MENU

激ロック | ラウドロック ポータルサイト

INTERVIEW

DON BROCO

2021.11.19UPDATE

2021年11月号掲載

DON BROCO

メンバー:Rob Damiani(Vo)

インタビュアー:山本 真由

近年のUKロック・シーンの中でも特に異彩を放ち、独自のスタイルで人気を確かなものとしているDON BROCOが、4作目となるニュー・アルバムをリリース。これまでも3年おきに新作を世に送り続けてきた彼らだが、パンデミックで情勢が変わっても変わらぬスタンスで新作をきっちり作ってきてくれるというのは、ファンにとっては嬉しいことだろう。また、今作はそんな状況下だからこそじっくりと自身の音楽と向き合った結果、研ぎ澄まされた完成度の高い作品となっている。今回は、そんな今作の内容や作品を巡る状況について、フロントマンのRob Damianiに詳しく語ってもらった。


変化があったとしたら、音楽やアート全般が、自分が思っていたよりもずっと大切なことだったって気づいたことだね


-ニュー・アルバム『Amazing Things』のリリース、おめでとうございます! これまでも、だいたい3年に一度のペースで新作を発表していますが、コロナ禍でもそのペースを落とすことはありませんでしたね。コンスタントに作品を生み出し続けられるアイディアの根源や、モチベーションを保ち続けられる理由はなんだと思いますか?

そう言ってくれるなんて嬉しいね。ありがとう! 僕たち4人はいつも"思いついたものを全部出す"ようにしているんだ。と言ってもツアー中には曲を書くのをストップすることが多くて、少しずつ溜めておく感じなんだけど、いつもアイディアが出てくるわけでもないんだよね。ツアー中はツアーを楽しむことやショーに専念しているんだ。で、家にいるときは、どんなにゴミみたいなアイディアだって自分で思っても(笑)、どんなにクレイジーに思われても......何かしらの懸念があったとしても、とにかくメンバーに送ることをポリシーにしている。曲が作り終わっていないことの怖さを払拭できるまで、アイディアを投げ合うんだ。お互い、それぞれのアイディアに関しては反応がとてもいいから、いつも大いにコラボしているよ。どう持っていけばいいのかわからないアイディアがあったり、何かいいところがあるのはわかっていても確信が持てないアイディアがあったりしても、そこに別のメンバーが介入すればいい方向に導くことができるんだ。

-いつもメンバーのアイディアに対して心が開かれていて、一緒に考えていくんですね。それもあってカラフルなアルバムを出し続けていられるのだと思います。今回のアルバムについてはこのあと詳しく質問しますね。昨年から続くパンデミックの影響で、ライヴなど活動は大きく制限されたかと思いますが、その間どのように過ごされていましたか? 制作活動には影響があったのでしょうか?

うーん、そんなに影響はなかった気がするな。たしかに今までよりもダウンタイムが長かったけど、ある意味一番リラックスしたソングライティング・プロセスをもたらした気がするんだ。通常はアルバムを出したらツアーして、気づいたらまたツアーやショー、はたまたフェスがブッキングされていて、それに間に合うように"急いでアルバムを作らなきゃ"、みたいな感じのことが多いからね。パンデミックがやってきて、それまで予定されていたことがなくなったり、宙に浮いたり、延期になったりしたときに、ポジティヴな面として、初めて時間をかけてリラックスしながらアルバムが作れるんじゃないかと思ったんだ。それに、ノーマルなことをやれるしね。例えばテレビを観たり、ゲームをやったり、普段だったら忙しすぎてできないことができると思った。大好きだけどなかなかできないことをね。他の人はもしかしたらやれて当たり前と思っているかもしれない普通のことが、僕たちはあまりやれていなかったんだ。ずっと旅しているとそういうことをする時間もないし。クリエイティヴな面で見れば......ツアー生活をしているというのは、シャボン玉の中に暮らしているようなものだと思うんだ。世間で起こっていることの実感が常にあるわけじゃない。ニュースなんかがいい例だよね(苦笑)。たまに家に帰ってニュースを見て、"Wow! こんなことがあったんだ!?"なんて驚くことも多い。でも、パンデミックの中を生きていると、ニュースに釘づけになる。世界中で起こっていることについてすべて吸収せずにはいられないんだ。世界中のものの見方がシフトしたような感じだしね。家にいてダウンタイムがいつもより長かったおかげで、昔より世の中のことをしっかり考えるようになったと思う。"自分はどう思う?"と問うようになったしね。クリエイティヴな視点から見れば、歌ったり語ったりする題材が増えたとも言えるね。

-まさに今から聞こうと思っていたことも含めて答えてくださってありがとうございます。社会のあり方や仕組みが変化していくなかで、音楽に対する考えやバンドに対する考え方に変化はありましたか?

