INTERVIEW
SIMPLE PLAN
2008.01.12UPDATE
Member:Jeff Stinco(Gt.) / Chuck Comeau(Dr.)
Interviewer:MAY-E
-なるほど。制作にはどのくらいの期間を要したんでしょう?
J:1年半か、2年くらいかな。前作のツアーが終わって、その後3週間のオフをもらって、それからすぐにこのアルバムの制作に取り掛かってはいたんだ。だけど実際にスタジオで撮るまでにはそれから1年くらいかかったかな。スタジオに入ってからも僕らはなかなか満足しきれなかった。「もっともっといいものができるはずだ!」って。出来ている曲は沢山あったんだ。だけど、僕らにとってはそれが満足のいくものじゃなかった。ただ普通の作品を出すのでは意味が無いと思ったし、数え切れないくらいのバンドがいる中で、しっかりと自分達らしさを出すことに拘りたかったんだ。だから、これだけ時間がかかってしまったのは仕方がないね。新しいサウンドを取り入れた事もそうだけど、曲の細部にまでとにかく気を使ったし、メロディも更に磨きをかけるようにした。とにかく、新鮮な作品にしたかったんだよ。そうやっていくうちに2ヶ月、3ヶ月とさらに時間が過ぎていったわけなんだけど、やっぱり良い作品を作るにはこれだけ時間がかかってしまうんだよね。だけど、これだけ時間がかかったのは何か葛藤があったからとかではないんだ。僕らには、目指すものがあったから。そして、期待して待っててくれているファンを裏切る作品には絶対したくなかったからだよ。
-そうですね。確かに私も「3年間待った甲斐のある、本当に素晴らしい作品だ」と感じました。メロディーが素晴らしいのはもちろんですが、サンプリングを取り入れたり、ビートを意識した曲もあったりとアレンジも多彩ですね。何より今までの「パンクキッズ」というシンプルプランのイメージから、大人へと成長していくような段階を踏んでいるような、そういう大人びた新しいシンプルプランの表情も伺える作品だと思いました。
J:ありがとう。君は良い耳を持っているね。
C:そうだね。僕らが目指していたものは君が今、言ってくれた通りのことで、古いシンプルプランから新しいシンプルプランになったんだってことを見せていきたかったんだ。それは音楽的にも歌詞にもいえることなんだけど、より大人になって、もっと大胆にセクシーにね。あえてルールを作らず、何でもアリな中で曲を作るようにしたんだよ。ビートをループでどんどん使うようにもしたし、ピアノが必要だと思ったらピアノを使ったり、サンプリングやR&Bのテイストなんかもどんどん取り入れるようにした。今までだったら「ちょっとやめておこうよ」って言っていたようなことでも、斬新なアイデアほど逆に取り入れるようにしたんだ。これからも毎回繰り返し同じようなことをやっていくのか、それとも毎回違うものを見せる事の出来る生まれ変わっていくアーティストになるのか、3枚目のアルバムにもなるとそういう分岐点でもあると思うんだよね。だから、曲によって違う表情になるように、あえて今までにない成熟したアプローチ方法を幅広く取るようにしてみたんだ。他にも「いい曲だね」って言われるような曲は沢山あったんだけど、今までと同じようなものならどんどん切り捨てるようにした。今の自分達の最大限を見せて、前進していかないとダメだって思ったから。そういう部分をこのアルバムの中でちゃんと聴きとってくれていて、とても嬉しいよ。
-ありがとうございます。仰る通り、アルバムの中でも特にリズムを意識した曲である「When I'm Gone」「The End」「Generation」の3曲はインパクト大な仕上がりですね。その中でもスローなビートが印象的な「When I'm Gone」はすでにマイスペースなどでも公開されていますが、この曲をシングルに選んだ理由は?例えば「Take My Hand」の方が疾走感があって、よりシングル向きな曲だとも思ったのですが。
J:そうだね。「When I'm Gone」はスローではあるけど、今回の新しいサウンドを象徴しつつ、これまでのシンプルプランの持ち味も兼ね備えている曲なんだよ。R&Bっぽさがありつつも、しっかりロックだし。何より、アンセム調で良い曲だってことにつきるね。実はどの曲をシングルにするかで、バンドの中で議論したんだ。だけどそれは良い事であって、つまりそれだけシングルになりそうな強力な曲と、より沢山の人にうったえることが出来る曲がそれだけ沢山出来たってことだから。他の曲がシングルになった可能性も十分あったんだけど、実際に「When I'm Gone」がラジオから流れてきてもちゃんと耳に残るし、この曲をシングルにしてみて良かったと思うよ。この曲を聴いて、みんなが「アルバム全曲を聴いてみたい」って思ってくれたら嬉しいね。
-その「When I'm Gone」へのファンの反応はいかかですか?
C:すごくいいよ!以前はファンがどう思っているかなんて知る由もなかったけど、今はインターネットのおかげでファンの声がすぐ聞けるようになったからね。「When I'm Gone」を世界初配信したのは僕らのオフィシャルサイト内でなんだけど、新曲を公開して数時間後には何千というコメントが入ってきたんだ。その99.9%がポジティヴなものだったよ。実は「なんだ、変わっちゃったのかよ。前と同じ路線でいてくれよ」っていう意見もけっこうあるんじゃないかなって心配でもあったんだけど、「今までと違うけど、大好き!」っていう声がほとんどだったんだ。それだけ僕らのファンは、僕らの音楽をオープンな心で聴いてくれている事がすごく嬉しかった。これは僕らが何をやりたいのかを理解して、応援してくれている証拠だとも思うしね。シングルに対してこれだけの良い反応があると、アルバムもきっと気に入ってくれるんじゃないかなって、今からワクワクしてるよ。
-そうですね。「When I'm Gone」もそうですが、作品を通して今までにないグルーヴが感じられるのですが、このあたりはプロデューサーであるDanjahands(ジャスティン・ティンバーレイク等)やMax Martin(ジェームス・ブラント等)といった方々が関係しているのでしょうか?
J:うん、当然プロデューサーの影響ってのも少なからずあるけど、それよりも自分達が「違うことをしたい」っていう強い意志が表れているんだと思うよ。Danjahandsは沢山ループを作ってくれて、曲作りにおいて手助けはしてくれたけど、彼が参加する前からリズムのある曲は書いていたしね。セカンドアルバムがストレートなロックだったのに対して今作は、よりグルーヴ感が似合う作品になったと思うよ。
-なるほど。このようにビートとグルーヴ感の似合う作品になると、FALL OUT BOYと比較されることも多くなると思うのですが、FALL OUT BOYと比較されることに抵抗はありますか?
C:比較されることに抵抗はないよ。彼らの作品に対して僕らも敬意を持っているし、彼らは独自のサウンドを持っていると思うし。目指すものは似ていたかもしれないけど、僕達は僕達らしい独自のアプローチをとっていると思うし、僕らなりのサウンドを見つけられたと思うし。確かに、彼らの作品はここ数年で特に注目を浴びて、評価されてはいるよね。僕らもアーバンな音やビートを取り入れてはいるけど、そこをさらに押し進めてる点でも、僕らのアルバムは彼らとは違うと思っているよ。