INTERVIEW
妖精帝國
2016.04.29UPDATE
2016年05月号掲載
Member:終身独裁官ゆい(Vo) 橘 尭葉(Gt) Nanami(Ba) 紫煉(Gt) Gight(Dr)
Interviewer:荒金 良介
-最初はゆいさんの歌声はちょっと異物すぎると?
橘:そうですね。最初はギター・サウンドがそこまで強くなくて、途中からギターの比重が大きくなったんですよ。そうなると、歌声とのギャップがどんどん出てきたから、それが面白いなと。噛み合ってないものを、実は噛み合っているように見せたい。異物と異物をうまく曲の中で成立させようと。
-ゆいさんの女性らしさを強調した歌声は、好き嫌いが分かれそうなアプローチですよね。
ゆい:そうであろうな。わざとやってるわけではなく、結成当初からこういう歌声でやっているから、そこはしょうがない。
-ゆいさんは自分の歌声に関してどう感じてます?
ゆい:自分の声は最高だと思っている。妖精帝國が妖精帝國である所以でもあるし、私はこの歌声がマイナス・ポイントだとは思わない。
-自分の歌の魅力はどこにあると分析してます?
ゆい:うーん、そうだな。心の叫びであろうな。上手く歌うというより、気持ちを伝えたい。ちょっと声が裏返っても、伝えたい結果としてそうなったのなら、表現として採用している。あまりメロディやリズムに厳格に歌うよりも、自分の表現を貫きたい。 橘:人間は完璧なものにあまり惹かれないと思うんですよ。ちょっと危うかったり、隙があったり......対象に向かって必死になる感じが見える方が共感しやすいと思うから。歌に関してはものすごくチャレンジしてもらってるし、音楽的にも新しいものを作ろうと意識してます。それで速い曲を作ったり、無理して追い込んで感情を入れることもありますね。
-歌も演奏も"限界に挑戦してなんぼ"という感じですか?
ゆい:みんな"限界の先にあるものを見つけたい"という気持ちでやっている。
Gight:そんなことはないと思うんですが(笑)。
ゆい:むしろそうであってくれ!
橘:フィルも"そんなに入れなくてもいいんじゃない?"と言っても、"いや、やります!"って、わりとやってくれますからね(笑)。
Gight:それは限界に挑戦するというより、それまでのメロディやフレーズを繋ぐために、そのフィルが必要だと思ってるからやってるだけです。
橘:傍から見ると、結構無理してるけどね(笑)。
ゆい:自分がどう受け取っているかの違いだな。
-たしかに(笑)。
紫煉:Gight軍曹には無理させてるところはありますね。演奏能力的にギリギリのエネルギーを出すことで、独特な逼迫したサウンドが生まれるのかなと。それが自分たちの特徴だと思ってます。
-話を聞くと、このバンドにはちょっとアスリート的なノリがありますね(笑)。
ゆい:体育会系的なノリはあるかもしれない。苦労して生まれた作品の方が美しいし、その方がより人に届くと思うからな。
-なるほど。来年で結成20周年を迎えますけど、振り返ってターニング・ポイントになったところは?
ゆい:やはりバンドになったことだな。2009年に初めて加入したのがNanamiで、よりヘヴィなサウンドになったのがひとつの転機だ。
-現在の5人編成に固まったのは2013年ですよね。このラインナップになって変化した点は?
ゆい:ギター・ソロのある曲が増えたな。より重く、より速く、より長く変化していっている。紫煉のギターはテクニカルだから、そこはどんどん聴いてもらいたい。
橘:ギターの弦が1本増えましたからね(笑)。
紫煉:曲によっては8弦ギターも使います。
-8弦ギターを使っている人は、そんなにいないですよね。
紫煉:Djent系バンドでは8弦ギターを使う人もいますけど、大抵は使っても7弦までですからね。自分は加入する前から、多弦ギターが好きだったんですよ。増し増しにするほどカッコいいじゃんって。そういう意味でも同じ嗜好を持ってるなと。
橘:"それはいらないよ"と思わないですからね。"もっとやって!"みたいな(笑)。
-バンド的にはよりファストでよりヘヴィな音像は望むところ?
橘:そうですね。その中で遅い曲があれば、またギャップが生まれるし。バンドとしては広く深く、宇宙的なスケールを出せたらいいですね。
紫煉:好きな音楽はメタルだけではないし、良いと思えばなんでも取り入れたい。