そうでもないかな。変化があったとしたら、音楽やアート全般が、自分が思っていたよりもずっと大切なことだったって気づいたことだね。実質的にというか怖い面では......"このままずっとツアーできなくなってしまったらどうしよう、ショーというものが二度と行われない世の中になってしまったらどうしよう"、と心配したよ。考えるだけで恐ろしかった。周りでもツアーをやっていた人たちがそれを何度も延期していたし、僕たちもどうすればいいのかわからなかったし、もしこのままの状況だったらバンドとしてやっていけるのか......経済的にもね。ツアーできなかったらお金にならないし、考えるのも怖かった。でもクリエイティヴな面を見てみれば、家にずっといて、外に出られない、友達にも会えない、いつもならできることができない、そういう状況になると、今度は家で実際にできることに立ち戻るんだ。映画を観たりNetflixを観たり、テレビを観たりゲームをやったり......。友達とオンライン対戦するなんて、普段は時間がないからね。あと、それまで聴きたい聴きたいと思っていたけど時間がなくて聴けなかったアルバムも全部聴くことができた。じっと座って音楽をかけっぱなしにしていると、音楽のありがたみを感じたよ。本も読んだね。普段は読む時間がないから(笑)。そうやってあらゆるアートのありがたみを強く感じたんだ。実生活でやることがないときは特に助かるね。音楽も映画も別世界に連れて行ってくれるから、そんな状況の中でもハッピーで充実した生活を送らせてくれるんだ。そういう経験が、アルバムのタイトル"Amazing Things"のインスピレーションの中にあった気がするよ。エゴイストになるつもりはないけど(笑)、僕たちはこれらの曲をとても誇りに思っている。いろんな意味で奇妙で酷い1年を過ごしたあとで、今年は12曲も大好きだって言える曲を出すことができたし、ファンにも気に入ってもらえると思うしね。ファンからはメッセージをたくさん貰ったよ。そうそう、みんなオンラインになっている時間がうんと増えたから、メッセージの数もすごく増えたんだ。僕たちもじっくり読める時間ができたしね。みんな、僕たちの音楽がこの時期を乗り越える助けになったって書いてくれていたんだ。僕たちは"できる限り最善のアルバムを作りたい、それで楽しんでもらえたらいいな"、くらいには思っていたけど、そういうふうに書いてくれると、ある意味責任重大だなと思ったよ。それもあって、音楽の大切さが今までに増してわかったんだ。

-これほどつらくダークな1年を経て『Amazing Things』というアルバムを出してくれて、この時代にこれ以上ないほどポジティヴなタイトルだと思いました。新作の制作はいつごろ取り掛かったのでしょうか? パンデミック前ですか?

直前だったかな。あ、もっと前だな。最初に書いた曲は「Uber」だったんだけど、コロナ禍が始まる1年くらい前だったと思う。LINKIN PARKのMike Shinoda(Vo)とツアーしていて、ええと......それは(コロナ禍から)まる1年前の10月で......。

-ということは2019年?

ええと(苦笑)......たぶんそのくらいだと思うけど......わからなくなっちゃったな。ちょっと待って、スマホを持ってくればわかるかもしれない。(と言ってスマホを取ってくる)だってさ、なんか1年失くしてしまったような気がしない?

-まったくですよ(苦笑)。"2019年って去年? 2年前?"と考えてしまうことがよくあります。

だよね。......ええと、今が2021年だよね。曲作りを本格的に始めたのは2020年の10月だったかな。でも「Uber」を書き始めたのはたぶん2019年だと思う。というのもロンドンのウェンブリーで大きなショーが控えていて、この曲をやれたらグレイトなんじゃないかって思っていたからね。だからそのショーの前に仕上げてしまおうと思っていたんだ。でも――(同じ部屋で何か言っていたマネージャーに向かって)えっ、2018年なの? ノーーーー! マジか......(苦笑)さらに1年失くしちゃったってこと?

