INTERVIEW
THREE DAYS GRACE
2015.06.11UPDATE
2015年06月号掲載
Member:Neil Sanderson(Dr)
Interviewer:山本 真由
-たしかにそのビデオからも、今作は、どこかテクノロジーに対する皮肉というか、現代社会へ疑問を投げかけるようなメッセージ性を感じるのですが......。
まさにそうだね。2015年の今、俺たち人間は、周りの世界について感覚が麻痺してしまいがちなところがあると思う。ドラッグによる感覚麻痺かも知れないし、パソコンの画面に隠れて、匿名性を笠に着て強くなったような気分になっているのかも知れない。そのおかげで自然界との接触が少なくなっているんだ。そういうことをアルバムの中で一貫して歌っているのはたしかだね。でもそれだけじゃなくて、生々しい感情をまた味わおうということも歌っているんだと思う。それがネガティヴなものであってもね。俺たちはみんな、ときにはキツイ現実を人任せにしてしまうという意味で罪深いんだと思う。モダンなツールを使って、そういうものを感じる感覚を麻痺させたり、自分の現実を隠そうとしてしまう。今回のアルバムでは自分たちの人生について語って、自分の周りの世界に目を向けている内容だけど、それが自然にアルバム全体に一貫するテーマとなっていった感じだね。
-世間はそういう生々しい感情が戻ってくるのを必要としているのかも知れませんね。それを物語るかのように、今作は、Billboardの"ハード・ロック・アルバム"チャートで1位、アルバムに先行してリリースされたシングル「Painkiller」とTrack.6「I Am Machine」もメイン・ストリーム・ロック・チャートで1位を記録するなど、すでに素晴らしい記録を達成していますが、この結果には満足していますか?
まぁ、統計とかにはあまりとらわれないようにしているけどね。自分にとってリアルなものを作ってそれがリスナーにとってもリアルなものになれば、すごく報われる気がする。俺たちにとっては、自分に正直でい続けて、自分自身の人生に起こったことや、周りの人たちに起こったことについて考えて曲にしているだけなんだ。俺たちはありふれた人間だからみんなと同じような経験をしている。俺たちの曲を聴いて、自分の人生に重ね合わせたり関連づけたりしてくれたやつらが、俺たちのところにきて"あの曲で自分のこういう状況を乗り越えられた"とか"この歌には自分の人生が見える"とか、そういうことを言ってもらえると、信じられないほど嬉しい気持ちになるよ。決してあって当たり前の気持ちじゃないって思ってる。だからこそ俺たちはこういうことを生業にしているんだろうね。俺たちにとってもとても大きな力になるから。自分が描いた絵が他人にも意味があるものになったとき、自分にもそれまでよりさらに大きな意味のあるものになる、そんな感じだね。
-一気に注目を浴びることとなった1stアルバム『Three Days Grace』から12年が経ちますが、今振り返ってみて自分達にとってどんな作品ですか?
この12年は畏敬の念を憶えるというか、超現実的な感じがするね。あまりに早く過ぎ去っていったから。俺たちはあまり商業的なことは考えないで、ただ頭を垂れてひたすら曲を書いていたんだ。あのアルバムから「I Hate Everything About You」のヒットがあって、突然俺たちはいろんなところに出ずっぱりになった。......俺は飛行機が嫌いでさ。
-私も嫌いです(笑)。
(笑)なのに俺は年中飛行機に乗っているんだぜ(笑)! これだけ飛行機に乗ったら飛行機嫌いも直るかなと思ったけど、何故かそうじゃないんだよな(苦笑)。......俺たちは今も、子供時代を過ごした田舎町に住んでいる。世界中を旅して世界中のすごい人たちに会って、デカいショーもいろいろやっているけど、カナダで飛行機を降りたらその瞬間から、何事もなかったような、何も変わっていないような気分になれるんだ。本当は何もかもが変わったのにね(笑)。歳とって白髪頭になって、今の生活のすべてが終わったときに、起こったことすべてをゆっくり振り返れるようになるんだろうな。でも今は骨休めしている場合じゃない。その日がくるまではひたすら音楽を作り続けて、前だけ向いて、行けるところまで行こうと思っているよ。
―では"その日がくるまでの間"をできるだけ長く続けてくださいね。
もちろんだよ(笑)! 俺たちの情熱はまさにこの活動に宿っているわけだからね。毎日ステージに上がって何千人、何万人の前でプレイしているとアドレナリンがほとばしるんだ。それはすごく中毒性のある感覚でね。俺たち全員中毒なんだと思う。他のものの中毒になるよりもよほどマシだよ。
-今後の活動について教えてください。夏までは今作を携えてのツアー予定がつまっているようですが、そのあとの予定は決まっていますか? 日本でのライヴやフェス出演は予定されているのでしょうか?
日本にはぜひまた行きたいね。最近はまた海外にいっぱい行っているんだ。TDGのファンが世界中にいるってことがわかってね。インターネットのおかげで音楽が国境を越えられるようになって、世界中の人たちにオンラインで届けられるようになった。日本に行ったときもものすごく楽しかったよ! 長崎に行ったんだけど......さっき飛行機嫌いって話をしたけど、長崎空港に降り立ったときが俺史上最悪に風が強いときだったんだ。長崎空港って風が強くて着陸がしにくいってことで有名らしいね。飛行機が横に揺れてさ。最後の最後にやっとまっすぐになったんだよ! まあ俺の飛行機嫌いについては話すと1日かかっちゃうからこのへんにして(笑)、とにかく日本は本当に楽しかったんだ。最近はロシアやブラジル、アルゼンチンに行った。来週はスペインに行くんだ。そんな感じだけど、日本という美しい国に行ってまたプレイするというのは、確実に俺たちの希望や計画の中にあるから、近いうちにきっと行くよ。
-近いうちに日本に来られることを楽しみにしています。今回のツアーでも曲作りをするのでしょうか。
もちろん!俺たちはワーカホリックだし、ツアー・バスの後部座席に小さなスタジオ設備を載せているんだ。ビデオ・ゲームは昔やっていたけどもうやっていないね。そんな時間があったら曲を書くよ。まぁ、今でもビデオ・ゲームが好きなメンバーもいるけどさ(笑)。
-最後に日本のファンへメッセージをお願いします。
THREE DAYS GRACEのNeilです。日本のみんな、素晴らしいサポートを本当にありがとう! 前回日本に行ったときは、今までの人生の中でも最高の部類に入るショーができた。早くまた行きたくて待ちきれないんだ。できるだけ早くそっちに行くよ!