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FEATURE

BLINK-182

2019.09.25UPDATE

2019年10月号掲載

クロスオーバーなサウンドを生み出すメンバーの個性が光る! 西海岸ポップ・パンクを代表するBLINK-182最新作!

ライター:山本 真由

西海岸ポップ・パンク・シーンを代表するバンド BLINK-182が、前作『California』(2016年)以来約3年ぶりとなるニュー・アルバム『Nine』を完成させた。8作目となるスタジオ・フル・アルバムだが、なぜタイトルが"Nine=9"なのかというと、1994年リリースのデモ音源『Buddha』から数えて9作目だからということらしい。

今作は、オリジナル・メンバーだったTom DeLonge(Vo/Gt)が2015年に脱退し、ALKALINE TRIOのMatt Skiba(Vo/Gt)が新メンバーとして加入して、2作目となるアルバムだ。前作は、バンドが前進し新しいフェーズに突入したことを思わせる、ブリンク(BLINK-182)らしさとこれまでにないアプローチが同居する新鮮な作品だったが、今作は、"2003年リリースの5thアルバム『Blink-182』の精神に立ち返る"というのが、コンセプトだと言う。ということで、5thアルバム『Blink-182』がバンドにとってどんな作品だったか、ということも踏まえつつ、まずはBLINK-182のこれまでの歩みを振り返ってみよう。

BLINK-182は1992年、Tom DeLonge(Vo/Gt)、Mark Hoppus(Vo/Ba)、Scott Raynor(Dr)の3人によって、カリフォルニア州サンディエゴ郊外のパウエイにて結成された。1994年には、その後の作品とも繋がるデモ音源『Buddha』をリリース。そして翌年、1stアルバム『Cheshire Cat』をリリースしている(なお、1stアルバムをリリースしたときは、まだバンド名が"BLINK"だったが、同名バンドがいたため、現在の"BLINK-182"となった)。その『Cheshire Cat』で注目を浴びた彼らは、2作目の『Dude Ranch』で早くもメジャー・レーベル"MCA"と契約。「Dammit」や「Josie」が、全米のラジオを中心にヒットした。





そしてバンドは、1996年に初来日を果たし、1998年に"Warped Tour '98"で2度目の来日が実現したが、ツアー後にオリジナル・ドラマーのScottが脱退する。後任には、THE AQUABATSのメンバーだったTravis Barkerが加入した。

そして1999年、大ヒットとなった『Enema Of The State』をリリースする。GREEN DAYのモンスター・アルバム『Dookie』のミックスも手掛けた、Jerry Finnをプロデューサーに迎えて制作された同作は、全米で500万枚を売り上げ、ビルボード9位を記録している。2001年には、再びJerry Finnをプロデューサーに迎えた4thアルバム『Take Off Your Pants And Jacket』をリリース。ビルボード初登場1位を記録し、「First Date」、「The Rock Show」などのシングル・ヒットを生んだ。





そして2003年、セルフ・タイトル作『Blink-182』(Mark Hoppusは"untitled"と呼んでいるが)をリリースし、こちらもビルボード3位、全世界で600万枚の大ヒット・アルバムとなる。同作は、シリアスなミドル・テンポの楽曲やロック・テイストの楽曲を増やすなど、音楽性に変化もあり、"大人になったブリンク"という印象を与える作品だった。

そうした音楽的成長とともに、パンク・シーンのみならず、ポップ・ミュージック・シーンをも席巻した彼らだったが、2005年、無期限の活動休止に入ってしまう。

活動休止発表後も、メンバーはそれぞれに音楽活動を続け、MarkとTravisはBLINK-182の音楽性とも繋がる+44を結成し、『When Your Heart Stops Beating』をリリース。全米で初登場2位を記録している。Tomはex-THE OFFSPRINGのドラマー、Adam "Atom" Willardらと、SF的な世界観を持ったオルタナティヴ・ロック・バンド、 ANGELS & AIRWAVESを結成。これまでに5枚のアルバムをリリースしている。

