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INTERVIEW

MERRY

2017.01.31UPDATE

2017年02月号掲載

MERRY

Member:ガラ(Vo) ネロ(Dr)

Interviewer:沖 さやこ

2016年は1月にシングル『平日の女』をリリース、2月にEX THEATER ROPPONGIで開催されたツアー・ファイナルでベーシストのテツが完全復活、5月の平日にメンバー・プロデュース・ライヴ、6~7月に15周年ツアー、10月にハロウィン・ライヴ、11月に15周年記念ライヴを2部制で行うなど、ポジティヴな話題が尽きなかったMERRY。彼らのニュー・シングル『傘と雨』は、より屈強になるMERRYというバンド像をそのまま表した楽曲だ。止まることなく流れ続ける時間のなかでつぶやく"未来はきっと明るいだろう"という言葉には、結成15周年を迎えたバンドのリアルな希望が宿っている。

-結成15周年を迎えた2016年のMERRYは1年を通し精力的な活動ができたのではないでしょうか。テツさん(Ba)の完全復活も嬉しいニュースでした。

ガラ:テツさんがリハビリをしていた1年半はサポート・ベーシストを招いてライヴをしていて。やっぱりバンドというのは不思議なもので、その人と音を出すと、その人とのグルーヴになるんですよね。テツさんが戻ってくるのは嬉しいけれど、1年半4人でやってきたなかにテツさんが入ってきて――やっぱりいろんな意味で"大丈夫かな?"と思う部分もありました。テツさんには負担になる部分も多かったと思うし、進んできた4人と怪我を治したテツさんがうまく噛み合うか心配はあったんですけど、2月のEX THEATERでようやく5人のMERRYに戻れて。15周年という看板もあって、またスタート地点に立ったような感覚ですね。

-5人に戻って、5人で作るグルーヴに手応えを感じたということでしょうか?

ガラ:というよりは"(この5人で)やるしかねぇな"という気持ちですね。それで改めて俺がシンガーとして、フロントマンとしてMERRYという看板を背負っているという自覚がすごく芽生えましたね。"俺に代わりはいない、歌は俺しか歌えない"――前からそうは思っていましたけど、さらにその想いが強くなりました。

ネロ:テツさんも1年半休んでいたわけではなく、リハビリをして、外から客観的にMERRYを見ていたんですよね。テツさんは戻ってきてそれをバンドに費やしてくれました。メンバー・プロデュース・ライヴでテツさんはアコースティック・セットを多めにしたんです。なぜそうしたのか聞いてみたら"うるさい曲が多いぶん、アコースティック・ゾーンに入ると聴き入るし、歌詞も浸透すると思う"というシンプルな意見をくれて。そこから結構ワンマン・ライヴも盛り上がる曲が7割で、3割はアコースティックでやることが多くなってきて。一緒に活動してきたメンバーが一度外に出て、客観的にバンドを見て感じたことや意見は貴重だなと思いました。だから今回のシングルにもアコースティック・アレンジを入れて。これはいまのMERRYの武器にもなっているのかなと。

-"白い羊"と"黒い羊"の2部制で行われた15周年記念ライヴも、"白い羊"はアコースティック・ライヴだったんですよね。コンセプチュアルなライヴもMERRYの持ち味のひとつになっていると思います。

ガラ:テツさんが戻ってきて"平日のMERRY"というメンバー・プロデュース・ライヴをしたことによって"MERRYってどういうバンドなんだろう? 何をやらなきゃいけないんだろう?"というのが見えてきた部分が大きくて。ワンマンだけでなくイベントでも最後はアコースティックで演奏したりしているんです。ただ楽しいだけではなく、楽しんでもらうことにプラスして、確実に言葉を届ける、MERRYのメッセージ性を突き刺すことが2016年はできたかなと思います。楽しいだけじゃない、その先に行きたかった。俺らにしかないもの、俺らにしか言えないメッセージ――そういうものを持っているバンドが残っていると思うんです。

-そうですね。

ガラ:最近の音楽は、歌詞も楽器のひとつになっている、言葉が曲と一緒に流れちゃう、曲のリズムに言葉が乗っているだけのものが多い気がするんです。でも俺が影響を受けたものはまず歌詞があって、そこにいいメロディが乗っているものなので。MERRYではそこをすごく大切にしたいなと思うんですよね。

-「傘と雨」(Track.1)もそういう曲だと思います。MERRYは詞先で曲を作ることが多いと聞きましたが、いまのお話を聞く限り今回もその手法でしょうか?

ガラ:こんな時代だからこそちゃんと言葉を残してちゃんと伝えていかないといけない、歌と歌詞をちゃんと届けたいという想いから、最近はずっと詞先で作っています。「傘と雨」も歌詞ができて、結生君(Gt)に一緒にアコギでコードを弾いてもらって、俺が歌詞を歌ってみて、何度か歌っているうちにそれがメロディになって......という流れですね。僕が何を歌いたいのか、何を伝えたいのか――それがないと曲が生まれないので、常にアンテナを張っていて。歌詞があるとわりとメロは降りてくるので。

-ただ、詞先で曲を作るのは難しいと聞きますが。

ガラ:鬼のように難しいです(笑)。前は曲があって、そこにインスピレーションを受けて歌詞を書くことが多かったんですけど、いまは"これをテーマにして歌おう"というところから歌詞を書いてから曲を作るので、時間はかかるし大変なことも多い。でも言葉に想いを詰めながら歌詞を書いているとストレートに伝わるし、ブレはないですよね。純度の高いものが歌えているんじゃないかなと思います。

ネロ:いい歌詞、いいコード進行、いいメロディ――その3つがあればバンドでやろうがアコースティックでやろうが、どっちもいいものになる。「傘と雨」もアコースティック・アレンジとバンド・アレンジを並行して制作していたんですけど、バンド・アレンジに行き詰まったときにアコースティック・アレンジに取り掛かったりしていたので、アコースティックで音出しをしていることが多かったんです。

-2パターンのアレンジが収録されたのには、そういう理由もあったんですね。

ネロ:まず塩と胡椒のシンプルな味つけの状態のものをしっかりと理解してバンド・アレンジを作るのと、いきなりバンド・アレンジを作るのとでは曲の浸透度も結構違って。歌詞に起承転結があるなら、音にも起承転結をつけないといけないなと思うし。ひとつの物語として捉えた音作りができたかなと思います。アコースティック・アレンジを考えていたから、バンド・アレンジがここまで良くなったんだろうなと思うし。

ガラ:結成して数年程度のときは "俺が俺が"と個々のキャラクターを出すことばっかり考えていたと思うんです。でも結成15年を迎えて、"歌"と"歌詞"をメンバー全員が把握することで"自分がやるべきことは何か"がわかる。だから全員が出るところは出て、引くところは引くことができる。それは詞先のいいところだと思います。