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INTERVIEW

MERRY

2017.01.31UPDATE

2017年02月号掲載

MERRY

メンバー:ガラ(Vo) ネロ(Dr)

インタビュアー:沖 さやこ


希望を捨てていないから、この5人でバンドをやっている


-近年ガラさんが書く歌詞はストレートなものが多かったですが、「傘と雨」はメランコリックありきの希望という印象がありました。

ガラ:「傘と雨」では"この時間の中で生きている人間の儚さ"を描きたいなと思って。ものすごいスピードで時間が過ぎ去るいまの時代もそうだし、もともと時間というものは勝手に過ぎていくものじゃないですか。それは全人類平等とはいえ、俺は取り残されているのか、時代にくっついていけてるのか――それさえもわからないまま俺はいまも生きているし、この時間の流れの中でしか生きることはできない。ここで生きている俺らはなんなんだろう? どうなるんだろう? そういうことを歌詞に書きたいと思って、そこから広げていきました。

-その理由は?

ガラ:変な話、バンドが16年目に入って、同期のバンドもどんどんいなくなって、同世代はどんどん結婚して家も持っている。昔はそんなこと関係なくただただ好きで音楽をやっていて楽しくて、ただそれだけで良かった。でもこの16年でどんどん音楽業界も変わって、自分たちを取り巻く環境もメンバーとの関係性も変わってきて。ニュースで"○年前にこんな事故がありました"というニュースを見たりすると当時の自分のことを思い出したりして......それがすごく昔のことのようで、時間ってすげぇ残酷だな、と思ったんですよね。変わっていくことで成功する人、変われなくて成功できなかった人、変わらなくても成功した人、いろんな人がその時の流れの中でそれぞれの人生を歩んでいて。それでもいま俺はバンドをやれている、何か残せるものがあるのかもしれない――それで"今日より明日が、ほんのちょっとだけでもいい日だったらいいよね"という歌詞が書きたくて。

-サビのラストの"未来はきっと明るいだろう"が核心としてあります。これは最初"君"が呟いていた言葉ですが、ラストは主人公が発した言葉になっていますね。

ガラ:ラストのサビで主人公が言う"明るいのだろう"は最初、"明るいはずさ"だったんです。でもそれだと明るいと決めつけていて、希望が大きすぎるからちょっと違うなと思って。この暗い時代で、世の中に対して諦めている主人公が、"明日が良くなるという確実性はないけれど、君がそう言うなら明日は今日より明るいんじゃない?"と思って"未来はきっと明るいだろう"とつぶやく。それくらいの温度感がいいんじゃないかなと思ったんです。明日は今日よりいい日かもしれない――人間はそれだけで生きているんじゃないかなと思うんですよね。最後に"未来はきっと明るいだろう"と書くことで歌詞が完成した感覚がありました。人生や世の中を諦めたままだったら、この歌詞は完成しなかったと思うんですよね。

-この曲の主人公はガラさんということですか。

ガラ:主人公と自分を重ね合わせているところはあって。1Aの"人と関わり合うのは気が滅入る/だから他人に興味は持てない"とか確実に俺のことですから(笑)。諦めてる俺がバンドをやっているのも、いつかいいことがあると信じているからじゃねぇかなって。それは聴いてくれる人がいて、ライヴをしたら集まってくれる人がいて。俺はその人たちのためにも歌わなきゃいけないし、自分のためにも歌わなきゃいけないなと思うんです。いまの俺だから"「人生は美しい」なんて/言葉振り回されても"と歌えると思うんですよね。夢ばかり見てられないぞ、と(笑)。

-バンドを16年続けている方が言うと重みが(笑)。

ガラ:夢を見ることはもちろん大切なことなんですけど、そこに行くためには努力も運も必要だし、自分の置かれている環境も重要だし。夢を掴んだごく一部の人が"私も夢を掴めたから、みんなも夢を掴めるはずですよ"と言うことがあるけれど、俺は"あなたが夢を叶えられただけでしょう? そんなことを言ったらみんな夢を叶えちゃってるよ"と思うからどうもピンとこなくて。夢を叶えられない悔しさや、諦めきれない想いがあるから続けている人もいる。俺もこれまで生きてきて嫌な想いも悔しい想いも、いろんな想いもして......でも明日何かいいことがあるかもしれない。その想いだけで生きてきたんです。

-人間の底力、強さだなと思います。

ガラ:強いのかな? しぶといなと思いますけどね(笑)。いい想いをしたいと思ったらキリがないじゃないですか。生きている以上死に向かってもいるわけだし、こんなクソみてぇな人生で自分が生きている意味は何か、自分は何を残せるのか――それはすごく大切じゃないかと思うんですよね。希望を捨てていないから、この5人でバンドをやっているんでしょうね。

-そのメッセージから音作りを?

