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INTERVIEW

SLIPKNOT (Clown)

2014.10.10UPDATE

2014年10月号掲載

SLIPKNOT (Clown)

Member:Clown (Percussion)

Interviewer:村岡 俊介(DJ ムラオカ)

-あなたはプロデューサー、オーガナイザーという立ち位置ということですね。

そうだね。すでに長期的な展望を持っているからこそ、お金のことなど考える要素がどんどん増えてきている。初開催のときにどうすればうまくいくか、いかないかがわかってきたから、うまくいくことはそのまま続けて、さらに新しいものを加えて。ダメだったものは排除していく。そうやって組み立てていきたいと思っている。でも、1番の目的は最初にも言ったとおり、スマホとかコンピューターにかじりついているキッズたちに"本当の音楽体験"させて解放してあげたい、本当にそれだけだ。そのために俺はこれからもこのフェスに携わっていきたい。ライヴ会場でどんなドリンクを売っているのか、どんなフードを売っているのか、そういうことまで含んだすべての面に目を行き届かせていきたい。それは、全部ファンのためなんだ。素晴らしいバンドでもファンがいなければ、成立しない。今のSLIPKNOTがいるのもすべてファンのおかげだからね。ファンのためを思ってKNOTFESTを続けていきたいし、SLIPKNOTがバンドをやらなくなっても、俺がもし死んでもKNOTFESTが毎年の楽しみとしてみんなにとって必要なものであり続けて欲しい。アメリカの"Burning Man"っていうもの(ネバダ州ブラックロック砂漠で毎年9月に7日間に渡って開催される、参加者主導型のアートフェスティバル)が流行っているらしい。かつては、すごいカルトだったものがアメリカ中ではトレンドになりつつある。KNOTFESTもそういうふうに広めていきたい。美しいアートとして成立させていきたい。まあ、ビジネス面は優秀なスタッフたちに任せて、俺はミュージシャンとして音楽の方に専念していたいけどね。

-11月15日、16日には日本での開催が決定しましたが、日本で開催することになりました経緯を教えてください。

SharonがOZZFEST JAPANのパートナーであるH.I.Pを紹介してくれたんだ。今までSLIPKNOTとしていろんなプロモーターと付き合いがあったけど、昨年のOZZFESTにSLIPKNOTが出て、ものすごく反響がよかった。お酒を飲みながら"じゃあやろう"って決まったんだ。今年、日本での初開催を機にKNOTFESTを来年、再来年とどんどん規模を大きくして続けていきたい。これまでFUJI ROCK FESTIVALなどにも出演したけど、俺たちも最初は小さい会場からやり始めたんだ。でも、そこから15年の間にバンド自身成長してどんどんチャンスを掴んでいった。だからこそ、俺たちが抱いていた夢も叶いやすくなったし、やりたいことをできる状況にいる。さっきも言ったけど、俺たちには優秀なスタッフがいるからビジネスのことは任せることができる。だから、俺はファンやキッズが、バンド自身が、何を求めているかということを考えて、今後の企画を考えていきたいと思っているんだよ。

-ラインナップも素晴らしいですね。まずは2日間ヘッドライナーを飾るあなたがたSLIPKNOTです。主催とはいえ2日間連続でヘッドライナーとはすごいことだと思います。あなたがたのことですから、2日間同じパフォーマンスをするとは考えにくいのですが、どのようなものになりそうですか?

今、俺は、今までやってきたようなありきたりなことから抜け出して、もっとリスクを伴うことをしていきたい気分なんだ。それはSLIPKNOTの初期の衝動と似ている。しばらく、それができない"仕事"としての活動が続いた時期もあるけど、そこから抜けて違うことをやりたいっていう気持ちがどんどん大きくなっていった。つまり俺は同じことは繰り返したくないんだ。ファンによってはKNOTFESTに2日間来る人もいれば1日だけ来る人もいる。そういった人たちのためにも、核となるSLIPKNOTとしてやっておかなければいけないものは2日間ともしっかりやるつもりだよ。でも、10曲くらいは入れ替えてやろうかな。久々にやる曲やめったにやらない曲を織り交ぜて、どちらの日もスペシャルにするよ。今の俺は、SLIPKNOTが今までやったことがないことをすべてやりたい気分なんだ。だから日本でいきなりニュー・アルバム全曲を通しでやるかもしれない。俺はAC/DCや、VAN HALEN、METALLICA、IRON MAIDEN、KISSといったロックンロール・ショウから影響を受けているから、SLIPKNOTとしても"ショウ"をみんなに届けていきたいと思ってる。だから、いろんなものに凝っていきたいね。SLIPKNOTの狂気的な側面を取り入れていきたいと思っている。今回はステージやコンセプトも一新して、アートとしてSLIPKNOTの音楽の幅を広げたものをみんなに届けるよ。

