INTERVIEW
MERRY
2014.12.10UPDATE
2014年12月号掲載
Member:ガラ (Vo) ネロ (Dr)
Interviewer:TETU★KID
-歌詞も素晴らしいです。Track.2「NOnsenSe MARkeT」が"ここは極東ナンセンスマーケット"っていう冒頭から始まって。ぐっと世界観に引き込まれて、そこから抜け出せない感覚を味わいました。そこからTrack.3の「「東京」」。この曲の歌詞に込められた想いは?
ガラ:自分の中で起承転結のパターンが完全にできあがってしまっていて、歌詞を書くことに新鮮味や面白みを感じられず、今回すごい歌詞に悩んだんです。「群青」、「梟」、「ZERO -ゼロ-」は"みんな大変なことあるけど、頑張っていこうよ"っていう歌詞なんです。だからもうこういう曲いらないなあとも思ってて。今まで通りだったらこの「「東京」」も"夢も何も叶わなかったけど、ここにいて頑張りたいんだよね、東京"みたいに歌詞になったと思います。でも今までと確実に違うのは"夢も希望も1回なくなっちゃったけど、でもなにかある気がするんだよね、好きだから居るんだよね、東京"っていう感じに締めくくれてる自分がいて。なにかあると思ってでてきて、夢が叶った人もいれば叶わなかった人もいて。叶わなかった人の方が断然多いと思いますけど、でもそういう中でなんで東京にいるんだろうって。やっぱ好きだからだよね。っていう歌なんですよね。
-この曲が持っているような影がある感じ、それもMERRYらしさのひとつかなって。
ガラ:どっかで気付いちゃったんですよね。"夢は叶う"って綺麗ごとというか、本当に叶った人が言える言葉なんだろうなって。僕は夢が叶ったことがないから、悲観的になり過ぎなのかもしれないですけど。
-叶っていないというよりも、ハードルが高い故なのかなと思います。だからこそ、逆境にも強いというか。なんとなくで達成できちゃったら、そこで止まっちゃうだろうし。
ガラ:それはそれで潔いとも思うんですよね。もし"CDが何万枚売れたら俺ら解散しようぜ"とかもある意味やりきった感があるというか。アルバムを出して"これ以上の曲は出ないから俺ら解散するわ"とか言うバンドも居るじゃないですか。それはそれですごいことだと思います。俺らは満足いかないからこそ追ってるし。でも最近は"夢"っていうものに少し冷めちゃってて。とくに俺もネロも"夢"っていうものに憧れてこの世界に入ってるから。でも入ってみたらこの世界の裏も表も見えて、良いことも悪いこともあって。でもそんな中でネロは純粋に夢を追ってる人だと思いますね。
ネロ:でも、この「「東京」」の歌詞に共感できなかったら同じバンドに居ないし、夢だけじゃないっているのはわかってるよ(笑)。僕はちゃんと現実から目をそらさずバンドやってます(笑)!
-そして、Track.4「自意識過剰型木偶人間」。"俺はやりたいことがない 言いたいことも分からない"。まさしく今おっしゃってたことが出てるなっと。
ガラ:そうですね。僕が1番歌詞で悩んで狂ってるときかもしれないですね。"俺何のために歌ってるんだろう""何がしたいんだろう"って。それさえもさらけ出してしまえと思った曲ですね。"こんな俺じゃだめなのか、でも愛してよ"って。少し女々しくて今までだったらちょっと格好悪いなって思って書けなかった歌詞かもしれないですね。今だから書けたのかもしれない。今回ちょっとタブーなものに触れてみようっていうのがあったので、そういう意味では1歩踏み出せた曲ですね。僕、すごく食わず嫌いが多いんですけど、何歳まで生きているかわからない中で、見た目は好きじゃないけどもしかしたら美味いものもあるかもしれない。とりあえず1回かじってみて、不味かったらやめようっていう考えにシフト・チェンジしたんですよね。そういう考えが歌詞にも反映されたんですかね。
-ネロさんは傍でずっとガラさんを見てきていると思うんですけど、なにか変わった感じとかありますか?
ネロ:変に格好つけなくなったところが格好良いと思います。大槻ケンヂさんの名言で"コンプレックスを舞台に上げればそれはロックになる"っていうのがあって、その名言通りだなって思ったりしてます。
-昔より素をさらけ出すようになったんですね。
ガラ:メンバー交代がないようにっていうのに1番重点を置いてメンバーを集めて、13年活動してきて、このアルバムを作る過程でメンバーにさらなるリスペクトをできるようになったんです。僕が歌詞で悩んでいたのをみんなは見てたからこそ、すごい協力的になってくれたし。今回すごい歌とか歌詞に集中できたんですよね。その分、自分で書いた歌詞だけど個人的なものじゃない、バンドのものになってる気がして。人一倍みんなで作ったアルバムっていう思いは強いかもしれないですね。
-13年経てたどり着いたんですね。
ガラ:時間がかかりましたね(笑)。今まではあんまり歌詞のこととか言われるのが嫌で、みんなも俺に任せるっていうこともわかってたし、俺もその気でいたんですね。俺が思っていることをバンドというフィルターを通して発信しているわけだけど、だけどこれもうちょっといろんな人に聴いて欲しいですし、ライヴを観に来て欲しいってなったら、バンドとして出した方がパワーはすごいと思って。自分の言いたいことも含めて、バンドでひとつの塊になれたらなあって。個人的なものからグループのものに変わりましたね。
ネロ:それによってライヴでの表現も変わりましたしね。僕的にも何を想って演奏するかとか、もう1歩先にいけたというか。だから、ファンは聴いてくれたらわかってくれると思うし、その他のもっと多くの人に刺さるんじゃないかなと。
ガラ:そういう意味では、今MERRYが好きで聴いてくれている人には確実に自分の思っていることを100%以上の気持ちで伝えなきゃいけないと思ってて。そのファンの人が他の人に伝えやすいようにしていきたいなあと思ったので。今までみたいに歌詞を書いて、あとの解釈はみなさんでどうぞっていう感じじゃなくて、俺は今こうですってストレートに伝えたかったんですよね。