INTERVIEW
LIV MOON
2015.06.16UPDATE
2015年06月号掲載
Member:AKANE LIV (Vo)
Interviewer:荒金 良介
-宝塚では男役だったんですよね。男役をやると、私生活まで男性の仕草や話し方になってしまうと聞いたことがあるんですが、LIVさんの場合はどうでした?
住んでる街も宝塚ですし、自分でも夢の世界を届けるという意識はありましたからね。なので、外でも女性らしくはできなかったです。みなさん、夢を見るために舞台を観に来てますからね。
-そうなると、本来の自分とギャップを感じませんか?
それはありますね。私はソプラノが得意だったのですが、宝塚に入って、低音ばかり歌うことが多くて。でも宝塚のおかげで低音が広がったんですよ。それはLIV MOONで音を重ねるときにも役立ってます。宝塚を辞めたあと、1年間イギリスに留学したんですけど、レディーファーストの国なので、女性らしく扱ってもらえたので徐々に性転換できました(笑)。
-ははは、性転換ですか。
多感な時期に男役をやってましたからね。あそこで苦労したこともいい経験になりました。
-宝塚を退団するきっかけは、海外のミュージカルに出会ったことだと調べてみて知ったのですが、これは本当なんですか?
そうですね。宝塚みたいに濃い化粧をしてると、なかなか外に出られないじゃないですか。でも海外でミュージカルに携わってる方は日常生活も楽しんでるんですよ。化粧落として、リュック背負って、スッピンで帰ったりして。宝塚は夢の世界なので、終わったあともファンと写真を撮ったり、何度もメイクしなければいけなくて。あと、男性が混じったミュージカルの厚みにも衝撃を受けましたね。そのときに観たのはQUEENの「We Will Rock You」をモチーフにしたミュージカルでそれも良かったですね。QUEEN大好きなんですよ! 自主稽古してるときもテンション上げるために、必ずQUEENをかけてます。あと、「Livin' On A Prayer」も。
-BON JOVIですね。もともとロックは好きなんですね?
はい、男性の力強いロックは好きですね。と同時にそれと対極にあるようなクラシック音楽も聴いてました。そういう意味でもシンフォニック・メタルというジャンルはすべて詰まってるんですよ。シアトリカルな要素、ロック的なヘヴィさ、クラシカルな旋律もあるし、自分が好きなものが全部詰まってるジャンルだなと。それと私は男役より、女性として表現したいことが増えたので、自由になれた感じはありますね。
-自分らしさを解放できた?
アルバム自体がそうですからね。作品を出すごとに自分の意見やバックボーンを出すようになったから。前作(『THE END OF THE BEGINNING』)は北欧神話をモチーフにして、生まれ育ったスウェーデンに行って、幼少期の記憶を思い出して歌詞も書いたんですよ。1stアルバム(『DOUBLE MOON』)のころは私も手探りだったけど、作品を重ねるごとに自分の欲しい音が見えてきて、楽しくなりました。
-シンフォニック・メタルに開眼したのは、イギリス留学中に乗っていたタクシーのラジオから偶然流れた"オペラ座の怪人"を聴いたことがきっかけだそうですね。何がそんなに衝撃だったんですか?
男女両方からパワフルな歌声が出ていたので、それに感動したんですよ。あと、音的にも"オペラ座の怪人"はミュージカルの中でもロック・テイストが強いし、さらにドラムの音が大きかったり、ベースは悪そうな音を鳴らしてたり、いろんな楽器が際立って聴こえたんですよ。それがかっこいいなと。
-それからすぐにLIV MOON結成には繋がらなかったんですよね?
もともといた舞台に重点を置いてましたからね。音楽はやりたくて、ソロ・ライヴはやってたんですよ。癒し系というか、ジャズみたいな音楽をやってました。こういうヘヴィな音楽はLIV MOONを始めてからですね。
-それは新しいことに挑戦したいという気持ちから?
ディレクターの西脇辰弥さんとの出会いが大きくて、デビューから5年間いろいろと育ててもらいました。音楽面はみんなのサポートのおかげですね。