INTERVIEW
MAHATMA
2017.10.24UPDATE
2017年10月号掲載
Member:NaNa(Vo) Hideki(Dr)
Interviewer:吉羽 さおり
2001年にドラマーHidekiを中心に活動開始したMAHATMA。様々なメンバーの変遷や編成の変化がありつつ、現在はHidekiの弟のギターTsubasaと女性ヴォーカルNaNaによる3人編成となった。女性ヴォーカルを据えたロック・バンドだが、生み出されるのは凄まじく緻密な構成を持った楽曲で、クラシックやフュージョン、メタル、ロック、ポップスなど、吸収してきた要素や旨みをフルに駆使したスペクタクルな曲となっている。今回リリースとなるミニ・アルバム『WITH LOVE IN MY HEART』は、昨年の2ndフル・アルバム『Orchestra of the Life』から連なる人生を丁寧に描いている。鮮やかなタペストリー的な作品だ。
-MAHATMAはバンドのスタートから、変遷があるようですね。
Hideki:結構歴史が長いので、メンバー・チェンジは重ねていますね。
-インストのバンドだった期間もあるということですが。
Hideki:ありましたね(笑)。自分が幼いころからクラシック畑の人間だったので、器楽演奏というのには慣れ親しんでいたんですよね。当時、バイオリンとかを入れてインストゥルメンタルでやっていた時期があって。クラシックの影響を受けた組曲みたいなのをやっていたこともありました。
-でも、"バンド"にはこだわりがあったんですか。
Hideki:自分が始めたきっかけが、X JAPANのYOSHIKIさんで。ドラムも叩くけど作曲もできるYOSHIKIさんに憧れて、自分も曲作りを始めました。バンド・スタイルでやっていきたかった感じですね。
-バンドでありつつ、クラシックの要素を盛り込んだ激しい曲へとなっていったんですね。ここに至るまでは試行錯誤もありましたか。
Hideki:最初に始めたころは16~17歳の高校生だったので、すごくシンプルな曲が多かったんです。メロコア、Hi-STANDARDとかが流行った時期でもあったので、今のような長い曲は全然やっていなかったんですよね。
-10代で、衝動感の方が強いというか。
Hideki:強かったですね。ミュージシャンへの憧れとか、そういうもので若いころはやっていました。
-MAHATMAとしてのカラーが出てきたきっかけはあるんですか。
Hideki:スタイルが固まってきたのは、ヴォーカルのNaNaちゃんが入ってからですね。女性ヴォーカルで、ロック・テイストで、自分と弟のTsubasaで作曲をするんですけど、今までの音楽性をフルに発揮したようなスタイルが出てきた感じですね。
NaNa:私はもともとバンド仲間だったんです。さっきお話ししていたインスト時代に知り合いになったんですけど、30分とかの持ち時間でMCを一切せずにインストで1本のライヴをするというスタイルで。自分が歌モノばかり聴いて育ってきたので、あまりそういう音楽を知らなくて"すごい!"と思いました。それで仲良くなって、私の当時のバンドの演奏をHidekiに聴いてもらうこともあったんです。そしたら、"NaNaちゃんの声に合った曲を思いついたので、一緒にやらない?"という感じで誘われて、加入することになりました。
-NaNaさんはどんなバンドをやっていたんですか。
NaNa:女性ヴォーカルの歌モノバンドですね。他のメンバーがビジュアル系とかが好きな方だったので、それを女性ヴォーカルっぽく、ポップスっぽくしたようなバンドでした。
-Hidekiさんとしては、ヴォーカリストとしてのNaNaさんのどんなところが良かったんでしょう。
Hideki:ルックスというかキャラクターがしっかりしてるんですよね。あとは、小柄だけどそれを感じさせないパワーがあるというか。歌っているときは、意外と大きく見えるなっていう印象は昔からあって。
NaNa:大きく見えたんだ(笑)。
Hideki:一緒にやってみたいなという。
-それまでは女性ヴォーカルというのは、自分の範疇にあったんですか。
Hideki:男性のヴォーカルでずっとやっていたんですけど。自分がクラシックを聴いていたせいか、作る歌の音域がかなり広いんですよね。男性ヴォーカルだとどうしてもきついところもあって、満足できる男性のヴォーカルがなかなかいなくて。思い切って、女性ヴォーカルに転向してみようかという感じでしたね。それからは、曲作りの進行も早くなったので、イメージが自分の中でも固まってきたんだと思いますね。
-妥協点がなくなったんですかね。
Hideki:たしかに。音域の部分では、NaNaちゃんにもかなり苦労させているみたいですけど(笑)。
NaNa:私があまり音域が広い方ではないと思うので。
Hideki:なので、今はNaNaちゃんの声の上と下とをフルレンジで活用してます。ただやっぱり、ひとつの調で作るとどうしても音域が広くなってしまうんですよね。自分たちの曲に転調が多いのは、歌のキーに合わせているからなんです。
-そういう発想だったんですか!?
Hideki:そう(笑)。最初に作ると高すぎちゃうので、転調でうまくヴォーカルの音域に合わせてやっていくんです。それが、MAHATMAの個性となっているかもしれないですね。
-あくまで、歌ありきということですね。
Hideki:自分はメロディ命の人間なので。そこはかなり重要視しています。
-クラシックは、子どものときにどう触れ合ったものなんですか。
Hideki:自分のお父さんがレコード・マニアだったんです。家にアナログ・レコードのリスニング・ルームを持っていて。ありとあらゆる──クラシックもジャズもロックも全部聴くんですけど、クラシックが一番好きなようで、母親のお腹にいるころからクラシックのレコードを常に流されていたようなんです。
-胎教ですね。それは、兄弟のTsubasa(Gt)さんも同じような感じですかね。
Hideki:Tsubasaはどうなんでしょうね。自分が長男だったのもあって、大事に育てられたのか(笑)。お腹にいるときも音楽を聴かせようみたいのがあったんだと思うんですけど、Tsubasaのときは慣れたのか、そういうのも少なくなっていたんじゃないですかね。
-兄弟で音楽を始めるのは、ふたりにとっては自然だったんですかね。
Hideki:そうですね、最初に自分が始めたころはギターのTsubasaはいなかったんですけど、自分の影響でTsubasaがギターを始めて。自分も"この子は天才なんじゃないか"っていうくらい、上達が異様に早くて。初めてから1年くらいでYngwie Malmsteenみたいなフレーズを弾いてました(笑)。これは一緒にやっていくしかないんじゃないかなと思って。
-兄弟で、音楽的なところでは共通体験もありますし、わかり合えるところは大いにありそうですね。音楽の趣味も似通っているんですか。
Hideki:一緒にいた時間も多かったですからね。CDとかDVDを共有して、一緒に見たり、音も一緒に出していたので。でも、自分がクラシックのメロディに対して、Tsubasaはどちらかというとジャジーなメロディとかそっち系も備わっているみたいで、それが自分とTsubasaの曲がいいバランスとなっていると思います。