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FEATURE

STONE TEMPLE PILOTS

2018.03.15UPDATE

2018年03月号掲載

喪失と再生の果てに、新たな歌声を手にしたSTONE TEMPLE PILOTS、約8年ぶりとなるニュー・アルバム・リリース!!

ライター:井上 光一

STONE TEMPLE PILOTS(以下:STP)というバンドは、そのキャリアからして特異な存在である。90年代初頭に一大ムーヴメントとなったグランジ旋風のなかでデビューし、瞬く間に時代の寵児として大きな成功を収めたという実績のみならず、Scott Weiland(ex-VELVET REVOLVER)とChester Bennington(LINKIN PARK)という、異なるタイプではあるが、圧倒的存在感と個性を持ったロック史に残るふたりのヴォーカリストがそれぞれフロントマンを務め、結果的にその両方を失うという悲劇に見舞われてしまう。そのあまりにも濃密な歴史は、限られた文字数で簡潔にまとめられるようなものではないが、2018年という時代に、STPは新たなシンガーとしてJeff Guttを迎え、再びシーンの最前線に戻ってきた。
 
通算7枚目となる最新作のタイトルは、そのものずばり、"Stone Temple Pilots"。2010年にリリースされた前作同様、再びセルフ・タイトルが使用されたこと自体、彼らが未来を見据えて力強く歩み始めた証であろう。Track.1「Middle Of Nowhere」は、オープニングを飾るに相応しい、しなやかでグラマラスなギター・リフが冴えわたるナンバー。ソングライティングの要である、Dean DeLeo(Gt)とRobert DeLeo(Ba)のDeLeo兄弟による緩急自在のコンビネーション、バンドの屋台骨を支えるEric Kretz(Dr)のダイナミックなドラムスは、すでに五十路を超えたミュージシャンとは思えないほどに、若々しく溌剌としている。肝心のJeffのヴォーカルに関して言えば、先行公開されていた王道のSTP楽曲と言えそうなTrack.3「Meadow」やTrack.7「Roll Me Under」を聴けば、STPの3代目シンガーという、気の遠くなりそうな大役に真正面から挑み、それでいて力みすぎることなく、楽曲の魅力を最大限引き出す役割をきっちりこなしていることは、理解できるはず。レイド・バックした雰囲気が漂うTrack.6「Thought She'd Be Mine」やTrack.9「The Art Of Letting Go」といった渋味の効いたメロウな楽曲でも、押し引きをわきまえた見事な歌唱を披露しており、古典的なロックやブルース、ネオ・サイケデリアからポップスまで、多彩なバックグラウンドを持つSTPの幅広いサウンド・アプローチに見合った、高い表現力を兼ね備えたシンガーとしての実力は確かなものである。あえて言うなら、Jeffの声質がScottに近いものであるというのは、熱心なファンであればあるほど、複雑な気持ちにさせられる要因でもあろう。私事ではあるが、90年代からSTPの音楽を聴いてきた、いちファンの身としても、Scottが持っていた独特の毒気、危うさのようなものが皆無であることに、一抹の寂しさは禁じ得ない。とはいえ、Jeff自身が"Scottの代わりを務めることができる人なんて誰もいないよ"と明言しているように、彼はモノマネ・シンガーとして起用されたのではなく、STPの"今"を体現し、"未来"に向けて共に歩んでいくための存在なのだ。
 
アルバム全体を通して貫かれているのは、キャリアを重ねたバンドならではの余裕と、大人の色気を漂わせつつ、一流のミュージシャンが作り上げた、時流に左右されない普遍性を持った王道のアメリカン・ロックである。キャリア初期にあまりにも売れすぎたが故に、時に無責任なメディアからは亜流グランジなどと揶揄され、90年代からずっと、ここ日本において過小評価されがちであるからこそ、過去作はもちろん、本作は改めて多くのリスナーに聴かれるべきサウンドであると断言しよう。新たな歌声と共に生み出された、人生の酸いも甘いも噛み分けた大人のロック・アルバムの味わい深さを、ぜひ堪能してほしい。
 

▼リリース情報
STONE TEMPLE PILOTS
7th ALBUM
『Stone Temple Pilots』

2018.03.16 ON SALE!!
WPCR-17985/¥2,500(税別)
[WARNER MUSIC JAPAN]
amazon TOWER RECORDS HMV

1. Middle Of Nowhere
2. Guilty
3. Meadow
4. Just A Little Lie
5. Six Eight
6. Thought She'd Be Mine
7. Roll Me Under
8. Never Enough
9. The Art Of Letting Go
10. Finest Hour
11. Good Shoes
12. Reds & Blues
13. Already Gone ※日本盤ボーナス・トラック

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