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激ロック | ラウドロック ポータルサイト

INTERVIEW

fade

2009.10.06UPDATE

2009年10月号掲載

fade

Member:rui(Dr) Jon(Vo)

Interviewer:ムラオカ

-スマパンもグランジに括られる事もありますけど、凄くメロディが大事にされているバンドですよね?

r:いやぁホントそうで、しかもKurt Cobainとかそこら辺はコード勝負じゃないですか、Billy Corganってギターが半端なく上手いじゃないですか、Jimmy Chamberlinもジャズあがりのドラマーだし、ものすごく上手くできているアンサンブルで歌詞も凄くアート性があって綺麗な感じで、Billy Corganって言うのは凄く静かなアコギだけの曲もやるし、凄くハードな曲もあってバリエーションがあって凄いなと。そういうものを僕らバンドでやりたくて雑誌のローリング・ストーンを昔読んだときにBilly Corganが静かな曲もやりたいしハードな曲もやりたいっていうことを言っていたんですね。いろいろなバリエーションに富んだバンドっていうのはリスナーも飽きないしこういうバンドっていうのは一生残れるバンドなんだなと思いましたね。 

-「Today」は凄い名曲ですよね?

r:いやぁ!「Today」はもう最高ですよ!!もうあれが出てきたときにこのバンド何なんだろう!?しかもアジア人のギターがいるし。でも最初の頃はJames Ihaが中国人なのか日本人なのか全然分からなくてIhaって名前だから中国人なんじゃないかなって思ったんですけど、その後に日本人だってことが判明、そのことが僕にとっては勇気を与えてくれたことでしたね。今は大分緩みましたけど僕が高校時代の頃は日本人に対して偏見の目が凄くありましたし、人種差別的なことを言われたこともありましたし、そんな中でアジア人のギタリストがモンスター・バンドにいるっていうのは凄く勇気をくれましたね。それも僕がスマパンを好きな理由の一つかもしれませんね。Ihaがその後に在籍したA PERFECT CIRCLEも好きだったし、日本に行ってCHARAをプロデュースしたりとかも面白いなと思いましたね。

-TINTED WINDOWSとして最近アルバムをリリースしましたが聴きましたか?

r:聴きました。

-いかがでしたか?

r:好きです、好きです!

r:でもIhaはBilly Corganほどの才能はないですよ。僕はそう感じてて、やっぱりあのバンドはBilly Corganですよ。ZWANやってもなにやってもあの音じゃないですか、で、Jimmy Chamberlinがドラムを叩けばスマパンになるわけで、でもその中でIhaがそれなりのものを作り出しているし、多分栄光を浴びる人ではないとは思うのですけど、だからこそあの人は尊敬できるんですよね。

J:僕はシアトルの生まれと育ちで元々音楽に入るきっかけはR&Bとかソウル系だったんですけど、ロックに目覚めたのはお姉さんがGUNS N'ROSESとかWHITE SNAKEとかVAN HALENとか聴いていてそこから入ったんですけど、それからグランジが流行ってきたんですよね。当時はNIRVANAよりPEARL JAMが一番好きでしたね。PEARL JAMの『Ten』にはすごい圧倒されて今聴いても最強に良いなと思うんですけど。ruiと同じようにグランジやオルタナにはだんだん飽きてきて、そこからレゲエとかスカとかスウィングという20年代、30年代のビッグバンド・サウンドに凄く興味を持っていったんですよね。僕が一番最初に組んだバンドは2トーン・スカ・バンドだったんですよね。そこからジャム・バンド系に興味を持って、あとはヒップホップとか、エレクトロニック系も聴いていましたね。多分高校一年くらいからこのバンドの入るまで全然ロックに興味を持っていなかったんですけど、日本に来てからもハウスとかテクノとかのクラブ・シーンに関わる音楽をずっと聴いていて、ソウル系とかR&B系のプロジェクトをずっとやっていたんですよ。その頃ちょうどruiがヴォーカルを探していて、デモCDを持ってきて"ヴォーカルを探しているんだけどやってみないか"という話をしてくれてて、ちょうどオレもバンドを探している時期だったんで、"どういうものをやっているの?"って聴いたら"ロックをやっているよ"って言われて、とりあえず聴いてみて連絡してくれと言われたんですね。それでfadeを聴いたんですけど、そのおかげでまたロックに目覚めたんですね。
fadeは僕の加入当時は当時はどっちかというとUK ROCKっぽいサウンドを出していたんですね。RADIOHEADの一枚目のサウンドに近いというか。そこからこれって自分たちのサウンドじゃないよなって徐々に方向性を変えていって、自分たちの共通のルーツはなんだろうって考えたときに80年代のロックだったり90年代の初めの頃のグランジだったんだよね。そこからアメリカン・ロックというかルーツを通したサウンドに近いものを目指して2枚目、3枚目とリリースしてきました。

