INTERVIEW
LM.C
2016.07.20UPDATE
2016年07月号掲載
Member:maya(Vo) Aiji(Gt)
Interviewer:大窪 由香
-"レインメーカー"と聞くと、いくつか思い浮かぶイメージがあって。例えば映画"レインメーカー"(1997年公開)だったりプロレス(※新日本プロレス所属・オカダ・カズチカのキャッチ・フレーズおよび必殺技)だったり。そのどちらもお金を雨に喩えてるものなのですが、この曲はズバリ雨そのものを歌ってるんですよね。
maya:純粋にそうですね。雨乞いというか、雨振りのイメージですね。映画もプロレスラーの方も全然自分は詳しくなくて、そういうのもあるんだなとあとで知りました。歌詞も曲もそうなんですけど、わりとパターンがあって。携帯にメモしてあるだけなんですけど、"いつか使いたい曲のテーマ・リスト"を作っていて、その中からテーマを選んで曲を作ったり、楽曲に照らし合わせて似合うものを進めていくパターンもあったりします。でも今回は曲ありきで、曲に呼ばれるテーマやタイトルを探しているときに、たまたまその日に雨が降っていて、"あ、雨が似合うな"と思って。曲の雰囲気やイントロから流れてくる感じに雨の風景が見えたんで、雨の曲を作ったことがないし、雨のテーマで進めようってなりました。それで雨にするんだったら"レインメーカー"がいいなと。振り返るとその言葉もメモに書いてあったんですけど、そこは意識せずに自然と繋がりました。それで"レインメーカー"ってタイトルにしてから"じゃあ雨ってなんだろうな"って書いていきました。
-「MONROEwalk」の歌詞にも"やがて僕らは消えてゆくのさ"というフレーズがあって、この「レインメーカー」も"この瞬間だけを生きろ"というフレーズがあって。共通する"メメント・モリ"的な死生観を感じたんですが。
maya:それはもう、ずっと繋がっている自分的死生観ですね。それはなんとなく感じることはできても言葉にはしづらいなとずっと思っていたんですけど、やっと少し前からこういうことだなと自分の中で整理されてきて、それが曲に乗る言葉として反映できた気がします。だから大枠としては「MONROEwalk」も「レインメーカー」も一緒なんです。"生きて、死んでいく"、それだけだなって。そんな中で"何を感じて、どう生きるか"というと話が大きくなっちゃうんですけど、どう生活していくか、どう日々を過ごしていくか。"こういうふうに過ごしていったらいいんじゃないかな"という提案ですね。
-それが今回特に色濃く出た、という感じですか?
maya:最近はより色濃くは出てると思う。でもそれは、意識せずにそうなってるというか、言葉も変わってきているというか。過去のアルバムのツアーをやってきても感じるんですけど、遡るとわりと最大公約数的にというか、シングル的にというか、この言葉は直接的すぎるなと思って使わなかったものも、月日を重ねると、それまでの楽曲に後押しされて言葉として乗せられることも多くて、そういった意味で最新作になればなるほど、色濃くそういう気持ちが反映されているという感じはします。意識はしてないんですけど。幅として今まで使ってこなかったような言葉も使えるようになってきてるから、自分でもそういうふうに感じるのかもしれないですね。
-私がLM.Cに抱いていたイメージで言うと、"雑草"という言葉が出てくるとは思わなかったです。
maya:"曇天"とかも絶対使わないなと思いながら書いてました(笑)。でもそれは変化というか、延長線上にある結果だなと思います。使わなかった言葉を使いたいとは思わないし、知らない言葉はやっぱり使えないので、自然と出てきたものを楽しめるというか。そういう気がしてます。それこそ"雑草"とか。それが閃いたときには、それを活かしたいってなる。そういうモードではありますね。
-そういう意識の変化に伴って、サウンドも変わってきたりしますか?
Aiji:サウンドもやっぱりある程度年齢いってから始めたバンドなので、レコーディングのノウハウやサウンドの構築方法とか、前のバンド時代に培ってきたノウハウが活かされているので、わりとスタートから満足しているものが制作できてると思うんですね。ただ、さっきmayaが言ったとおり、今だったらこうしないかもなというのはやっぱりあるんですけど、基本的に大きく変わったりはしてないと思います。LM.Cっていうものを活動の中でどんどん理解し、作りあげることをずっと繰り返しやってるので、昔より無駄はなくなってきてると思いますけどね。
-Track.2「左耳のピアス。」も、アルバム作りの一貫でできた曲ですか?
maya:これは何か形になればいいなと思って作業していた曲ですね。
Aiji:とにかく2年ぐらい前から、"「左耳のピアス。」という曲を作りたいんですけど"ってmayaがずっと言ってて、デモとして聴かされたのが、昨年の下半期だったかな。
-そういう構想があったんですね。
maya:もともとLM.Cが10年前から使っているロゴ・マークがあって、その左耳についてるんですよ。最初はロゴのデザイン的にもキャッチーだし、自分の耳にもついてるし、ある種、なんとなくつけといたものなんですけど。それが歴史を重ねてきて、5周年のタイミングで出したシングルに『LET ME' CRAZY!!』(2010年リリースの11thシングル)があって、その歌詞の中にも"左耳のピアス"というフレーズを使ったりしているんですよ。気づけば何かすごくLM.Cを象徴する、自分たちにとって大切な言葉になったところで曲にしたいなと思ったんです。それで原曲を作りました。原曲はビートがあって、もっと違う雰囲気の曲だったんですけど、それをAijiさんに渡したところ、"この方がいいんじゃないか"というアレンジで戻ってきて今の曲になったんです。だいぶ落ち着いた感じですね。とにかく10周年なので、それにまつわる何かのためにこの曲が完成したらいいなと思って作業してました。結果的に「レインメーカー」のカップリングになりました。
-mayaさんから渡されたものに対して、Aijiさんはどんな作業をされたんですか?
Aiji:mayaも結構しっかりとアレンジを作ってくるタイプなんですけど、アレンジと共にその曲を聴いたときに、ビートも早かったし、結構しっかりと音が詰まっていたような楽曲だったので、アレンジ的にとにかく言葉がひっかからないなと思って。"左耳のピアス"はさっきも言ったように、2年前ぐらいから聞いてた言葉だったんで、もっとちゃんと言葉が聴く人の中に残る作品になった方がいいなと思い、とりあえずビートを変えて、骨組みから全部作り直した感じです。そのときはまだ歌詞の全貌を見てなかったんですけど、きっとこの言葉はmayaにとって全部大事で、全部聴かせたいんだろうなと思って、結構大胆にアレンジし直した感じですかね。オーケストラの中で歌ってるイメージ。オーケストラの前で歌うというよりも、オーケストラの中で歌っているような、そんな感じになるといいなと思って作っていたんですけど。あんまりバンドの人たちがやらないようなアレンジになったかな。気分はバンドなんですけどLM.Cはユニットなんで、普通のロック・バンドではできないアプローチができることも武器だと思ってこの10年間やってきた。それの最たる感じというか。こういうアレンジができるのもLM.Cの強みですね。