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INTERVIEW

ALICE IN CHAINS

2013.05.24UPDATE

2013年05月号掲載

ALICE IN CHAINS

Member:William DuVall (Vo/Gt)

Interviewer:伊藤 洋輔



4人の男たちの力強い躍進を体感したならば、もう過去に囚われたノスタルジーに浸ることはないだろう。カリスマ・フロントマンLayne Staley亡き後、William DuVallを迎え新たに始動したALICE IN CHAINS。2009年、実に14年振りという新作をリリースし大きな話題となったが、これは、紛うことなきバンドが過去を葬った決定打が誕生した。約4年振り、通算5枚目となる新作『The Devil Put Dinosaurs Here』。リアルな魂が紡いだ渾身のアルバムについて話を聞いた。

-まずはアルバムを完成させた現在の心境を聞かせてください。

William DuVall(以下W):まず安堵感があるね(笑)、完成して嬉しいよ。俺たちの場合、アルバム作りのプロセスにしばらく時間がかかる傾向にある。たいてい、怠慢だからなんだけど、完成出来たのは喜ばしいことだ。

-約4年振りとなる新作を完成させましたが、前作は約14年振りというアルバムだけにALICE IN CHAINSの復活を印象付けました。では、今作はバンドとしてどのように受け止めているのでしょうか?

当然、このバンドをほぼ1から改めて紹介するといった、前作と同じ役目を果たしたわけではない。君の質問の観点からすると、今回の新作と前作の最たる違いは、前作『Black Gives Way To Blue』での俺たちは存続するための権利を勝ち得ようと必死だった。あのアルバムを作るということ自体にものすごい重責がかかっていたんだ。アルバムを作るべきかどうかといったことに関する、世間からの多くの意見や議論と対峙しないといけなかったんでね。もちろん、同じような議論はバンド内部にも及んでいた。だから『Black Gives Way To Blue』は、そういった質問全部に対する答えなんだ。一方、今回の新作は音楽そのものの方がもう少しモノを言っている。俺たちの存続の権利はもう決着がついたからだ。

-では改めて質問しますが、ALICE IN CHAINSの活動を継続させた理由とはどのようなものですか?

それは単に、続けたいという欲求があったからじゃないかな。ファンとのつながりもあったしね。『Black Gives Way To Blue』を作ることを決心した頃、俺たちは既に世界中を回っていた。だから、俺たちはその時点で既にバンドだったんだ。2005年にまでさかのぼって、当時の彼らが何に駆り立てられたかというと、また音楽をやりたいという欲求があったからに他ならない。そして俺が加入すると、俺たち4人で音楽をやりたいという欲求に駆られたんだ。2006年にライヴをやっていた時点では、アルバムを作るという具体案はまだ出ていなかった。新しい音楽のアイディアをいろいろと出してはいたものの、ALICE IN CHAINSとしてのアルバム制作までには至らなかった。でも、2007年、2008年になった頃には、俺たちは10ヶ国以上で100回もライヴをこなしていた。その頃にはレコーディング出来る新しい音楽もたくさんあったんで、『Black Gives Way To Blue』を作った。あとは周知の通りだ。

-新作に話を戻します。今おっしゃったくらい前から曲作りを始められていたにもかかわらず、リリースにここまで時間がかかったのは何か理由があるのでしょうか?

ハハハ、アルバムのレコーディングを始めたはいいけど、気がつくと季節は移り変わっていった(笑)!それでも俺たちはまだスタジオにいた。これが俺たちのやり方なんだよ。今回はJerry(Cantrell、Gt/Vo)の肩の手術という問題もあったんで、それで若干延びはしたけど、1番の理由は俺たちの作業にはしばらく時間がかかるということだ。骨の折れる細かいプロセスなんでね。

-あらゆる要素があり、さらに抽象的な質問ですが、あなたがアルバム制作において最もインスパイアされたものとは何でしょうか?

個人的には、前回終わったところから続けたいという気持ち、そして俺たちの存続に対する疑問が詰まった棺桶にもう1本釘を打つことだったかな。2枚目のアルバムともなると、俺たちのため、そしてファンのためにさらにリアルなものを作らないといけなかった。アルバムを1枚しか作らないと、特に『Black Gives Way To Blue』の時のような状況下だと、単に過去の雰囲気をいい感じに出しているもの、それでおしまいとしか見なされないかもしれない。
でも今回は、本当の意味で俺たちが未来への道を切り開いているんだというアイディアを明確にしている。個人的にはそれがモチベーションの1つだったし、他のメンバーも同じだっただろう。もう1つは、新作では曲で扱っている題材の発展が明らかに見られたということ。「The Devil Put Dinosaurs Here」という曲をアルバム・タイトルにすることによって、このバンドのこれまでの定番だった内省的な題材や歌詞ではなく、外界の問題を取り上げているということにさらにスポットライトを当てたんだ。それが、躍進を遂げたことを表していると思う。