、その中にJeffはいなかった。僕たちがJeffと出会ったのは、RobertがHOLLYWOOD VAMPIRESでツアーに出ていたからなんだ。デトロイトでライヴをやったとき、ライヴ後に誰かがバック・ステージにやってきた。"君は地元の人間か?"と聞いたら"そうだよ"と。それがJeffだった。翌日、Robertから僕のところに連絡があって、それから数日後に僕たちはJeffと同じ部屋にいた。そしてその日から1年間、彼と一緒に過ごしてから、彼をバンドに迎えたんだ。
-彼を選んだ決め手はどんなことだったんでしょうか?
そうだなぁ......。彼の声が大好きなんだ。そして人間としての彼も大好きなんだ。彼の音楽作りの才能が大好きなんだ。
-実際に会って一緒にプレイしたのはJeffだけだったんでしょうか?
いいや。2万人以上の応募者の中から40~50人をオーディションしたけど、Jeffは――Robert、Eric、そして僕にとっては、曲作りができることがとても重要だったんだ。僕たちと一緒に曲を作ることがね。僕に言わせてもらえれば、その最も優れた人間のうちのひとりがScott Weilandだった。彼との曲作りにはすごいものがあったよ。EricもRobertも僕も、Scott以下の曲作りの才能はいらなかった。別に比較しているわけじゃないけど、Scottはハードルをかなり上げたんだ。僕たちとしては、曲をたくさん作って、アルバムをもっと作って、みんなのためにプレイしたい。Jeffがいなかったら、おそらくそれは成されなかっただろう。Jeffは最後の最後になってオーディション会場にやってきた。僕たちがオーディションした最後の3人の中にいたんだ。そしてオーディション初日にJeffと一緒にプレイして、そこから1年経ったのちに、彼をヴォーカリストの座につけたんだ。
-曲を書けるということが、STPのヴォーカリストになるための必要不可欠な条件なのですか?
ああ、もちろんだとも!
-STPのヴォーカリストになるための他の条件はありますか?
音を外さずに歌えること。
-(笑)それはそうでしょうね。では、新作について聞かせてください。新作を作るに当たっては、どんな作品にしようと考えたんですか?
特にこういうアルバムを作りたかった、というのはなかったんじゃないかな。ただ曲を持ってレコーディングに臨んだだけさ。どんなアルバムになるかは、曲に決めてもらったんだ。
-結果、どんな作品になったと感じていますか?
わからない。君はどう説明する?
-これまでの延長線上で新しいSTPサウンドを作ろうという意欲が感じられる作品になっていると思いました。
そうだね、Robert、Eric、それに僕がいるんだからね。
-新作はJeffが加わる前から作っていったんですか? それともJeffと一緒に作っていったんですか?
僕はしょっちゅう曲を書いているんだ。
-STPの典型的な曲作りの方法というのがあったら教えてください。
個人的には、家にギターがたくさん転がっているんで、何かできそうだなという気がすると1本手に取って、弾いてみるんだ。
-曲を書くときは必ず楽器を手にしていますか? 楽器を手にしていないときでも、ふと頭の中でアイディアがひらめくことはありますか?
そっちの方が多いよ。ディナーを終えて音楽をかけているときに、頭の中に何かがひらめくことがあるんだ。別のカウンター・メロディを思いついたりしてさ。でも、そばにギターがないと、携帯に向かってメロディをハミングして録音したりする。ただ悲しいことに、そばにギターがないときに何かを思いつくことが多いんだな。