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激ロック | ラウドロック ポータルサイト

INTERVIEW

DOIMOI

2012.08.03UPDATE

2012年08月号掲載

DOIMOI

Member:杉山明弘 (Gt)

Interviewer:KAORU

-「オリンピック」は激ロック読者向けに言うとSHINEDOWNやNICKELBACKなどのハードロックを通過したラウドロックを彷彿とさせるヘヴィネス・サウンドで。スクリーム・パートも入っていてるのにサビは超美旋律で。前回のインタビューで仰っていた“間をとって妥協するのではなくて、極端と極端をぶつけるような内容”という言葉を代表する曲だと思います。この曲について解説をお願いします。

自主制作の2枚目のアルバムの曲作りを始める頃、それまでドロップD(ギターの6弦を1音下げるチューニング)止まりだったのをもう1音下げてCにしてみようと思って、そのチューニングに合うリフをイメージしはじめたところから一気に仕上がってしまった曲です。メタルしか聴かなかった高校時代、同級生にNIRVANAの『BLEACH』を貸されたことがあって、乱暴すぎるゆえにメタルの枠内では表現できないようなエネルギーにかなりショックを受けまして。イントロのリフでは、その感じを10数年越しにようやくアウトプットできたと思っています。サビは産業ロック風だとか言ってもらうことが多いですね。作った方としてはあまりそういう自覚はなく、WINGERやHAREM SCAREMみたいないわゆるメロハーへの愛が、期せずして溢れてしまった結果なのかもしれません(笑)。更に間奏にあの絶叫パートをつけたときは、もう完全にやりすぎたなと思ったんですけど、この曲が一番好きと言ってくれる人も多いので、何も遠慮することはないんだなということで納得しています。

-「誰が傾いているか」はグルーヴィーな前半から少し音が止まって、後半はまるで違う曲のようですね。「遺跡」への取っ掛かりとも聴こえるのですが、その部分についてはいかがでしょうか。

そのとおりですね。後半は曲の並びの都合で入れたパートで、ライヴではカットすることも多くなると思います。また元ネタの話をすると、いったん止まってスロー・テンポのおまけがついてくるという図式は、SOUNDGARDENの「Rusty Cage」にあやかってます。分かる人がニヤッとしてくれたら嬉しいです。

-アルバム最後の曲「遺跡」も、とてもエネルギッシュな曲で大好きです。因みに“ジャージャージャンッ!”と、爽快な終わらせ方をしていますが、敢えて残響を残さずにアルバムを締めくくったことに何か意図があると感じたのですがいかがでしょうか?

はい、敢えてそうしてます。マスタリングで曲間を決めるときも、普通は3秒くらい空白を残しますけどどうしますか?とエンジニアさんに訊ねられて、“最短で切ってください”と即答したくらいです。むかし雑誌のインタビューで読んだのかラジオで聞いたのか、誰の発言かも忘れましたが、“アルバムの最後をいかにも終わりっぽい壮大な曲で締めるより、スパッと潔く切り上げたほうが、もう一周聴きたいという気になる”というくだりをずっと覚えていて、それが信条のようになってます。そういえば自主制作時代の2作品も、両方とも余韻ゼロで終わらせてますね。

-『Materials Science』は多くの人から絶賛されるアルバムだと思います。ざっくり言うと、00年以降はメタルやラウドロックなどのヘヴィな音楽を好むリスナーと、所謂UK/USインディーのリスナーとにぱっかり分かれましたが、DOIMOIの音楽はどの層のリスナーにも響く多種多様な音楽で、本当に衝撃を受けまして、嬉しくてしょうがないです。さて、杉山さんは、00年以降にリスナー層が分かれた理由についてはどう分析しますか?また、DOIMOIが『Materials Science』を投下することによって、多種多様なリスナーからどんな反応が起こると思いますか?

なんだか身に余るお褒めをいただいて恐縮です。いろんな影響があるとは思いますが、インターネットで自分から情報を得られる世の中になって、より好きなものだけに浸っていられるようになったことがまずひとつかと。もうひとつは“90年代のグランジ/オルタナに歩み寄ることがメタルの活路”的な空気がなくなって、メタルやラウド系のバンドがルックスやイメージの面でもマッチョさや非日常感を取り戻したから、それ以外の音楽から浮いてしまう感じも一緒に復活してきたのかなと思います。想像ですけどね。今に始まった話じゃないですが、ジャンルがどんどんきれいに細分化・極端化されていって閉鎖的になるのは、ちょっと寂しいなとは思います。その状況を僕達が変えられるとは考えてないですが、自分の中で別物だと思っていた音楽がつながってそれぞれを見直したり、馴染みのなかった音楽にも部分的には受け入れられるものがあると意識してもらえたら嬉しいです。

-DOIMOIのファンには普段メタルやエモを聴かない人もいるのではないかと思うのですが、実際にどんな人がライヴに来ていますか?ライヴ中はモッシュが起こったりもしますか?

活動開始当初からエモ/インディロック寄りのバンドと一緒にやらせてもらうことが多くて、お客さんの層もそんな感じです。むしろメタル・バンドだけのイベントは出たことがないですね。自分達のライヴでモッシュが起こる光景は一度くらい見てみたいですが、なにぶんこちらは細腕のナード野郎なので、何か申し訳ない気分になるかも知れないです(笑)。