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INTERVIEW

STONE TEMPLE PILOTS

2018.03.23UPDATE

STONE TEMPLE PILOTS

Member:Dean DeLeo(Gt)

Interviewer:山口 智男

-Jeffは今作の曲作りに貢献したのですか?

彼は歌詞と歌メロを考えた。一部、自分のヴォーカルに合わせて曲のアレンジもしたよ。

-Jeffにはデモを渡すのですか?

いや。初めて一緒にやったときは彼に何曲か聴かせたんだ。1曲は「Meadow」、もう1曲は「Roll Me Under」だった。最初の日にRobertのスタジオで彼に曲を聴かせて、彼がメロディを乗せられるかどうか見てみたんだ。そうしたら、彼はその場でちゃんとやったよ。アルバムに収録されているメロディは、彼がその初日に思いついたものなんだ。彼の曲作りの才能に僕たちがいかに感心したか、想像できるだろう? それと、もうひとつある。マイクに向かうと、Jeffがいかに才能あるヴォーカリストであるかがわかるんだ。マイクの前で歌い出すと、彼は曲が必要としているものにどんどん形を整えていくんだよ。Jeffのそこに一番感心したね。彼には、曲に必要なものがちゃんとわかっている。歌いすぎもしないし、歌いなさすぎもしない。その曲が必要としているものをきっちりとやることができるんだ。単に素晴らしいメロディを思いつくだけじゃなくて、それをどこから出せばいいかわかっていた。喉からなのか、胸からなのか、頭からなのか、彼にはそれがちゃんとわかっていたんだ。アイディアとして頭の中で思いつくことはあっても、実際にマイクを持ってそれを実践できるテクニックを持っているのはまた別なんだ。

-それはできるか、まったくできないかのどちらかなんでしょうかね。

そのとおりだとも! 中途半端はないよ。ひとつ教えてあげるよ。偉大なヴォーカリストはそこそこのバンドを支えていけるけど、偉大なバンドはそこそこのヴォーカリストを支えていけないんだ。

-もともと、曲の幅広さには定評のあるSTPですが、今回もスピーディな1曲目の「Middle Of Nowhere」以降、アコースティック・ナンバーも含め、幅広い曲調の曲が揃いました。曲の多彩さはアルバムを作るうえでテーマのひとつとしてあったんでしょうか? それとも、結果的に多彩な曲が揃ったということですか?

僕たちは、音楽の素晴らしい響きが大好きなんだ。そしてフィーリングと、それに伴ってくるすべてのものがね。曲は......なんて答えたらいいのかな。自分の音楽について語るのはなかなか難しい。ただ、そのときに感じたことなんだよ。「The Art Of Letting Go」は、スタジオで別の曲に取り組んでいたときにその場で思いついて書いたんだ。ギターを手にしたら、文字どおり瞬く間にあの曲ができたんだよ。それを聴いたJeffが歌い出した。あの曲は5分ほどでできたんだ。肝心なのはフィーリングなんだよ。僕は、ギターの練習なんかしない。身体で曲を感じるんで、ギターを手にして弾いて、心の中、頭の中にあるものを吐き出すんだ。だから曲っていうのは、そこらへんに浮かんでいるフィーリングが身体に入り込んできて自分自身のフィーリングになって、それを吐き出すことなんだよ。

-新しいSTPを象徴する曲をいくつか挙げるとしたら?

そうだなぁ、わからないよ。うん、わからない。

-では、現在のSTPの新しい面とはどういったものなのか、言葉で説明していただくことは可能ですか?

単にこの4人で曲を書き、レコーディングする、それだけさ。努めていることがあるとすれば、プレイして僕たちのパフォーマンスを捉えることを受け止め、受け入れることだ。僕たちはそれをやりたいんだよ。失われたアート、それはパフォーマンスだ。人間が本当にプレイしていることだよ。誰かが録音ボタンを押して、"行け!"ってね(笑)。僕たちにとって肝心なのは常に曲だった。そして、そのパフォーマンスを、エナジーを捉えることだったんだ。聴けばわかるよ。

-ステージでのライヴ感を捉えてアルバムに収める、ということですか?