-(爆笑)Mike Shinodaとツアーしたのは2018年ということですね?

そうだね。ツアーは2019年まであったけど......3年前かぁ、クレイジーだなぁ。

-光陰矢の如しですね。

まったくだよ。信じられないね。ともあれ、事の発端はそこだったんだ。大半は翌年にツアーから戻ってきて書いたけどね。3~4ヶ月くらいで書き終えるつもりだった。

-それは去年(2020年)?

......だと思っていたけど、さらに1年前ってことになるね。2019年かな。2019年の11月、12月、2020年1月に書いていたんだと思う。そして、2020年の終わりにはレコーディングを始めて、4月には出すつもりでいたんだ。それが当初の計画だった。でも書き終わらなくてね。制作上の観点でいえば、そこに恵みの時間ができたような感じだった。おかげで何を作りたいのかがはっきり見えてきたんだ。というわけで音楽的なアイディアの多くはパンデミック前からあったけど、ちゃんと形になったのはあとだった。デッドラインはあったほうがいいけど、トゥーマッチなデッドラインは欲しくないね(苦笑)。あまりに納期が短いと突貫工事になってしまって、曲に一息入れさせてあげることができないから。

-たしかに。

普段曲を書くときはストレスが溜まるあまり自己嫌悪に陥ることが多いんだ。何かうまくいかないことがあってもそれを脇に置いて考えるってことができないからね。"あと数週間したらレコーディングしないといけないから、完成させないと"と考えるんだ。そうすると時には何日も寝ないで考えて、健康にも良くないし......わかってはいるけど、この曲をパーフェクトにするまで次には行かない、なんて考えてしまう。でも今回のプロセスでは、何かうまくまとまらないことやしっくりこないことがあっても、もっといいものにできるはずなのにその方法がわからなくても、強制的に完成させはしなかった。脇に置いて、次の曲に進んでいたんだ。時には何もやっていないときにふと"ああ、これを試してみればいいんだ"と考えが浮かぶこともあったよ。それがうまくいったりしてね。数ヶ月時間ができてプレッシャーがなくなったおかげで、僕たちにとってのプロセスがずっとハッピーでいいものになったんだ。こんな時間は二度と取れないだろうけど(笑)。また次急かされるように書くことにならないといいね。

-今作は、本国や配信ではすでにリリースされていますが、前作『Technology』(2018年リリース)とは違った方向性となった今作に対して、ファンからはどのようなリアクションがありましたか? みなさんオンラインにいる時間が長くなってリアクションの数も増えただろうと思いますが。

今のところ上々だよ! 僕自身はここ数日あまりネットに入り浸りにならないようにしているけどね。というのも今年ちょっと難しいなと思っていることのひとつが、音楽をリリースしてもそれをライヴで観てフィードバックを貰える機会がないってことだったんだ。ネット上では自分たちのやっていることを"理解"はしてもらえる。すごく嬉しいメッセージを貰ったりして、みんなに気に入ってもらえているのもわかる。でも、生身の観客からのリアクションに勝るものはないからね。

-たしかに。一番ダイレクトな反応ですものね。

そうなんだよ。この世で一番いい感触だと思う。この1年くらいはそれがなかったから大変だった。最初の3、4曲を出したときも、1週間くらいはみんな"大好きだ"、"すごく気に入った"、"最高だ"と言ってくれるけど、みんな他にやることがあるのは言うまでもないから(笑)、いつまでもそう言ってくれるわけじゃないんだよね。

-なるほど(笑)。

そうすると、聴く側とのインタラクションに隙間ができてしまうような気がしてね。愛も枯れてしまうような気がする。みんなやることがあるから、毎日言ってくれるわけじゃないしね。今はやっとツアーに出られてファンのリアクションをダイレクトに感じられる。新曲をやって、フィジカルで直観的なリアクションを得ているんだ。あれは格別だよ。早くツアーに出たくてたまらなかった。今はスマホを見るたびにファンから感想が入っていて、みんな気に入ってくれているみたいで嬉しいよ。

-実際にライヴでお客さんの反応を見て、ようやく努力が報われた実感が出てきているんですね。良かったです。

そうなんだよ。