そして、2005年の活動休止から4年経った2009年のグラミー賞授賞式。Travisの飛行機事故を乗り越え、再び強固な絆を取り戻した彼らは、久々にメンバー3人が揃って、COLDPLAYに"最優秀ロック・アルバム賞"を進呈するプレゼンターとして登場した際に、BLINK-182の復活を宣言する。そして同年夏から秋にかけて、WEEZERとFALL OUT BOYという豪華なラインナップで全米ツアーを開催した。その後、2011年にファン待望の復活作『Neighborhoods』をリリース。ブリンク節の甘酸っぱいメロディはそのままに、シンセ・サウンドなども取り入れたセルフ・タイトル以降の自由な音楽スタイルで、完全復活をアピールした。

ところが、そんな復活劇でファンを歓喜させたのもつかの間、2015年にTomの脱退が発表されてしまう。Tomがいなくなってしまったことで、多くのファンが再び(というかもう恒久的に)BLINK-182は活動を休止してしまうのではないかと心配しただろう。しかし、早々にALKALINE TRIOのMatt Skibaがツアー・メンバーとして発表され、後に正式メンバーとしてTomの穴を埋めることになった。そんななかでリリースされた前作『California』。バンドの故郷を冠したこのアルバムは、新メンバーのMattの影響もあってか、エモーショナルなサウンドやダイナミックなロックなど新たな表現も取り入れ、前に進むバンドの姿勢を表すような作品となった。


BLINK-182は、原点(初期音源『Buddha』)と、挑戦の心(分岐点の意欲作『Blink-182』)を忘れない


そして、最新作『Nine』。先述のセルフ・タイトル作の姿勢に立ち返るというコンセプトで作られた今作は、彼らの土台となるカリフォルニアらしいカラッとした明るさと、チャーミングなポップ・パンクの精神は変わらず、さらに自由なサウンドに冒険することも忘れない、前向きなアルバムとなっている。

セルフ・タイトル収録の「I Miss You」を思わせるようなグルーヴ感とエモメロに、スケールアップしたサウンドの厚みも加わった「Happy Days」や、ダンサブルなビートの「Darkside」、シンセ使いも心地よい伸び伸びした新感覚ナンバー「Blame It On My Youth」、ラップが新鮮な「Run Away」など、メンバーの経験値の高さが滲み出る多彩な表現で、聴く者を魅了する。かと思えば、「Generational Divide」のようなシンプルで爽快なパンク・ナンバーもちゃんとある。個人的には、Mattのヴォーカルの激しさとエモさが生きた、「No Heart To Speak Of」「Hungover You」もおすすめ。









Mattの持つメランコリックでエモい属性と、ヒップホップにも精通するTravis Barkerのグルーヴ感、そしてブリンクの守護神たるMark Hoppusのメロディ。ドラマチックでクロスオーバーな音作りは今っぽいが、シンプルなパンク・ソングもある。チャレンジングだが、ファンにとっては安心して受け入れられる作品だ。そして、バンドの成熟と挑戦が1枚に集約され、いろいろなテイストの楽曲が詰まった今作はもちろん、これからBLINK-182の音楽に触れる入門編としても充分に魅力的である。

パンク・シーンだけでなく、ロック全体が下火となっている昨今、20年以上一線で活躍する彼らのようなバンドの存在は貴重だ。BLINK-182がイケてる音楽を提供し続けてくれる限り、彼らの音楽に憧れ楽器を握るキッズが生まれることは、変わらないだろう。



▼リリース情報
BLINK-182
ニュー・アルバム
『Nine』
blink182_nine.jpg
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※輸入盤発売中
SICP-6198/¥2,400(税別)
※歌詞対訳、ライナー・ノーツ付属

1. The First Time
2. Happy Days
3. Heaven
4. Darkside
5. Blame It On My Youth
6. Generational Divide
7. Run Away
8. Black Rain
9. I Really Wish I Hated You
10. Pin The Grenade
11. No Heart To Speak Of
12. Ransom
13. On Some Emo Shit
14. Hungover You
15. Remember To Forget Me

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