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FEATURE

TWENTY ONE PILOTS

2018.10.04UPDATE

2018年10月号掲載

新たなロック・シーンのヒーロー、TWENTY ONE PILOTS。その軌跡を振り返りながら、最新アルバム『Trench』の魅力に迫る!

Writer 山口 智男

もはや、ほとんど語られることがないトリオ編成時代を経て、Tyler Joseph(Vo/Pf)とJosh Dun(Dr)という現在のデュオ編成で、2012年にFueled By Ramen(以下:FBR)からデビューしたときは、いわゆるオルタナティヴな存在だった。しかし、そこはロック・シーンのメインストリームで大成功を収めたFALL OUT BOYやPARAMOREを、ローカル・バンドだったころに見いだしたFBRだ。ヒップホップの影響を大胆に取り入れた、風変わりなモダン・ポップ/ロックを演奏するTWENTY ONE PILOTS(以下:TOP)に対するFBRの読みは的中。後述するエネルギッシュなライヴ・パフォーマンスに加え、いわゆるキッズのみならず、大人のリスナーの鑑賞や批評にも耐えうる、作品のクオリティや彼らが訴え掛ける切実なメッセージが歓迎され、TOPは今や現代のロック・シーンを代表する存在として期待を一身に背負っている。

日本では、2012年にジーンズ・セレクト・ショップのライトオンのCMに使われた、「Guns For Hands」で知ったという人がやはり多いんじゃないか。あるいは、バック宙を含め観客の度肝を抜いたアクロバティックなパフォーマンスが、その年のハイライトのひとつと大いに話題になった2015年の"FUJI ROCK FESTIVAL"か。いや、案外、本誌読者の中には、TOPがサポート・アクトを務めた2015年7月のONE OK ROCKのさいたまスーパーアリーナ公演([ONE OK ROCK 2015 "35xxxv" JAPAN TOUR])で、その存在を知ったという人も多いかもしれない。ともあれ、2012年と2015年、そして東京と大阪で単独公演を開催した2016年。TOPは3度の来日を通してもその存在を日本の音楽ファンの間に浸透させていったが、本国であるアメリカではそれを遥かに上回る勢いで大きなものになっていった。

人気を決定づけたのは、2015年5月にリリースした通算4作目のアルバム『Blurryface』。"Blurryface"というキャラクターを通して現代人が抱える様々な不安に言及するというコンセプチュアルな作風を持ったこのアルバムは、全米No.1ヒットを記録。さらには、2017年の第59回グラミー賞で複数部門にノミネートされ、"最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス"を受賞した。グラミーの何がそんなに偉いのかと言われればそれまでだが、"アメリカで最も権威がある"と謳われるグラミーも、彼らに注目せざるをえなかったと言えば、そもそもはオハイオ州コロンバスからスタートしたTOPがどんな飛躍を遂げたのかを、なんとなくでもわかってもらえるだろう。

大きな飛躍をもたらした『Blurryface』から3年5ヶ月ぶりにリリースする最新アルバム『Trench』は、果たしてそんな飛躍の余波なのか、反動なのか。現代人が抱える不安という前作のコンセプトは、架空の都市"Dema"を舞台にした不安に対するレジスタンスに発展。それと同時にヒップホップとエレポップの折衷と言えるサウンドは、より重厚且つディープ、いや、ドープなものに。Track.3「Morph」、Track.4「My Blood」では、これまで同様Tylerがラップしながらも、曲に滲み出るソウル・ミュージックの影響が新たな聴きどころになっているし、Track.10「Cut My Lip」ではレゲエのリズムをR&B調のバラードに溶け込ませながら、TOP流のゴスペルと言えるユニークな楽曲に作り上げている。

軽快なポップ・ソングだった「Guns For Hands」と改めて比べてみれば、TOPが奏でる音楽も飛躍を遂げたことがわかるが、だからこそ唯一収録された普遍的なポップ・ソングのTrack.13「Legend」の威力は絶大。前作の大ヒットを思えばかなり攻めた作品だが、彼らが躊躇することなく、そういうアルバムを作れたのは、ラストを飾る賛美歌風の「Leave The City」で歌っているとおり、彼らを支えるファンの存在があるからだ。



▼リリース情報
TWENTY ONE PILOTS
ニュー・アルバム
『Trench』

2018.10.05 ON SALE!!
WPCR-18096/¥1,980(税別)
[WARNER MUSIC JAPAN]
amazon TOWER RECORDS HMV

1. Jumpsuit
2. Levitate
3. Morph
4. My Blood
5. Chlorine
6. Smithereens
7. Neon Gravestones
8. The Hype
9. Nico And The Niners
10. Cut My Lip
11. Bandito
12. Pet Cheetah
13. Legend
14. Leave the City

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