INTERVIEW
そこに鳴る
2017.02.07UPDATE
2017年02月号掲載
Member:鈴木 重厚(Gt/Vo) 藤原 美咲(Ba/Vo) 真矢(Support Dr)
Interviewer:吉羽 さおり
男女ツイン・ヴォーカルでエヴァーグリーンな美メロを響かせながらも、3ピースによるテクニカルなアンサブルで、濃厚な独自の音世界へと聴き手を連れていく"そこに鳴る"。最新作『METALIN』は、メタルがテーマ。といっても、一筋縄ではいかないのがそこに鳴るだ。卓越した技術で、タッピングあり高速ツーバスあり、重低音リフや様式美的なメロディック・サウンドありと、メガトン級のバーベルを軽々持ち上げる感覚でメタルをものにしている。そしてその憂いある、繊細な歌心と屈強なサウンドを混ぜ合わせてしまっているのだ。飄々とした佇まいで、この重厚感。いったい、何なんだ!?
-今回、メタル要素を盛り込んだ理由は何が大きかったんですか。
鈴木:メタルを流行らせようと思いまして(笑)。
藤原:(笑)
鈴木:今のギター・ロック・シーンとしては、流行りのものに四つ打ちがあって、シティ・ポップがあるんですけど、次はメタルやろと。
-3ピース形態で、男女ツイン・ヴォーカルという武器もあってというところで、メタルに振り切るうえでの難しさはありましたか。
鈴木:いえ、なんとかなるかなと(笑)。でも逆に、3ピースで男女ツイン・ヴォーカルでメタルをやることの方が、面白いなと思ったんです。ジャズマスターとジャズコーラスを使ってメタルをやるバンドなんて、絶対にいないですしね(笑)。
-たしかに。持っている楽器、ギターの種類を変えることなくそのままやろうと。
鈴木:そうですね。レコーディングのときはギターを借りたりもしたんですけど、ライヴのときはそれができないので、ジャズコーラスでやります。
-みなさん、もともとメタルは通ってきているんですか。
鈴木:実はあまり通っていなくて。
藤原:通っていないんですよね、にわかです(笑)。
鈴木:もう、申し訳ないくらいに。
-それでここまでやっちゃうのは、面白いかも。
鈴木:きっかけはノクブラ(NOCTURNAL BLOODLUST)なんです。このバンドを観て、久しぶりに衝撃を受けたんです。あとは、大学の軽音楽部の先輩がNameless Oneというエピカル・メロディック・デスメタル・バンドをやっていて、その影響も多いと思いますね。
-洋楽の、いわゆる王道のヘヴィ・メタルやメタルコアも通ってないんですね。
鈴木:ちょっと英語が難しいからかな。でもデスメタル・バンドだと日本語っていう感じでもないか(笑)。
-そうですね(笑)。
鈴木:例えば、ノクブラを聴いて"このギター・ソロすごいな"と思って、インタビューを読んで。"ルーツはSLAYERです"と言っていたから、SLAYER を聴いてみようと思って聴くんですけど――これを言うと怒られるかもしれないですけど、ノクブラの方がいいなと思ってしまったんです。やっぱり、昔の音源にある生音っぽい音よりも、現代のミックスが好きなんです。ノクブラとか、今時のデスコアとかって、音圧が笑えるくらいに上がっているんですよ。たぶん、そこが響いたんだと思います。他にも、教養として聴いとかなあかんバンドは聴いたんですけどね。
-メタルとなればツイン・ペダルが基調になってくると思いますが、真矢さんはルーツにメタルはあるんですか。
真矢:ずっとメロコアは好きだったんですけど、ツイン・ペダルをバチバチに踏むっていうのはなかったです(笑)。だからもう、"つらいな、ドラマーって"と思って(笑)。
藤原:ははは、つらい。
鈴木:すごいよな、ずっとツイン・ペダルっていうのも。
真矢:いや、すごいっすよ。