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INTERVIEW

INME

2009.09.11UPDATE

2009年09月号掲載

INME

Member:Dave McPherson (Vo&Gt)

-まさしく、あなた方がまだ10代の早熟な印象だったデビュー・アルバムの頃からずっとファンだった人たちにすれば、今回のアルバムは感慨深い思いで聴けるのではないかという気がしてなりませんね。

僕たちもそんな風に感じているんだ。デビューの頃は確かに若すぎたし、キュートなルックスだった(笑)、ティーンエイジャーならではの怒りみたいなものを持っていたしね。でも今はもっと考えを持った若者バンドみたいになれているんじゃないかな。5枚目のアルバムではそういった面がもっと前に出ると思うよ。

-まだ20代なんですもんね。ベンも含めてまだ20代ですよね?

Benは赤ちゃんだよ(笑)22歳だからね。1番若いけど1番成熟しているよ。僕は26歳でSimonが確か25歳、Gregが8月に25歳になるね。

-先ほど、デビューの頃は10代ならではの怒りが込められていたとおっしゃっていました。そして前作ではラブソングなども入っていましたけど、では、今作の歌詞で最もメインとなっている感情といったら何でしょう?

さっきも言った通り今回はダークなアルバムにしたかったんだ。自分が経験したダークでビターな感情を放つためのものにね。今作に取り掛かる前はかなりアルコールの力に頼っていたことがあって、あまり健全な状態ではなかったんだ。でもそんな状況から脱出したいって思いがあって作ったのが今作。そういった感情を詰め込んだからこそダークなアルバムになってはいるけど、そこだけにとどまらずに希望も詰めた。もう一度自分を作り直すっていう思いも込めたよ。

-つまり、今作を作り上げたということがそういった状況から脱出するためのリハビリテーションになったのでしょうか?

その通り。実はソロ・アルバムも作っているんだけど、そちらもセラピーみたいになっていて、歌詞もとても正直に書いたんだ。そんな正直な思いをステージでみんなに聞かせるのはどうなんだろうって思ったけど、でも、音楽が無ければ自分はここに存在していないし、いいかなって。

-そういえば、MySpaceでソロEP曲についてセルフライナーノーツをアップなさっていましたけど、せっかくなので、アルバム本編12曲についてそれぞれコメントしていただけますか?

「You Wont Hear From Me Again」は、僕を落胆させた人がいて……その中の1人が元ガールフレンド。彼女はとても若かったが故に僕を傷つけたんじゃないかなって思うけど、まぁ険悪な関係になったんだ。そんな彼女を含め、これまで僕をガッカリさせたような人たちのことを書いた。人生ってそういう人たちのことを忘れて前に進まなきゃならないって思ったんだ。だからそういった人たちへの恨みを書いた曲ではないんだよ。

「Belief Revival」は、タイトル通り自分の信念をもう一度思い出そうって内容。アップビードな曲を書きたいと思って作った曲なんだ。さっきも話したけどアルコールに溺れて怠惰になって仕事もしなかったり、あまりいい生活を送っていなかったんだ。だから音楽でもう一度自分を立て直すために、自分の作れるもっとも強力なアルバムを作ろうと思ったんだ。その思いを込めたのがこの曲。

「Nova Armada」は、「Belief Revival」とテーマが似ていて、僕は以前毎日のようにマリファナを吸っていてパラノイド状態……自分が何者か、他人が何者かも分からなくなっていたんだ。だんだん自分でも怖くなったから、そういった面を捨て去ること、そういった自分にサヨナラを告げることについて書いた。タバコとかも吸っていたし、まるで自己破壊しているようだったな。でも周りの人はそんな僕のことを愛してくれていたんだよね。曲としては、スペイシーでサイケデリックなフィーリングがあるけれども、同時にそれとは反対の要素も取り入れた。

4曲目「All Terrain Vehicle」は、去年ドイツにいた時にアコースティック・ギターで書た曲。当時僕は落ち込んで自分のことを責めていたんだ。でも、このままじゃいけない、バンドとしてこのままじゃ全然成功を掴めないと思った。それで「Never Gonna Make It」ってフレーズが出てくるんだけど、バンドに限らず英国社会でも、今は世界中に憎しみみたいなものが蔓延しているだろ?そういったことも含めて書いたフレーズなんだ。でもタイトルのこの乗り物(=全地形対応車)ってどんなところでも地上をサヴァイヴして行くだろ?そんな風にどこにいても、どんな状況でも大丈夫、乗り越えていけるさ、という願いを込めてこのタイトルにしたんだ。たとえ自分たちがこれで成功しなかったとしてもこれが自分たちのやりたいことであり、僕たちなんだって証明した曲でもある。それから、音楽業界で上辺だけの会話をするようなビジネスライクの人たちや業界そのものも含めた。そういったことが僕たちのクリエイティヴィティの妨げになっているんだ。この曲は叙情詩のようでありながら同時にコマーシャルなサウンドも入っているけど、決してチープにはならずに、バンドの誠実さを表現した曲になっていると思う。

「Captain Killjoy」の詞はダークな自分がいるから近寄らないでってことを歌っている。サビでは僕らを落胆させた人たち・・・キャプテン・キルジョイって呼んでいるんだけどさ。まぁ人間だから間違いを起こすこともあるよね。曲全体では、“世の中どうにでもなっちまえ”的な態度やダークなユーモアがつまった感じになっているんだ。

「The Art Of Moderation」は、アルコールやドラッグにのめり込むような人たちのことを歌っている。溺れるがゆえに愛すべき人のことすら忘れてしまうような人もたくさんいるよね?そういった人たちを自分に重ねて歌った。元々「Men Who Couldn’t Stay At Home」ってタイトルだったんだ。家に居られない人、つまり、パブに通ってはむやみに人を傷つけるようになってしまっている人のことを指している。英国ではそういった人が多いんだ。アルコールを楽しむのはいいことだけど、そんな風にして自分を殺すくらいまで飲むなよって戒めているんだ。実は僕の両親もアルコールの問題を抱えていたことがあったし、自分も経験して、毎日本当に酷いルックスをしていたんだ。今年になってやっと自分らしさを取り戻せたんだけど。

「Single Of The Week」は元々ジョークから始まったキャッチーな曲。恐らく今までで1番多くの人から<キャッチーな曲>って言われてる。こんな曲を出したらメディアに殺されるんじゃないかって・・・正直言って今でも怖くはあるんだけど、MySpaceでこの曲以外の新曲を聴いてくれているハードコアな僕らのファンは、新作自体がダークな内容だから大丈夫って言ってくれているから安心だけど。新しいファンを取り込むためにこの曲をシングルに選んだ。ロックやブルースがルーツのBenの友人も<この曲が1番キャッチーだね>って言ってくれている。ツアーで演奏してもオーディエンスのノリがいい曲だよ。