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INTERVIEW

Phantom Excaliver

2017.07.21UPDATE

2017年07月号掲載

Phantom Excaliver

Member:Kacchang(Vo) Matsu(Gt/Vo) だいごろう(Ba) Thomas(Dr)

Interviewer:杉江 由紀

-何より、『幻の聖剣』は"聴く人たちを楽しませたい!"というエンターテイメント性とホスピタリティに溢れた作品だと感じます。

Kacchang:歌詞について言えば、なるべく難しい言葉は使わないようにして、伝わりやすいものを意識しているのはたしかですね。

Matsu:曲調的なところで言うと、最近はライヴでやったときにみんなで一緒に楽しめるようなものがわりと多くなっていたんですよ。だけど、今回のアルバムに関してはそれともまたちょっと違ったかたちの、"聴いてくれている人たちに共感してもらえたらいいな"という思いで作った曲がわりと多いです。逆に言うと、別に僕たち自身は面白さとかって特に求めてはいませんから。

-そうだったのですか!? しかし、失礼ながらこの作品内容にしても、ヴィジュアル展開にしても、そしてこのジャケット写真にしても最高に面白いですよ!!

だいごろう:でしょうねー(笑)。

Kacchang:写真を見たら、そうなりますよねぇ(笑)。

Matsu:とはいえ、歌詞とかも実は結構真面目な内容なんだけどな。そういえば、この間とある人からこんなことを言われたんですよ。"お前らは、「笑わせてる」んじゃなくて「笑われてる」んだぞ"って。その言葉を聞いて、"あぁ、そういうことだったのか!"ってようやくしっくりきました(苦笑)。

Kacchang:"なるほど!"って(笑)。

Matsu:僕らとしてはバカにされようが、別にそんなことはどうでもいいんです。なんなら、笑われてナンボかなと思うくらいで、聴いてもらって楽しんでもらったり、何かを感じてもらったりするなら、それで十分ですね。それに、この間はSEX MACHINEGUNSのANCHANGからも"Phantom Excaliverは頭の固いおじさんたちが、いろいろ意見を出したくなるこの感じがいい"っていうことを言ってもらえました。

-ツッコミどころが多い=興味を持ってもらえている、ということなわけですね。

Matsu:いいんだか悪いんだか、って感じですよ。ほんとは、L'Arc~en~Cielみたいなカッコいいバンドになりたかったのに(笑)。

Kacchang:俺がいるかぎり、それは無理だな! っていうか、ウチはイケメンだとそもそも加入禁止なんです(笑)。

-だとしても、Phantom ExcaliverにはPhantom Excaliverしか持ちえない強烈な個性があるではないですか。キャラの立ち方もさることながら、『幻の聖剣』の中で聴ける卓越したメロディ・センスについても実に素晴らしいと思います。

Matsu:ありがとうございます。僕らからすると、メロディは歌詞よりさらに大事なものかもしれません。

Kacchang:スタジオでみんなで音を合わせているときに、即興で曲やメロができることもあるけど、Matsuは外を歩いているときにパッと浮かんだりすることもあるんでしょ?

Matsu:浮かんだらすぐ、歩きながら歌って、スマホのヴォイス・レコーダーでそのメロを録っておくんです。自分的には、池袋駅がパワースポットですね。今回のアルバムの中だと、「ANTHEM -HEAVY METAL JUDGEMENT-」(Track.9)もそういう鼻歌から作りました。だけど、ウチのバンドではそのあとに毎回厳正なるメロディのオーディションがあるんですよ。聴かせたときに、Kacchangとだいごろうを唸らせられるようなクオリティじゃないと、絶対に採用にはならないんです。コイツら、ほんとうるさくて(苦笑)。

-Phantom Excaliverにおける鉄の掟は、そこでしたか。

だいごろう:自分の中にある"琴線"に触れないと、そのメロはダメなんです。そこに触れないときは、"もっと来いよ! こんなもんじゃねーだろ!!"って突っ返します。

Matsu:いつもそういうときは、"ちぇっ、なんだよ! 売れたとしても印税はぜってー渡さねぇぞ!"って思いながら作り直しますね。

-メロの良さが特に引き立っているという意味では、アルバムのラストを締めくくる「聖剣伝説 Episode Ⅱ」(Track.12)においては、アレンジ的に途中でアコギを軸にしたフォーク的展開を見せる場面がなんとも象徴的ですね。Kacchangさんが、もともとゆずやコブクロが好きだったことも影響しているのかもしれませんが、派手なメタル・サウンドをすべて取っ払ったとしても、しっかりとメロディが存在感を放っているというところに、これはさすがだなと感じたのです。

Kacchang:僕のあの美声が聴けるところですね(笑)。いやでも、そこはゆずやコブクロのことはまったく関係ないんですよ。

Matsu:次の展開が思い浮かばなくて、適当にやったらああなっただけです。

Kacchang:おい、適当とか言うんじゃねーよ(笑)。僕としては、ああいう場面でセミの鳴き声が聞こえてくるような夏の終わりを感じてもらえたらいいなぁと思ってます。

Matsu:もちろんメタルは大好きだけど、単にメタルだけにこだわらず、僕らとしてはいろんなこともやってみたいんですよ。