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INTERVIEW

Joy Opposites

2016.08.08UPDATE

2016年08月号掲載

Joy Opposites

Member:Adam(Vo/Gt) Tomohiro(Ba) Eiji(Dr)

Interviewer:吉羽 さおり

-1stアルバム『Swim』が完成しました。Joy Oppositesとしての初のアルバムに相応しい、充実した濃い内容でかなり手応えがあるのではと思いますが、いかがですか。

Tomohiro:よかった。プロデューサーのAlex(Newport/※AT THE DRIVE-IN、DEATH CAB FOR CUTIE、BLOC PARTYなどを手掛ける)のおかげだね。

-そういった制作の背景についてもおうかがいしていきたいと思っていますが、まずJoy Oppositesはバンドとしていつごろスタートを切ったんですか。

Tomohiro:スタートしたのは、FACTでの活動が終わってからだよね。

Adam:だから去年の11月?

Tomohiro:本格的にスタートしたのはそうですね。でも、曲はみんな書けるので、曲のネタはその前から整えていました。FACTでの活動が終わってすぐに進みださないといけなかったので。

今回のインタビューの席にはいませんが、もうひとりのメンバーであるImmy(Gt/Vo)さんとは、バンドをやっていくにあたってどういう話をしていたんですか。

Eiji:実はレコーディングまで会ってなかったんですよね(笑)。

Tomohiro:それまでは主にデータのやりとりだけで。4人での音出しは、レコーディングでアメリカに行って、ゲネプロをやるときが初めてでしたね。AdamとImmyはもともと友達だし、FACTでツアマネ(ツアー・マネージャー)を何回かやってもらっていたので、俺らも友達ではあったんですけど。Adamは、Immyとは知り合ってから長いよね?

Adam:もう10年ぐらいですね。ロンドンで一緒にバンドをやっていました。そのときは一緒にやってて楽しいなと思っていたし、こうして新しいバンドをやろうということで3人でいろいろ話していて、"4人目は誰にする?"っていう話になったときに、Immyの名前が挙がってきて"いいじゃん"って。

Tomohiro:話は早かったよね。

Adam:それで、Immyに聞いたら"やりたい"っていうことで決まりました。

-アメリカで初めて4人揃って音を鳴らすということでは、いい緊張感があるレコーディングになったのでは。

Tomohiro:アメリカで初めて合わせることの緊張感というよりは、"Alexがいて俺ら演奏できるの?"っていうのがまずあったけどね(笑)。

Adam:FACTのときは、Elvis(Michael"Elvis"Baskette)っていうプロデューサーと何度も一緒にレコーディングをやっていて、お互いそのやり方に慣れていたんだけど、今回Alexとは初めてだからどういうふうにやるんだろうなって。

Tomohiro:以前、Alexと一緒にやったことのあるthe telephonesとかに"(Alexは)いい人だけど、プレイに関しては厳しいですよ"って話を聞いていたんですよ。それで"やべぇ、厳しいのか"と。しかも、静かな人なんですよね。だから緊張感はね、最初のうちはあった。

Adam:厳しかったね、やっぱり(笑)。

Eiji:でも、しっかりこだわってくれるぶん厳しいけど、おかげで妥協しなくて済むっていうか。

Tomohiro:今の時代、コピペできるし、"ここはチューニングがちょっとズレてるけど、あとで修正しておくからね"っていうこともできるし、そういうことをやってしまいがちだと思うんだけど、Alexはそれがない。プレイでも歌でも、ちゃんとピッチもプレイも合ったところを録っていくんです。コピペもなし。だからたとえ同じフレーズでも、まったく同じではないというか。

Adam:ドラムは特に、今はサンプルを貼ってるバンドも結構多いと思うんですけど、今回はそれもなし。

Eiji:ノー・サンプル。今回はすごくナチュラルで。

-だからか、細かなディテールやニュアンスが出ていますよね。

Tomohiro:えっくん(Eiji)が自分でアタックを出さないといけなかったんですよ。"壊れるくらい思いきりドラムを叩いて"って言われてて。

Eiji:しかもそれで用意されたドラムが、Dave Grohlのドラム・セットっていうね(笑)。(※今回レコーディングしたスタジオはDave Grohl所有のStudio 606)。

Tomohiro:本当に壊れたらどうしようかと。

Eiji:でも、あれは絶対に壊れない。重かった(笑)。最初は心配でAdamに大丈夫か聞いてもらったら、"そんな言い訳はいらねぇ"って言われるというね。だから、変に妥協することはなかったんです。

-そもそも、今回プロデューサーとしてAlex Newportを迎えるという人選はどのように決まったんですか?

Tomohiro:Alexには以前、ミックスだけお願いしたことがあって。えっくんが違うプロジェクトでAlexとやっていたこともあったんですよね。Joy Oppositesは今風のサウンドにしたいわけじゃなくて、今回のアルバムのジャケットもそうですけど、もうちょっと深みのある、人間味を感じるようなところにいきたいというイメージがある中で、何人か候補が挙がって。その中で、スケジュール的にも人間的にも、Alexがいいんじゃないかってなったんですよね。彼はレスポンスも早いんですよ。やるって決まってないのに、"こうした方がいいんじゃない?"っていう意見をくれたりして。

Adam:やる気は最初からすごくあったね。曲のデモを送ったら、提案をしてくれたりして。

Tomohiro:あれはまだ一緒にやることが決まってない段階だったよね。でもこのアルバムの中でも、アレンジしてもらった曲も結構あるんです。

Adam:あとはAlexがやってきたことも、単純に大好きで。彼がプロデュースした作品やバンドもそうですけど、ミュージシャンとしてのAlexの進化も面白い。激しいシーンのものから、今はすごくビューティフルなものもやってるよね。

Eiji:オーガニックな感じのね。

Adam:全部クリーン・ギターでやっていたりもするから、俺らのことを理解してくれるだろうねって話していて。結果、すごく合ってると思います。

-先ほど、人間味を感じるあたたかなものという話が出ましたが、このJoy Oppositesではどういう方向性のサウンドで、それぞれ自分の持ち味としてどういうものを持ち寄ろうという話はあったんですか?

Tomohiro:たぶんそれも、やりながら少しずつ変わってきて。最初はもっと複雑なものだったんですよね。ブレていないのは、"歌メロは気持ちのいいもの"ということだけで。最初はアレンジや展開がもっと細かかったのが、だんだんと削ぎ落とされていって、今は歌を際立たせつつ、それでいて飽きさせないものになってます。またこれからやっていく中で変わるかもしれないけど、"歌メロが気持ちいい曲"を作ろうっていうのは変わらないですね。

Adam:曲を聴いてほしかった。俺もハードコアとか好きですけど、このバンドは暴れるための音楽じゃなくて、ヘッドフォンでもいいし部屋の中でもいいから、ちゃんと曲を聴いて、暴れるだけじゃない楽しみ方をしてほしい。

Tomohiro:メンバーそれぞれが曲を書いてるので、曲ごとにテイストも違うんですよね。それって、アルバムにとっても俺らにとっても重要というか。いろんなシチュエーションにマッチするものになってる。ただ、Adamがいいメロディを歌ってくれているので、ブレない何かはあるという。その"何か"を説明するのが難しいんだけど。

Eiji:深みのあるものですね。