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FEATURE

BLINK-182

2016.07.01UPDATE

2016年07月号掲載

いつかのカリフォルニア――MarkとTravisが決して手放さなかった情熱の欠片がここにある

Writer 山本 真由

約4年の活動休止期間を経て、Travis Barker(Dr)の飛行機事故を乗り越え、強固な絆を取り戻し、2009年に感動の活動再開。そして2011年には音楽性的にも前に進んだような6枚目のアルバム『Neighborhoods』もリリースしたのに......。昨年、オリジナル・メンバーのTom DeLonge(Vo/Gt)の脱退が発表され、ファンを落胆させたBLINK-182。"またTomの気まぐれでしょ?"とか"Tomいいかげんにしろ"とか、様々な意見が飛び交ったが、あれよあれよという間に、ALKALINE TRIOのMatt Skiba(Vo/Gt)がツアー・メンバーとして発表され、いつの間にかTomのポジションはMattが正式に埋めることになったようだ。

Mark Hoppus(Vo/Ba)が、"まさしく10年前の解散のときと同じことの繰り返しだ"って言っていたらしいけど、前回のときもやっぱりTomのわがままみたいなことが原因だったし、今回もたぶんそんな感じ。以前、Tomの別バンドであるANGELS AND AIRWAVESについてインタビューしたときに感じたことだが、Tomはちょっと変わっているかもしれない。でも実はすごく純粋で、天才的にクリエイティヴな人だ。家族や仲間との関係を大事にしているし、SFなどの趣味やロックについて語る姿勢は少年のようにピュアだ。ANGELS AND AIRWAVESは、音楽的にもそのアウトプットの方法にも実験性があったし、ファッション・ブランドのプロデュースや、テクノロジー企業の企画/開発に携わるなど、常に新しいことへの探求を絶やさない姿勢は、アーティストとして素晴らしい特性だ。ただ、人気バンドのメンバーとしての責任というか、そういうバランス感覚まで求めてはいけなかったのかも。
Tomのいないアルバムなのに、なんでこんなにTomについて語るかというと、私はTHE CLASHの大ファンだけど、Mick Jones(Vo/Gt)が脱退したあとのアルバム『Cut The Crap』は本当にCrap(クソ)だと思ってるから、個人的にはTHE CLASHのアルバムだとは認めていない。つまり、正直いろいろあったブリンクのアルバムなんて、ちょっと聴きたくなかったんだ。

そんなわけで、少し懐疑的な気持ちで聴き始めた『California』という、このアルバム。もちろん、タイトルの"California"はBLINK-182というバンドの故郷であり、ルーツの地だ。新メンバーのMatt Skibaは、BLINK-182と同世代のバンドで活躍してきた仲間のひとりだし、内容的にも、もしかしたら初期のサウンドに回帰するようなものになっているのかもしれないと思った。その期待通り、Track.1の「Cynical」は、パワフルでファスト&ショートなパンク・ナンバー。しかし、続く「Bored To Death」で、このアルバムがそんな単純なものでないことに気づかされる。少し感傷的で優しい部分には、5thアルバム『Blink-182』以降の"大人なブリンク"が、いよいよ成熟してきた感がある。BLINK-182らしい、カラッとしたポップ・パンクの魅力と、Matt Skibaの持ち味を活かしたエモーショナルな表現がマッチしているところなどは、昔からのファンも納得の絶妙なマリアージュと言っていいだろう。Track.4「Los Angeles」などで披露されたダイナミックなロックでも、Track.8「Home Is Such A Lonely Place」といったしっとりしたバラードでも、これまでにない新しいアプローチにMattのヴォーカルが大きく影響しているように感じたし、いかにもブリンクなTrack.9「Kings Of The Weekend」でも、存在感のあるコーラスで、意外にもマッチしている。Markのいつまでたっても少年のような歌声と、Mattのセクシーで情熱的なヴォーカルの対比もいい。そしてもちろん、シンプルな楽曲にも味を持たせる、華やかで歌うようなTravisのドラムも冴えている。ひとつひとつの楽曲に、彼らの今持てるすべてを試しに乗せてみた、というような挑戦と情熱と、それを楽しむ気持ちが伝わってくる。全体的には、今の彼らを包み隠さずすべてを曝け出したかのような、楽曲のアイディア集といった感じだ。シンセを使って楽曲に広がりを持たせたり、横ノリのグルーヴ感を取り入れたりする部分はありつつも、カッコつけすぎない絶妙なバランスも肩肘張らずに聴けていい。何か完成されたものに固執するのではなく、可能性を残しているのもまた、彼ららしいんじゃないか。