-ヴォーカルのJonは英語も日本語もできますが、母国語の英語で歌うことで感情移入はしやすいでしょうが、英語ではダイレクトに日本人に伝わらないのでは?というようなジレンマはありませんか?

J:一枚目の作品ではもっと日本人に分かりやすい歌詞を書いてっていうように言われたんで、日本語を入れようと思って歌詞を変えてみたんですね。自分たちでもアメリカと日本の文化が混ざった感じの歌詞を書こうと思ったのですが、上手いこと表現が出来なかったりしてそこから英語オンリーの歌詞にしてからは、英語にコンプレックスを抱いている人でも一回聴いたら覚えられるような分かりやすい英語を使うようにしていたり、なんとなくで良いから曲のイメージが浮かんでくるような英語を意識して使っています。
自分の回りにほとんど英語が分からない日本人がいるから、たたき台を聴いてもらって、歌詞が聴きとれるかとか、なんとなくイメージが沸くかとか質問すると、いろいろとフィードバックしてくれて、そこからさらに微調整していく感じですね。
fadeはライヴ・バンドだと思っているから、最初から最後まで一緒に歌ってくれる、一緒にロックしてくれるのが理想なんだよね。それができるように意識して書いています。

-来ているみんなにライヴで大合唱してもらうのが究極の目標ですか?

J:究極の目標とまではいかないですが、一つの大きな目標ですね。 ruiが歌詞を書いた「Beautiful」って曲があるんですけど、この曲を聴いたことのない初めての日本人でもライヴで観客に歌わせようとすると付いて来てくれるんですよね。ライヴが終わった後にあの曲最高だったよなって凄く喜んでくれるのはもちろん曲がいいって言うのもあるとは思うのですが、一度聴いただけで覚えることが出来る歌詞が共感を得ているんじゃないかと思いますね。

-どの曲もシングルカットできそうなクオリティが素晴らしいですね?
アルバム単位で楽しめるものって最近減ってきていると思うのですが、アルバム通して楽しめるものをということを大きく意識したのではないでしょうか?

r:多少意識はしましたね。今の時代の音楽の売れ方っていうのは一曲単位で売れていくじゃないですか?僕たちが子供のころとか80年代とかはアルバムを通して聴いていたし、そのアルバムを聴くことの価値というものがあったと思うのですが、今は良い意味でも悪い意味でもデジタル配信というものが始まって、リスナーがもっと細かく自分たちが好きだというものを選べるという意味では凄く良いと思うのですが、逆にストーリーを伝えられなくなってしまったと思うんですね。僕もリスナーとして一曲単位で買ってしまうこともあるのですが、その後アルバムの方にも行って、聴いて、アルバムを買ってということをするんですけど、多分今の子たちってそういうことはしないと思うんですね。だからこそ全部聴いてもらって一曲一曲が良いとか悪いとかではなくてトータルで聴いたときになにかを感じてもらえれば良いなと思っています。だからこそ凄く静かな曲があったりとか激しい曲があったりとかバリエーションを増やしたのはありますね。そういう意味では凄く意識はしましたね。だからこそ僕たちがこの曲を入れたい、だからスタッフこれを売ってね、ではなくスタッフの意見を聞いて、どういう曲が好き、これを入れた方が良い?どう思う?と意見を取り入れましたね。僕たち5人のものだけではなく、作品って作ってからリスナーに返して上げるものじゃないですか。だからスタッフというのは第三者でありリスナーであると思うのでそういう人たちの意見も取り入れていますね。だから今回あえて10曲という長いアルバムにしようということになったんですね。