曲というものは、ライヴになるとまた違ってくるものだ。もうちょっとニュアンスが出てくるし、フリー・フォームになるね。尺も長めになる。アルバムに収められている曲をどう感じるかということと、あとトーンのクオリティーも曲に与えないといけない。とにかく、何よりもまず大事なのが曲であり、アレンジなんだよ。それからパフォーマンスを捉えて、トーンの風景を描くことなんだ。

-2010年にリリースした6作目のアルバム(『Stone Temple Pilots』)もセルフ・タイトルでしたが、今回、再びセルフ・タイトルになったのは、なぜですか? 新たなスタートを切るのだという意味を込めてセルフ・タイトルにしたのですか?

答えはアルバム・ジャケットに示してあるよ。正直、あそこにはっきりと描かれているんだ。

-3月2日からツアーを始めたということですが、今回のツアーでは、これまでライヴであまりやってこなかった過去の曲もやっているようですね。

3種類のセットリストでローテーションを組んでいるんだ。20曲からなる3種類のセットリストがあって、そこからまた何曲かずつ変えたりしているんで、かなりの数の曲を網羅しているんだよ。すごくいろんな曲をやっている。このツアー用に60曲くらい用意したんだから。

-新曲もすでにやっているのですか?

ああ、2曲やっている。「Meadow」と「Roll Me Under」だ。今2曲しかやっていないのは、アルバムがまだリリースされていないからだ。この2曲はすでに公開されているんで、みんなが聴いて消化する時間があったんだよ。ライヴに行って、自分の知らない曲をやられるほどひどいことってないよね。アルバムをみんなが聴いて消化したら、もっとやるよ。僕だってライヴに行ったら、聴いたこともない曲をごまんと聞かされるなんてゴメンだね。時間をくれよ、アルバムを聴かせてくれよって思うよ。僕としてはもっとやりたいけど、アルバムが出てみんなが聴いて消化したら、間違いなくもっとやるさ。このアルバムの曲は、すごくライヴ栄えするんだから。ライヴで素晴らしいものになるんだから、新曲をもっとたくさんやれるのをすごく楽しみにしているんだ。ミュージシャンがプレイの幅を広げて最新の楽曲をやるのはいつだって楽しいよ。

-STPはこれまで数々の苦難に直面してきました。それにもかかわらず、大きな成功を収めてきたことは称賛に値すると思うのですが、これまでのキャリアを振り返ってどんなことを感じますか?

僕はとても幸運だと思っている。これが当たり前だとは思っていない。僕のバンドには、とてもとても、悲しい、悲しい、悲しい面がある。もちろん、それはみんなが知っていることだ。Scottがここにいてすべての成功を楽しめたらどんなに良かったかと思う。彼が人生に与えられたことを子供たちと共にすべて楽しめたらどんなに良かったかと。僕にそれが変えられたらなと思うよ。もしも僕に3つの願いが叶えられるのなら、ふたつはわかっている。僕の仲間(Scott、Chester)を呼び戻して、彼らの心に安らぎを与えてあげたいということ。そして3つ目の願いは、あともう3つ願い事をしたいということかな。

-新生STPの目標は?

目標はないな。ただ、世界中を回るはすごく嬉しいことだ。みんなに会って、みんなのために音楽をプレイすることだよ。そして、このバンドは僕のものじゃない。考えてごらんよ。このバンドは僕のものじゃない。僕以外のすべての人のものなんだ。僕はただ、僕たちの音楽を分かち合い、プレイして、みんなが同じ屋根の下にいるのが大好きなんだよ。これはみんなのものだ。僕のじゃない。だから、これは目標じゃない。僕がやっていることに対する愛なんだ。

-嬉しいことに来日の予定があるようなので、楽しみにしています。

ありがとう。僕は君の国が大好きなんだ。美しいよ。