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FEATURE

AGAINST THE CURRENT

2018.10.04UPDATE

2018年10月号掲載

"話題の新人"から"真のポップ・スター"としての道を歩み始めた音が鳴る、AGAINST THE CURRENTの新作に注目せよ

ライター:TAISHI IWAMI

ギター・ヴォーカルのDan Gow、ドラムのWill Ferri、ギターと鍵盤のJeremy Rompala、ベースのJoe Simmons。AGAINST THE CURRENTはもともと男性4人で結成し、ニューヨークで活動していたバンドだった。彼らに転機が訪れたのは2011年の夏。紅一点ヴォーカリスト、Chrissy Costanzaが加入し、様々なヒット曲のカバーをYouTubeにアップしたことで、世界中から注目される存在となる。

同サイトにあるバンドのオフィシャル・アカウントに今も残っている、それらの動画を改めて振り返ってみた。原曲の良さを大切にしながらバンド演奏に落とし込んだサウンドと、新世代のポップ・アイコンとなるに相応しいChrissyの美貌と声。愚直且つ華やかなパフォーマンスは、デジタル世代の世界的成功を掴めるだけの、圧倒的な輝きに満ちている。

2014年に入りJeremy Rompalaは脱退、ベースのJoe Simmonsはサポート・メンバーとなり、現在の3人体制となったAGAINST THE CURRENTは、2015年2月に自主制作でEP『Gravity』をリリース。ダイナミックなロックと煌めくシンセ・サウンドが融合したタイトル曲、ONE OK ROCKのTaka(Vo)が参加した「Dreaming Alone」などに象徴される"ロックでエモいポップ・ソング"が大きな話題を呼び、同年春にはFueled By Ramenとメジャー契約を果たした。

Fueled By Ramenと言えば、かつてはFALL OUT BOYやJIMMY EAT WORLDらと深い関わりを持ち、現在はPARAMOREやPANIC! AT THE DISCO、TWENTY ONE PILOTSや前述したONE OK ROCKらも在籍する名門中の名門だ。その豪華なラインナップからもわかるように、2000年代のエモやポップ・パンクの隆盛を支え、そこにあるこだわりをもって以降の時流にも見事にハマり、商業的にはバンド不毛と言われる近年においても、持ち前のアンテナと発信力が色褪せないレーベル。おそらくはAGAINST THE CURRENTにとって憧れの場所だったのではないだろうか。実際に、鳴り物入りでリリースしたメジャー・デビュー・アルバム『In Our Bones』は、まさに期待どおり。エモいロックとキャッチーなポップスを絶妙にブレンドする感覚が、さらに豊かさを増したことと比例するように、Chrissyのヴォーカルも躍動。本国やUKのロック・チャートでも上位に食い込んだ。

そんなセンセーションから約2年と4ヶ月。ここに届いたAGAINST THE CURRENTの2ndアルバム『Past Lives』は、2017年に新曲を出さなかったことも納得できる、明らかにバンドが新たなフェーズに入ったことを示す作品となった。相対的に見たこれまでの作品との大きな違いは、ロック然としたギターの強いコード弾きや歪んだリフがないということ。曲に寄り添うように、優しく甘い単音のフレーズやリズミカルなカッティング主体のプレイが、ふんだんに散りばめられている。リズムは打ち込みも多く、シンセの色がより鮮やかに、激しいメロディの抑揚もヴォーカルのトーンも、"エモーショナルなロック"を比較対象にすれば抑えめなのだが、その一見落ち着いた装いが、凄まじくフレッシュでポジティヴな方向に向かっているのだ。AGAINST THE CURRENTは、もともとジャンルを問わず様々な曲をカバーしてきたことがルーツにある。その自由な発想をオリジナルの音作りにも取り入れるうえでの感覚を、じっくり煮込んできたのだろう。エレクトロニック・ポップやR&B、ディスコなどの幅広いリファレンスを、よりナチュラルにダイレクトにアウトプットできるようになったことで、エモーショナルな側面もむしろ際立っている。

各曲のメリハリや浸透度が格段に増し、デジタル世代が生んだユース・カルチャーのシンボルから、より広く遠くの人々に届く真のポップ・スターへ。想像していた以上の可能性を感じさせてくれるからこそ追いたくなるバンド、AGAINST THE CURRENTは、我々をまた新たな景色が見える場所へと誘ってくれるに違いない。


▼リリース情報
AGAINST THE CURRENT
ニュー・アルバム
『Past Lives』
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amazon TOWER RECORDS HMV

1. Strangers Again
2. The Fuss
3. I Like The Way
4. Personal
5. Voices
6. Scream
7. Almost Forgot
8. P.A.T.T.
9. Friendly Reminder
10. Come Alive
11. Sweet Surrender
12. NIJI ※ボーナス・トラック
13. Eyes Like Guns ※ボーナス・トラック

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