INTERVIEW
DON BROCO
2018.01.22UPDATE
2018年02月号掲載
Member:Simon Delaney(Gt) Matt Donnelly(Dr)
Interviewer:吉羽 さおり
-その"極端に"っていうのは、意識的に出そうとしたことですか?
Simon:そうだったと思う。前作に比べても、大きな一歩、大胆な一歩を踏み出したかったし。聴いたときにガツンとぶつかってくるような作品にしたくて。思い切ってやったところはあるかな。
-前回、2017年2月の来日時のインタビューはフロントマンのRob(Rob Damiani/Vo)が答えてくれたんですが。当時、制作中のアルバムについて、"今のUKミュージック・シーンを騒がせるムーヴメントを起こしたい、そういうアルバムにしたいんだ"っていう話をしていたんです。今のミュージック・シーンに足りていなくて、自分たちが打ち出せる武器っていうと、なんだと思いますか。
Matt:具体的に僕たちから何を提供できるのかっていうのは、難しいんだけど......やっぱり"ユニークだね、独特の存在だね"って言ってもらえるのが、僕らは一番の褒め言葉だと思っていて。そもそもUKでは、DON BROCOは初めからわりと目立っていた存在で。それはなぜかっていうと、他のバンドと違うからというのが理由だったんだ。見た目的にも、サウンド的にもね。他に僕らみたいなバンドがいないよねっていうことで、ロック・バンドをやってきているから。そういう我が道を行くバンドは、得てして認められたり、頭角を現すのに時間がかかったりはするんだけど、今度のアルバムがチャンスになるんじゃないかと思っているんだ。地道に自分たちのやりたいことを貫いてきただけに、報われる気持ちにもなると思うしね。僕の個人的に好きなバンドはみんなそうやって大きくなっていったバンドばかりだから、僕らもそうやっていけたらなと思うよ。
-そういうふうに他のバンドとは違いがあったのは、何か反骨精神があって、僕らは周りと同じことはしない、迎合しないっていう思いがあった?
Simon:まさにそれだね。いわゆるブラック・シープ、群から外れた子っていう存在の方が、楽しいじゃんって感じで笑っていて(笑)。そういう奴って、すごく好かれるか嫌われるかのどちらかになると思うんだけど。でも、そのくらい極端な反応が返ってくる方が、僕らはいいと思ってた。どっちつかずで、周りの様子を窺って音を出しているようなバンドよりもね。
-だからこそ、今回のような振り切った曲作りもできるわけですね。我が道を貫いていくなかでは、なかなか受け入れてもらえなくて、もがいていたような時期っていうのは、あったんですか。
Matt:もちろん! 最初のころは大変で、不安もあったよね。もしかしたら、そのときの周りのモードに合わせた方が楽なんじゃないかって思ったこともあったし。その方が、成功できるんじゃないかとかね。でもやっぱり、今は自分たちを貫いて良かったと思うし、頑張った甲斐があったなと思うし、自分たちらしさにこだわってきた甲斐があったね。バンドもすごくうまく回り始めて、地元でももちろん、前作のアルバムで初めてアメリカにも行って、ヨーロッパもほとんどカバーして、こうして日本やオーストラリアにも回れるようになってきたからね。しかも、今回の日本でのライヴは新作のリリース前にできたわけで。こうやってライヴをやるっていうのが、僕はバンド活動の中でも一番好きなことで。それでちゃんと結果が出てきているのが、一番嬉しいよね。
-着実にライヴ活動をすることが、DON BROCOを広める突破口にもなったんですね。
Simon:まさにそうだと思う。さっきもMattの話にあったように、どこの型にもハマらないし、どんな箱にも入り切らないというなかで、例えば、いわゆる伝統的なバンドのプロモーション活動といったら、ラジオで流れるとか、雑誌に取り上げられるということだと思うんだけど。それが僕らは、なかなかうまくはできなかったんだよね。UKでの成功というのは、ライヴをやること。ライヴを重ねるなかで、自己証明ができたと思う。
-音楽業界的な話が出たところで、資料によると、今作に収録された「Come Out To LA」という曲は音楽業界での体験がもとになったということなんですが、実際にどういう体験があったんですか。
Matt:実体験も一部あるかな(笑)。っていうか、それを面白おかしく書いた曲なんだけどね。特にアメリカに行った初めのころに経験したことなんだけど、例えばメジャー・レーベルの人たちから話があって、一緒にディナーなんかをして、その席でおいしい話をされて、"一緒にやろうよ!"って言っておきながらも、その後何も起こらないとかね。そういうことはいっぱいあったかな。なんでなんだろう? って。それが"業界"だってことを、理解するのに時間がかかってしまったんだけど。そういう、期待を煽られる部分と、現実とのギャップみたいなこととかを書いている曲で。
Simon:いかにもロサンゼルス的なんだよね、イメージそのままっていうかさ。
Matt:もちろん、今は大好きな街だよ。当時、そういう現状を目の当たりにして面白おかしく曲にしたってだけでね(笑)。