-日本でのラインナップもアメリカのKNOTFESTに引けをとらないラインナップになってますが、実際Clownからみて今回の日本のKNOTFESTのラインナップはどう思いますか?

本当に素晴らしいラインナップだと思うよ。日本とアメリカのカルチャーを融合することができるのは本当に重要なことだし、実現できるのは本当に素晴らしい。アメリカのバンドももちろんいるがKNOTFESTを今後続けていくにあたって現地のバンドをどんどん出演させていきたいと思っている。もし、南米でやることになったら、南米のバンドを呼ぶつもりだよ。俺たちがオファーを出して、快く受け入れてくれた日本のバンドには心から感謝しているよ。アメリカのバンドのなかには初来日のバンドもいる。遠い日本まで行くとなると金もたくさんかかるから、バンドごとに工夫をしてもらっているんだ。俺たちのようにキャリアを積んだバンドは、若いバンドへのチャンスを後世に残していくことだと思う。ここにはライバル意識なんてない。俺は世界最高のバンドにいるということを自負しているからこそ、若いバンドにチャンスを与えていくことが使命なんだ。初来日のアメリカのバンドも1度日本に来れば、新しいファン・ベースも広がるだろうし、日本の文化の理解にも繋がると思う。次の来日へと繋がるようなことも目指してやっているよ。最近ロックのコミュニティっていうのが薄れてきてしまっているけど、そのコミュニティを取り戻していきたいんだ。

-ちょうど昨日新曲「The Negative One」が先行公開されましたね。聴きましたが、6年待っただけある、"これぞまさにSLIPKNOT!"というべき素晴らしい楽曲でした。どんなアルバムになるか教えてください。

ありがとう。とにかくすごいアルバムになっているよ。今まで出してきたアルバムと比較して良し悪しはつけることができないけど、ニュー・アルバムはすごくスペシャルなものになっている。SLIPKNOTはいろんな地獄を見てきた。その最たるものはPaul(Ba)を失ったことだ。そういうことを乗り越えて、今ここにSLIPKNOTがいるんだ。アルバム・タイトルや曲順を考えているとき、結構煮詰まっていたんだけど、Coreyが言ったんだ。"これまで自分たちがついてきた嘘を認めて、自分たちに対しても、世界に対しても、もう嘘はつくまい"。その言葉がすごく印象に残ってる。大きなバンドが動いていくために、すべてを曝け出していくっていうのは非常に難しいことだ。でも、それはもうやめようと思った。もう1つ、今回のアルバムの大きな特徴は、メンバー全員が演奏している楽器の音がしっかり聴こえること。それはこのバンドが生涯かけて技を磨き進化してきたからこそ、このアルバムで達成できたんだ。仮にこのアルバムが俺の生涯最後の作品になろうと絶対に後悔しないよ。そのくらい素晴らしい作品になった。先日発表した「The Negative One」もだし、これから聴くことになる新曲もショックを受けると思うよ(笑)。アルバム全部を聴くときもおそらく5回は聴かないと理解できないんじゃないかな。俺たちは、憎しみあったりといろんなことがあったけど、今回のアルバムは成熟した7人が一致団結してみんなの気持ちが1つになって完成したアルバムなんだ。15年という長い歳月やってきたけど、過去でも未来でもない"今の"SLIPKNOTが如実に現れているアルバムだと思うし、このアルバムをつくることによって、本当にPaulにさよならを告げて、次に前進する。そういうアルバムになっているよ。