これは、なんだか思っていたのと違う......。なんとなく、予想では、MarkとTravisが基本に立ち返ってブリンク節とも言える甘酸っぱいポップ・パンク・サウンドを、"Tom抜きでもできるんだぜ"っていう作業にMattが手を貸すようなイメージだった。でも、MarkとTravisは、バンドを前進させていくことを何よりも優先させたし、Mattもただの埋め合わせではない存在感で、バンドのサウンドを進化させることに貢献していた。
MarkとTravisは、本当にBLINK-182というバンドを愛しているし、大切にしている。そんな彼らが、守ろうとしているものが何なのか、表現していきたいことは何なのか。この作品にはそれが詰まっているように感じた。BLINK-182に青春を捧げた人は複雑な気持ちを抱えているかもしれないが、ただこのアルバムは、ポップ・パンクに胸躍らせたあなたなら純粋に愛せる作品だ。そして、BLINK-182をあまりよく知らないキッズ、これが本気の、大人の遊びというやつだ。

BLINK-182のニュー・アルバム・リリースに寄せて
国内最強ラウドロック・バンドたちからコメントが到着!

メンバーが変わっても大好きなバンドには変わりない!
これからもずっと聴き続けるバンドです!これからの活動が楽しみです!

10-FEET / KOUICHI (Dr/Cho)

マットスキバになって初の新生BLINK-182のアルバム。
トムの声が大好きだった自分としては涙モノだけど何回もアルバムを聴くたびに、高校とか大学の時に熱くなってたBLINK-182の音ががっつり詰まってた。
音に熱がこもっているというか、パワーが凄いあるアルバムだと思った。みなさんラビットホールに、落っこちないように気をつけましょう!!

TOTALFAT / Bunta (Dr/Cho)

一瞬で17歳のあの頃に戻りました。
全曲聴いた瞬間にニヤっとしてしまう。
そして同時に胸を締め付けられるような感覚。
心臓の奥の方がギューっとします。
なんか泣きそうになるし(笑)。
正直トムがいなくなってどうなるかめっちゃ不安でした。
でも今理解しました。もちろんトムの事は好き。
やけどイガリはBLINK-182の事が好きなんやって。
とにかくまたBLINKが聴けて嬉しいんです。
もうイガリが思ってるBLINKには会えないって諦めてたけど、
本当はずっと待ってた。待ってて良かった。
I Love BLINK-182!!

HEY-SMITH / 猪狩 秀平 (Gt/Vo)

俺が初めて聴いて好きになったのはエニマオブザステイトで中学生の時だった。
『あの頃の初めて聴いた時の感覚』をこのアルバム(California)を聴いて思い出した。
最近のブリンク感もあってバランスが取れてるアルバムだと思う。カッコイイ。
メロディもトラヴィスのドラムも全部含めてブリンク節が出てると思う。

04 Limited Sazabys / RYU-TA (Gt/Cho)

今作いいっすね~。何がいいってまず音がいい!"聴いてて疲れないけどアガる音"だと思う。俺はBlinkの好きな要素のひとつにあまり声を張らない低めの声とコーラスワークってのがあるんだけど、メンバー変わってもバッチリ!
サウンド、声、共に質感が硬すぎなくてホント聴きやすい。
曲も一辺倒じゃないから飽きないし、「イントロからシャウトとか自分お腹いっぱいっす(笑)!」って人にはまさにオススメの一枚ですね。

The BONEZ / T$UYO$HI (Ba)

きました!一曲目から2ビート!
アルバムでは「Enema of the State」以来!このタイミングでこれは上がる!これぞブリンク!!

SiM / GODRi (Dr)

▼リリース情報
BLINK-182
ニュー・アルバム
『California』

NOW ON SALE!!
WPCR-17390 ¥1,980(税別)
[WARNER MUSIC JAPAN]
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1. Cynical
2. Bored To Death [MUSIC VIDEO]
3. She's Out Of Her Mind
4. Los Angeles
5. Sober
6. Built This Pool
7. No Future [LYRIC VIDEO]
8. Home Is Such A Lonely Place
9. Kings Of The Weekend
10. Teenage Satellites
11. Left Alone
12. Rabbit Hole [LYRIC VIDEO]
13. San Diego
14. The Only Thing That Matters
15. California
16. Brohemian Rhapsody
17. Hey I'm Sorry (Bonus Track)

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