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INTERVIEW

INME

2009.09.11UPDATE

2009年09月号掲載

INME

Member:Dave McPherson (Vo&Gt)

-Benの加入によってINMEが活性化されたと感じていらっしゃるんですね。

その通り。彼は、慎重で聡明で賢いんだ。数学の学位を取得した位だし、それに、パイロットの資格も持っている。ギターに関しても僕が知らないことを教えてくれるし、彼の目を通して、彼の登場によって新たな経験が出来ているんだ。僕とサイモンはずっと一緒にバンドをやっているがゆえに自分たちが抱えている問題が分からなくなっているけど、彼の目を通して気づけたこともある。ショーケースは全公演ソールドアウトで、彼にしてみても、最初のツアーがソールドアウトだなんて想像もつかない経験をしたと思う。彼はとてもおとなしい人だけど、ベンの加入によってバンドはとても活性化されたね。

-では、Benから言われてハッとしたINMEの印象……長所や短所などありましたか?

そうだね。Benは躊躇せずにいろんな意見を言ってくれるんだ。でも、興奮せずいつもクールにね。僕はバンドってユニオンだと考えているから、たとえ僕がメイン・ソングライターだからと言っても独裁者のようにはならずに、どのメンバーも言いたいことを言えるようにしたいんだ。なかにはドラマーはなかなか意見を言えない、なんてバンドもいるけれども、僕らのバンドではSimonだって言いたいことを言うんだ。バンドの中に問題があると音楽の中に影響が出たりするけれど、僕らの中にはそういったことは今まったくない。Joeがいた頃はコミュニケーションの問題が少しだけあったのは確かだ……Joeの悪口は言いたくないけど、それは事実だよ。でも今回はすでに5枚目のアルバムも作り始めているし、僕が新しい曲を披露するとみんながその曲に対していろんな意見を言うし、それを基に作り直したりしているんだ。

-もう5枚目を作り始めているんですか?4作目の日本リリースは9月を予定しているのですが、ひょっとしてその頃には5枚目が出来上がっていたりして?

いやそんなことはないよ。2年はかかると思うから。

-あなた方の場合、たとえば2年から3年の制作期間で同じ曲を何度も精錬していくんですか、それとも新しい曲をアップデートして行きながら厳選していくのでしょうか?

まずはギターで作ったリフをガレージバンドに取り込んで、そこに様々な楽器をコンパイルしながら構成を考えて行くんだ。ドラムは生音ではなく、Simonのドラム・スタイルに合ったドラム・パターンをプログラミングして、その時点でメンバーに聴かせる。で、メンバーから改善点をアドバイスされたり“ありえねー”やら“サイテー”とか散々言われたりするんだけど(笑)それを参考に作り直して、そこへGregがベースラインを加え、その後何度も聴き直しながらメロディを入れて、またそれを聴きながら考えて、曲に合った歌詞を書いていくんだ。だから1曲を作るのにとても時間がかかるんだよね。

-たとえば、今作に関して、完成に至るまでにどのくらいのモチーフが存在したのか、あるいはどのくらいの曲を作ったのか具体的な数字を教えていただけますか?

結果的に30曲書いたよ。Bサイドやボーナス・トラック用に必要だったからね。『Daydream Anonymous』を完成させた後、もっとヘヴィになりたかった。よりテクニカルでありながらクレイジーなリフが踊り、女の子について以外の歌詞も書きたいなってね。複雑でプログレッシヴではあるけれども、コーラスも、パワフルなリード・ヴォーカルもあるようなアルバムを作りたいと思ったんだ。ただのメタルバンドにはなりたくなかったし。それにダークにもなりたかったんだ。

-なるほど。そうして出来上がったアルバムを聴いての感想ですが、曲の配置にもこだわりを感じました。「Nova Armada」までの頭3曲でINMEが持つパワーが一気に放出され、ピアノやストリングスを用いた4曲目の「All Terrain Vehicle」でスローダウンすることで曲そのものにフォーカスを絞り、そこからアグレッシヴではあるけれど引き続きストリングスを導入した5曲目の「Captain Killjoy」があり、6曲目「The Art Of Moderation」から9曲目「Happy To Disappoint You」では前作から継続したエレクトロ・パートが展開され、10曲目の「I Will Honour You」が登場するのですが、この曲が本当に素晴らしくて……本作中でもっとも美しく、もっとも悲哀を表現した曲だと思うのですが、この曲を経て本編ラストの11曲目「A Mouthful Of Loose Teeth」と12曲目「Master Storm」で再びINMEのテクニカルな側面がフィーチャーされるという、とても流れがきれいで、そのパートごとに今INMEがとてもいい状態を知ることができるなぁと思ったのが率直な感想です。

ありがとう。そんな風に言ってくれて本当に最高だよ。大げさな言い方かもしれないけど、曲の流れに関しては死にそうになる位考えたんだ。僕はエレクトロもメタルもプログレッシヴもフォークもフィーメール・シンガーだって好きなんだ。だからこのバンドには限界が無いし設けてもいない。バンドによっては“これをやったらクールだよね”とか、逆に“クールじゃないよね”なんてボーダーが出てくるものだけど、僕たちは結局ミュージシャンなんだからそういった限界を設けないんだ。でも今回のアルバムを作った当初はさすがにちょっとバンドとしてどうかなという思いはあったけれど、毎日、何度聞いても満足しているんだ。ミュージシャンとして成長できたし、カッティング・エッジなバンドだってことを証明できるアルバムになったかなと思っているよ。米国音楽のコマーシャルな要素が入っているようなアルバムではないし。作るのにとてもとても苦労したんだけど、時にはそれ位自分たちをプッシュしていかなければ成長はないし、そうまでしてやる価値があることだと思っているよ。