－フレージングからもみなさんがこのバンドで作る音楽を愛していることが伝わってきました。ものすごくテクいフレーズを入れて奇抜性を出すという方法論ではなく、しっかり曲を良くしようというアプローチを全員から感じられて。

かしむら：あぁ、たしかにみんながひとつにまとまって主張してる感じはありますよね。

ゆっぱ：本当にひとつのものを良くしたいという一心でした。

ゆっぺ：自分がヴォーカルだから、どうしてもしっかりと歌を出したいという気持ちが根底にあって――だから抑えてもらった部分も絶対にあると思うし、わりと俺が強く言っちゃった部分もあって。でもそれに対して納得いっていないということはないはず。いろんな思い切った部分があったからこういうアルバムになったと思うし、躊躇してたらこうはならなかった。

かしむら：みんながみんな"これが正しい！"ってひたすら進んでいった感じでしたね。

－そうですね。それを物語るように、ラストのTrack.8「Thank You My Beef」はとても胸にくる力強い感動のある曲でした。大団円。

やすし："命に感謝"だね。

かしむら：すごく好きな曲で、ミヤチ氏のギター・ソロとかほんと涙目になりますもん。ゆっぱと一緒に"これいいよな～！"って言いながら、ほんと繰り返し聴いてる！ 神！

ミヤチ：あれは感謝を音にした！ 命をもらうという哀愁というか憂いというか、そういうものも混ぜて。

やすし：上がりきってないチョーキングもいいよね。

ミヤチ：そうそう。上がりきって満足されたらダメだと思ったんだよね。

ゆっぱ：うん、生きてるな～......って思った！

ゆっぺ：こういうことを全員で言い合いながら作れたのが良かったんですよね。僕の経験上、これまでバンドで"あそこのここが良かったよ！"、"あそこのフレーズはマジ神だったよな"と言い合えたことがなかったんですよ。そういう学生時代の思い出話みたいなことを今のレコーディングでできるのは、僕はすごくいいなと思うし、やりたかったことで。ひとつひとつのフレーズがちゃんと意味のあるものになったと思いますね。

－そうですね。今後の活動も楽しみです。

ゆっぺ：ありがとうございます。ネタを尽かせる気もないし、速度も落としたくないと思っていて。ツアーでこのアルバムを表現するにあたっても、自分たちの信じた方向に突き進みたいです。ライヴもなかなかアホなんでね。全員が楽器を置いてパフォーマンスをする時間もありますから（笑）。

かしむら：お客さんも最初、"え？？"って感じでしたよね（笑）。

ゆっぺ：完全に口ポカーンか、ブチ上がってるか、どっちかだった。あの「復讐のベジタリアン」の振り付けもめっちゃくちゃ真剣に考えたよね（笑）！ みやっちが"会場全員で遊ぶものだから、手を上げてお客さんにも踊っていることを見えやすくするべきだ"と言ってくれたのは、なるほどなと思って。

ゆっぱ：実際自分たちがライヴで踊ることを考えて、アレンジも変えたんです。

ゆっぺ：そうそう。"最後の4小節は楽器を再び持つ時間にしよう"って楽器の音をなしにしたりね。その踊りの練習をみんなちゃんとやるんですよ（笑）。

ゆっぱ：これもバンドの練習だからね。

ゆっぺ：だから今はMVのときよりもみんなの腕のキレが良くなってきてる（笑）。そういう成長はひとりで制作してたら絶対にないので、僕はそれがすごく楽しいんですよ。ほんと。（※メンバー全員が深く頷く）

－全員が楽しんで音楽ができているなら、本当に健全だと思います。その楽しさはこちらにも伝わってきましたし、"ゆよゆっぺはこんなこともするんだ！"という、良い衝撃でもありました。

ゆっぺ：......もしかしたらマイナスな話になるかもしれないんですけど、やっぱりこれを認めてくれる人もいれば、そうじゃない人もいると思うんです。僕はいかに突き詰められるか、いかに重い曲が作れるかということを考えてきたし。でも僕からひとつ言わせていただきたいのは、音楽の根本に返ったり、音楽を聴き始めたきっかけを考えると、"楽しい"だったんです。そういう意味でも最初から原点回帰させてほしかった。この"楽しい"に強さ、エモさ、怒り、いろんな感情が積み重なってくると思うので、もしそういうものをもっと聴きたいと思ってくれてるのなら、ちょっと待っててほしい。申し訳ないながらに僕の原点回帰にみんなを付き合わせているけれど――

ミヤチ：俺らも楽しいよ。（※他のメンバーも頷く）

ゆっぺ：僕はその"楽しい"を根源にして活動していきたいし。だからGRILLED MEAT YOUNGMANSがこれからどんな曲を作っていくのかは、ちょこちょこ見えてはいるけれど、まだ霧がかかった状態なのではっきりとはわからない。つまり――ぜひ見放さないでいただきたい！！ ちょっと見ててほしい。いい変化は絶対起きるはずだから。僕たちを見てください。毛嫌いせずライヴに来てください。

－ゆっぺさんはいろんな音楽活動をされているから、どういうテンションでバンドをやっていらっしゃるんだろう？ と思う節はあったんですけど、今回のアルバムを聴いて、お話を聞いて、ゆっぺさんにとってバンドは本当に必要なものであり、ロマンなんだなと思いました。

ゆっぺ：ひとりだと悩んじゃうことが、バンドだとみんながいるから悩まなくて済むんですよ（笑）。何か言ってもらえることが自信になるから。それが"あ、いいじゃん"という軽いテンションのものであっても、僕にとってはもらいものだからすごく嬉しいし、スタジオでの練習でも僕は少なからず何かしらみんなからもらっているし。僕からも何かしら伝えられたらと思っているし、そういう信頼関係でいいものを作っていきたいと思っています。こういう縁を繋いでくれた音楽に感謝するし、みんなに感謝する。そんな中でアルバムが作れたのは本当に良かったです。この先、GRILLED MEAT YOUNGMANSがどうなるかはわからない。でもその変化の中に絶対良さはあると思うから、今後に期待していただきたいですね。自由に音楽をやっていきたいと思っています。