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INTERVIEW

BEFORE MY LIFE FAILS

2015.11.20UPDATE

2015年11月号掲載

BEFORE MY LIFE FAILS

Member:Matsuno(Vo)

Interviewer:米沢 彰

-2ndアルバム『ANIMUS』のリリースおめでとうございます。アルバムが完成した今の手応えを教えていただけますか?

何作かこれまでも音源は作ってきたんですけど、その中でも今作は確実に自分たちのやりたかったことの輪郭が見えてきて、きちんとした形になったなという手応えを感じています。

-今作を最初に聴かせていただいたときに、ハードコアを根底に持ちながらもエモ/スクリーモの全盛期を想起させるようなメロディに重きを置いたパートや伸びやかなクリーン・ヴォーカルの響きがすごく印象的で耳に残りました。

そうですね。もともと基本的にメロディとかギターのリフのひとつひとつとかが1番聴きやすいグルーヴやリズムを追求しながら曲作りをするようにしていたんですが、前作のシングル『SOLARIS』(2014年リリース)を制作したときに、レコーディング・スタジオ"feel the air"の川崎さんにお手伝いいただいて。そういうメロディ・ワークに関して、今までになかった作り方とか気にするポイントを教えていただいて、今まで考えていた作り方からちょっとずつ変化が出てきたんですね。それがだんだん俺たちの中で定着してきて、今作のアルバムにも反映できたのかな、と思いますね。

-たしかに『SOLARIS』から大きく変わってきましたよね。これまでは内から出てきたものをストレートに出していたのが、一度咀嚼して洗練させたうえで音にしているように感じましたが実際そういうイメージでしょうか?

その通りですね。これは悪い意味での言葉ではないのですが、俺たちはちゃんと自分の中で何をしたいとかこうしたいとかをうまく表に出せないタイプのバンドなので。

-不器用ということですか?

まさにです。単純に音楽が好きでいろいろな音楽を聴いてきて、音楽的な表現とか住み分けみたいなものは理解しているものの、それをうまく外に出していくときに、どういったやり方が自分たちに合っているのか、そのやり方はすでにあるのか、まだないから新しいやり方を作っていかないといけないのか、っていうようなことをずっと考えながら俺たちはバンドをやってきました。『(FOR)LORN』(2013年リリースのEP)まではがむしゃらでした。もちろん今も初期衝動は大事にしているんですけど、『SOLARIS』を作るときにはいろんな方のお力添えを得て、ひとつひとつのメロディやリフ・ワーク、あとはギター・ソロをどう落とし込めばいい感じにできるのか、そういう試行錯誤を経て、アウトプットの仕方が変わってきました。

-タイトルの"ANIMUS"には"意思"という意味に加えて"敵意"や"憎悪"という意味も含まれてて、個人的にはこのネーミングから "アグレッションは決して捨て去るわけではないという意思"が込められているように感じましたが、実際のところはいかがでしょうか?

このワードをチョイスした理由として、基本的にポジティヴな意味とネガティヴな意味がひとつのワードの中に入っているということ自体がもともとのコンセプトにすごく近いなと思ったんです。初期衝動とか、それに限らずですけど物事って一方向からだけじゃなくて多面的に見ることができて、良い部分もあれば悪い部分もあって。そういう二律背反している中で個々のパーソナリティがあったり、バンドが成り立っていたり、世界中で起きているいろんなことがある、それって何にでも言えることだなと思って。そして、そこには"意思"があるからいろんなことが成り立って、時間と一緒にどんどん結末に向かっていくというイメージもありました。これまでいろんなことがあって、自分たちでも悩んで曲を作ってきたことを総括していくと、普遍的な二律背反性を持った言葉として"ANIMUS"というワードに集約されるなと考えてタイトルに選びました。

-サウンドを冷静に分析すると、以前までのBEFORE MY LIFE FAILSと前作シングル『SOLARIS』で示した方向性の延長上にはっきりとある作品のように感じました。この方向性や変化は意識した結果でしょうか? それとも結果的に延長上になったということでしょうか?

意識的だったと思います。もちろん、細かい話で言えば結果的に変わっていった部分もありますし、やりながらどんどん変わっていった部分もありました。そもそもの話をすると『SOLARIS』を作り始めたときから『ANIMUS』を見据えて制作を始めていたんです。基盤としてもともとやってきたハードコアのアグレッションがありながら、どうすればいろんな人の耳や気持ちにすっと入っていけるかっていうことは考えながら作っていきました。あとは作り方が変わったというのもポイントだと思います。『(FOR)LORN』のときはスタジオでジャムりながら作っていくことが多かったので、より直感的というか、衝動的というか、そういうふうに感じられる曲が多かったと思います。『SOLARIS』以降は曲の土台のところからコンセプトを立てて、最初に言語化したうえで作っていくようになっていったので変わってきたようにも思いますね。

-『SOLARIS』と時期的には被っているんですね。ちなみに、今作収録のTrack.8「SOLARIS」は再録なんですよね? 全面的に変えたという感じではなくて、細かい部分やニュアンスが変わっていますよね。

本当にかなり細かい部分しか変化がないので、"全然変わってねーじゃん"って思われるかなとも感じてはいました。でもやっぱり『ANIMUS』という別個の作品として、ひとつの作品として成立させたいっていう思いがあったので、そのまま入れるよりも、もう一度録り直した方が気持ちを込められると考えましたね。