INTERVIEW
fade
2009.10.06UPDATE
2009年10月号掲載
Member:rui(Dr) Jon(Vo)
Interviewer:ムラオカ
-それではアルバムの質問に移らせていただきます。
前々作から『To Find A Better Tomorrow 』まで3年かかったそうですが、今作まで約1年の期間で完成させましたね?さらに10曲とフル・アルバムですがここまで短期間でアルバムを完成させることができたのはなぜでしょうか?
r:このアルバム用に書いた曲もあったけど、うちのスタッフが入れたほうがいいんじゃないかという意見もあって昔書いた曲も入れていますね。最初はすべて新しく書き下ろした曲で行こうと思っていたのですが、スタッフの意見を取り入れるのも大事かなと思って以前の曲も入れたので、結果10曲入れることが出来たんですね。中には僕が19歳くらいのときに書いた曲とかもあるので、凄く長いスパンで書かれてきた曲という感じなんですけどそういう方が自分たちらしさというものが出るのかなと。アルバム・コンセプトを決めて一時期に作ってしまうと聴いているリスナーが飽きてしまうのではないかなと。自分たちではそこまで似ているということは感じないかも知れないけど、リスナーからするとひとつのジャンルに偏ってしまうかなと思ったんですね。そういう意味で昔書いた曲はまた少し違った感じなのでバリエーションが増えてアルバム的に面白いかなとか、自分たちのバンドがこういうものだということを理解してくれるかな。単なるヘヴィロック・バンドとか、ヘヴィメタル・バンドだとかラウド・バンドというように見られたいとは思っていないので、もうちょっと幅が広い感じにしたかったというのもありますね。
J:今まで一番曲数が多いので、fadeのレンジの広さを表現できたんじゃないかなと思っています。
-以前に書いた曲というのはアレンジを変えたり歌詞を変えたりはしていますか?
r:アレンジは変えたりしていますが、基本的な部分は変えていないので、なにかガラッと変えたりしているということはないですね。
-当時制作した素材をそのまま生かして?
r:少し変えようかなとは思ったのですけど、いじってしまうと凄く不自然な感じがして曲が伝わりにくくなるかなと思って。やっぱりその時に出来たものっていうのは変えられないと思うのでそれを如何に生かしていくかということは凄く大事にして昔の曲をアレンジしましたね。
-2001年にJon(Vo)が加入しましたね?それ以前の曲もあるということでしょうか?
r:そうですね。前の曲もいくつか入っていますね。
-比較対象としてHOOBASTANK、LOSTPROPHETS辺りがよく上がってきそうですが、彼らと比較されることはいかがですか?
r:fadeってヴォーカルがアメリカ人じゃないですか。だからかよく狙ってやってるの?とか卑怯だとか言われたことがあるんですよね。僕からするとそういう考えは全然なくて、たまたま歌が歌えたのが彼であったわけで、どこの国の奴でも誰でも良かったんですよ。作っている曲に関しても、洋楽を作ろうとか意識したことがなくて、ただ育ってきた環境の中で聴いてきた曲が自然にインプットされていてそれが形となっているだけですね。曲提供の仕事もしているのですが、J-POPと言われるものを僕は書けないんですよ。J-POPって僕にとって凄く分からない世界で難しい。でも日本で売れる洋楽みたいなものを作ってくれといわれればそれは分かるから作れるんですよね。最終的に目指したいところはfadeと言われるオリジナリティという点を今後のアルバムではさらに追求していくとは思いますね。
-あなたがたはどのようなバックグラウンドを持っているのでしょうか?
r:僕はニューヨークで生まれて、生まれて三ヶ月のときに日本に戻ってきたんですね。それで東京には9歳の時までいてそこからまたニューヨークに行ったんですけど、ちょうど音楽に興味を持ち始めたのがちょうど9歳の頃だったのでちょうどその頃、シーンはまさに80年代ロックが凄く流行ってて、小学校の六年生くらいの時にMOTLEY CRUEとかPOISONが出てきていて、DEF LEPPARDやMETALLICAとかもいましたし、そういう音楽を聴いて育ってきたのと同時に僕が住んでいたイースト・コーストではヒップホップも凄く人気があってRUN DMCとかBEASTIE BOYSだったりとかLL COOL Jとかも聴いていましたね。それから90年代に入ってシアトル的なALICE IN CHAINSとかも聴いていたんですけど、なんか暗くて嫌いな部分もあったんですよ。80年代のものってメロディアスだったじゃないですか。それから Kurt Cobainが出てきて汚いメロディで汚い格好で汚いギター・サウンドでっていうのが主流になってきて、それはそれで良かったんですけど、なんか僕は物足りないなって感じてましたね。80年代はGENESISだとかPhil CollinsだとかポップなCyndi Lauperとかも流行ってた時代だったんですが、90年代になってそういったものがみんな消えていってしまって・・・
J:オルタナが流行ってね。
r:そうそうオルタナが流行ってそういう時代が馬鹿にされるようになってきたじゃないですか。その時に僕はアメリカの音楽が良く分からなくて、THE SMASHING PUMPKINS(以下スマパン)とかは好きで聴いてたりしていましたけど・・・。その頃に自分の日本人としてのアイデンティティが出てきて日本の音楽に凄く興味を持ち始めたんですね。それで、初めて聴いたのが工藤静香だったんで、何だこの国はと思って(笑)。チェッカーズとか安全地帯とかビジュアル系のXとかLUNA SEAとかも全部聴いて。でも何故かよく分からなくて・・一般的には支持されているんだけど僕からすると"?"みたいな。でも安全地帯はなぜか好きだったんですよね。暗い感じで日本人にしか作れないメロディで、坂本龍一とかもそうなんですけど凄く日本の文化が出ていますよね。今のJ-POPとされるものより僕は80年代のものの方が感じるものがありますね。それからまた大学に行ったときに日本の音楽に飽きてきてたまたまもう一度スマパンを聴いたんですね。そうしたらやっぱりこれだと感じてそこからギターを始めたんですね。だから初めて書いた曲はスマパンに凄く影響された曲でそれが自分の中では凄く納得がいったんですよ。実はJ-POPを書こうとしていた時期があったんですが、でも書けないんですね。なんでなんだろうと自分でも分からなくて、でもスマパンをもう一度聴いてみてそれからギターを弾いてみたときに、自分の中でメイクセンスしたというか、これだなというのがあったんですね。そこからOASISとかも流行っていた時代だったんでまた洋楽に戻っていったという感じですね。そんな感じで日本の音楽も含めいろんな音楽を聴いてきましたけど、やはりアメリカの音楽の影響が一番大きいんじゃないかな。