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INTERVIEW

NOTHING TO DECLARE

2015.04.08UPDATE

2015年04月号掲載

NOTHING TO DECLARE

Member:Masa (Ba) Mas Kimura (Vo/Gt) Yoshi (Gt)

Interviewer:荒金 良介

-シンガポールの生活が長かったゆえに?

Mas:そうなんでしょうね。ちょうど震災の時期で頭がおかしくなって、曲も書けず、音楽も聴けない時期があって。それを越えて、今回はイチからスタートを切るという意味での3曲なんですよ。Track.1の「The Path(of the righteous man)」というのは道のりですよね。Track.2の「Homecoming and Rough Landing」は帰省したけど、着地失敗みたいな意味で、日本に帰ってもホームという実感がなかなか持てなくて。Track.3の「We Stand Alone」でひとりひとりが強くなきゃいけないという気持ちにたどり着いたんですよ。あと、テーマ的には愛や恋のハートじゃなく、心臓のハートという意味で全曲その言葉を入れてるんですよ。自分の居場所がどこにもないと思ったときに、帰って来る場所は自分のハートだと思うんですよ。そこに1度立ち戻って、自分自身を受け入れて、人間として独り立ちするというメッセージを込めてるんですよ。今回MVに初の試みで、「We Stand Alone」に意訳を付けてるんですよ。日本でやるからにはちゃんと伝えたかったので、それも見てもらえたらなと。

-今作はMasさんの人生を凝縮したような1枚ですね。そんなに濃い気持ちが込めていたとは。

Mas:歌詞は前作以降、バンド活動する中でこの4人で良かったなという安心感が出てきたんですよ。それで肩の力が抜けて、ようやく地に足が着くようになりました。それでタイミング的にも今ならちゃんと歌えるなと。

-話を戻すようですが、Masさんは何がカルチャー・ショックだったんですか?

Mas:シンガポールにいたときは毎日友達と会って、週末は昼からスタジオに入って、常に友達と一緒だったんですよ。日本だと、みんな距離が遠かったり、仕事をしてたりで時間も合わないし、ずっと孤独でしたね。

Yoshi:話を聞くと、メンバー全員で4階建てのアパートを丸々借りて住んで、さらに部屋でドラムをガンガン叩いてアンプ鳴らして常にスタジオにいる環境だったみたいで、文化が違うなと。

-日本でもメンバー全員で一軒家に住むバンドはいますけどね。

Mas:若いときならできたかもしれないけど、すでにいい大人ですからね(笑)。あと、音楽やるにしてもこっちでは家でアンプを鳴らせないし、音楽も自由にできる環境じゃなかったので。そこに孤独も重なって、めちゃくちゃつらかったです。

-そこから脱出したきっかけは?

Mas:それはこのバンドがきっかけで、ようやく日本でも音楽のスタートを切れたし。ゼロからの出発だったので、ひとつひとつの反応も嬉しかったし、それで徐々に自分を取り戻すことができました。

-そういう経緯を通過して、今作で伝えたいことが明確になったが大きいんでしょうね。メロディは圧倒的にキャッチーになってますもんね。

Mas:前作は全曲バラバラだったし、当時は自分の頭の中がグチャグチャでしたからね。それがそのまま音に出てたのかなと(笑)。今回は統一感があると思います。あと、音作りの面でもギターは前作より突き詰めて、パート分けをしたんですよ。Masa君はどう?

Masa:うん、ベースのフレーズも露出が多くなってると思います。

Yoshi:前作はライヴで再現できないフレーズがあったけど、今回はギター2本で完全に再現できるものばかりなので、最終形は生でストレートなものに落ち着きましたね。

-そういう意味でレコーディングもやりやすかったですか?

Mas:やりやすかったし、楽しかったですね。好きなフレーズを録音する作業だったので、それも気持ち良かったですね。

Masa:ひとつひとつの演奏がしっくりきました。

-サウンド全体も明るくなりましたね。

Mas:もともと個々でやっていたバンドではメロディアスな音楽をやっていたんですよ。だから、自然とそうなったのかもしれない。ヘンなトゲトゲしさはなくなって、自分たちが持ってるものを磨く作業だったので、音も洗練されたんだと思います。

Yoshi:自分もメロディック・パンク系のバンドをやってましたからね。

Masa:僕も日本語の歌ものロックで、結構メロディアスな感じでしたからね。

Mas:僕はポップ・パンクから始まりました(笑)。

-今の音楽性から、ポップ・パンクはなかなか想像つきませんが。

Mas:今も別にヘヴィにしようというわけでもなく、好きだから取り入れてるぐらいの意識なんですよ。1番心地いいサウンドを追求してる感じです。

-ただ、サウンドの基本トーンはダークでもの悲しいですよね。

Yoshi:そこは狙ってないよね? Masが作る曲はそういうものばかりなんですよ。どこかちょっと切ないみたいな。

Mas:THRICEというバンドが大好きで、まあ落ち着くんですよね(笑)。哀愁と強さも兼ね備えてる雰囲気が好きで。でも明るいと言われて嬉しいですね。

-音は抜けているし、楽曲から生命力溢れるエネルギーを感じます。

Mas:ああ、それは嬉しいですね。ヘコんでた時期をしっかり受け止めて、音楽をやれてますからね。それを感じてもらえるなら良かったです。