ネロ:歌詞のテーマは最初"無感情"や"無関心"だったんですけど、そこからかなり進化しましたね。7割方その方向性でできあがっていたものに曲を出し合っていって、7、8パターン揃って。

ガラ:俺は基本的に無関心なんですよ(笑)。もちろん悲しいことがあれば悲しいし、嬉しいことがあれば喜ぶけど、「Happy life」(2015年リリースのシングル表題曲)でも歌ってるように"最終的に自分じゃん"と思うんですよね。

ネロ:最初は"無関心がテーマなのになんでこんな軽快な曲なんだ?"と理解ができなかったんですけど、すり合わせていくにしたがってMERRYっぽくなって。無関心をただのバラードや悲しいテンションの曲にすると、それだけのものになってしまうし、"これがMERRYなりのミクスチャーだ"とも思いましたね。スタジオでたくさん作業ができたのも良かったです。EX THEATERのライヴ・レコーディングをしてくれたエンジニアさんが今回参加してくれて、"ライヴ感のあるものにしたい"とおっしゃったのもあって、そういう音にもなっていると思います。原点に戻ったうえでちゃんと進化ができた。最近は曲が流れたときに一発で誰なのかわかる音楽が減っているなと思って。だから歌詞、メロディ、コード進行、バンドのサウンド――どこを取っても15年の賜物になるようなサウンドにはしたかったんです。

ガラ:海外のバンドでも音の感じだとゴリゴリしてるのかと思いきや、日本語訳を読んでみると結構切ない歌詞だったりすることがあるじゃないですか。そういうギャップがいいなと思うし、それをMERRYでも味わってもらえたら、と思うし。「傘と雨」は"こういう人間がいるんだよ、あなたの周りにもいるんじゃない?"と投げかけられて、"あ、私もこういう人間!"、"俺も! わかる!"と思える曲にしたかったから、歌詞が俺だけの想いにならないように変に感情を入れないように歌ったところはありますね。ネロが言ったように、跳ねた感じの曲だからすんなりこの歌詞とメロディが乗っているなと思います。

-もともとMERRYが持っていたものを活かして、強化して、楽曲がより伝わる方法を選択していくということですね。

ガラ:それがMERRYだし、それがMERRYにしかできないものだし、武器であると思う。いろんなバンドと対バンしたり、フェスに出たり、いろんな楽曲からインスピレーションを受けて制作をしていた時期もありましたけど、結局俺らから出てくるものはMERRYでしかない。フェスのカラーに合わせた曲を持っていってもしょうがないし、相手の土俵に上がるならこっちの無敵装備でいくのが一番いい。"なんでいままで相手に合わせてたんだろう? そんなもの必要なかったな!"と思ってから、いまのスタイルになっていると思いますね。

-おっしゃるとおり、それが一番ですよね。ギター・ロック界隈のバンドでも、MERRYの存在や音楽性を知っているバンドは多いです。それはMERRYが様々なフィールドでMERRYらしい音楽を鳴らしてきたからだと思いますし。

ガラ:"MERRYらしい"は俺らが決めることではないと思うんですよね。俺らはただ自分らの武器を最大限に使って、一番効果のある方法でやっているだけで、それを周りが"MERRYらしい"と言ってくれる。だから間違いはねぇんだなと思います。いまでもいろんなバンドと対バンしたい気持ちはあるんですけど、なかなか声が掛からないので(笑)。

-(笑)テツさんのお怪我の具合を心配していたり、結成15周年などもあって、みなさん声を掛けるタイミングをうかがっているところだと思いますよ。

ガラ:いやいや、どんどん呼んでほしいです。いまの俺らなら自分たちの武器でカマせるなと思うし。結構個人個人でのバンドマンの繋がりは広がってきてるから、それを対バンに活かせたらいいなと思ってますね。

ネロ:例えばバックドロップシンデレラとの出会いはMERRYのファンの子が俺に"MERRYっぽいバンドなので聴いてください"とCDを渡してくれたのがきっかけだったんです。それでバックドロップシンデレラが俺らをツアーに誘ってくれて、そこでビレッジマンズストアと対バンしたりして、さらに広がって。"MERRYっぽい"が良いご縁を呼んでくれていますね。