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FEATURE

GOOD CHARLOTTE

2018.09.13UPDATE

2018年09月号掲載

今を生きる若者にパワフルなバンド・サウンドと温かなメロディでエールを送る、時代を超越したポップ・パンクの魂がここに!

ライター:山本 真由

2000年代初め、誰もがGOOD CHARLOTTEを聴いていた。クラブでは「The Anthem」が文字どおりアンセムとなり、ヤング&ホープレスな若者たちが合唱。GOOD CHARLOTTEは特別なバンドだったのだ。当時の若者の代弁者であり、ファッション・アイコンであり、最もクールなパンク・バンドのひとつだった。あれから10数年、そんなキッズの象徴的存在だった彼らも大人になり、そして音楽シーンも大きく変化した。現在の邦ロックで育った子供たちの目には、彼らはどんなふうに映っているのだろう......? 名前は知ってるけど曲はよく知らない? 特にJoel Madden(Vo)、Benji Madden(Gt/Vo)のMadden兄弟は、ゴシップ・ニュースに登場するただのセレブのようなイメージになってしまったかもしれない。しかしながら、彼らは決してまだ古くもなく、ダサくもなく、そして実はそんなにみんなとかけ離れた大人でもないんだということを、ここで伝えたい。


1996年の結成から今年で22年、1stアルバム『Good Charlotte』のリリースから18年。デビュー作から成功を収めた彼らだが、その早すぎる成功は彼らにとって必ずしもいいことずくめではなかったのではないかと思う。ギター2本とバックパックと50ドルだけを持って家を出た16歳の少年たちは、自分たちの力で貧困から這い上がり、大好きな音楽をファンと共有した。さらに、イラストやデザインも得意なギターのBilly Martinは、"Level 27 Clothing"という服飾ブランドを立ち上げ、当時のパンク・キッズ、エモ・キッズがこぞって身につけたし、"SUMMER SONIC"や単独公演などでの来日も果たし、特に2005年の"SONICMANIA"(※当時はまだ"サマソニ"の前夜祭的なイベントではなく、冬に独立したフェスとして行われていた)ではヘッドライナーも務めるなど、親日家として知られる彼らの人気はここ日本でも圧倒的だった。

だが、そこで得た商業的な成功により、彼らを利用する大人が現れるなど、恵まれたサポート体制とは言えない状況に、彼らは孤独感も感じていく。さらに、キャッチーなポップ・パンクでヒット・チャートに名を連ね、ゴシップ記事に載るたびに、"自分たちがリッチ&フェイマスじゃないか"という批判も浴びてしまう。もちろん、バンドには歴史があり、ストーリーがあり、一朝一夕にリッチになったわけではないし、彼ら自身にも成功を収めたことに付随する理不尽な諸々に対して困惑があったというのに。それに対して彼らがしたことは、ただひたすらに作りたい音楽を追求することだけだったのだが、ポップ・パンク・ブームが去ると、そんな彼らを"過去のバンド"と見なすリスナーも増えてしまうのだ。実際、2007年リリースの『Good Morning Revival』まではプラチナ・ディスク、USチャートで10位以内をキープし続けていたが、2010年リリースの『Cardiology』では、「Like It's Her Birthday」などのシングル・ヒットはあったものの、売り上げもチャートもそれまでほど伸びることがなかった。

その後、2011年から約4年GOOD CHARLOTTEとしての活動を休止し、充電期間に入る。しかし、それはネガティヴな停滞ではなかった。JoelとBenjiはTHE MADDEN BROTHERSとして、GOOD CHARLOTTEではできない自由なポップ・ソングを楽しみ、また、TONIGHT ALIVEや5 SECONDS OF SUMMERのソングライティングに参加するなど、若い世代のバンドのサポートも積極的に行っている。


そうして充実した休止期間を経た彼らは、2016年、『Youth Authority』という、まさに彼ららしいアルバムでシーンにカムバックする。そのポジティヴなパワーに満ちた楽曲の数々と、相変わらず自然体にキャッチーなものを生み出すソングライティングのセンスに、多くのリスナーが彼らを再評価したことだろう。特に、「Makeshift Love」の初期GOOD CHARLOTTEを思わせる、ポップ・パンク・テイストのサウンドとハッピーなミュージック・ビデオは、昔からのファンを喜ばせたはず。彼らは、『Youth Authority』リリース時のインタビュー(※2016年9月号掲載)で、デビューから怒濤の如く過ぎ去った日々とその困難な青春時代を振り返って、"ヤク中や完全な廃人にならなかったのは奇跡だ"と語ったが、たしかにそのとおりだと思う。多くの若い成功者やヤング・セレブなんて呼ばれる人たちは、どこかで心を病んだり、ドラッグに逃げたり、金銭的問題を抱えたりと、その後も成功者であり続けることは難しいものだが、彼らは地に足の着いた活動と自らの信じた音楽によって、周りからのプレッシャーに潰されることなくバンドを続けてきた。


音楽スタイルではなく、精神的なものとしてのパンク・ロックを体現する、バンドの哲学を表現した作品


そして、そんな復活作を経ての今回のニュー・アルバム『Generation Rx』。今作では、BenjiがZakk Cerviniと共にプロデューサーとしてクレジットされているのも興味深い。Zakk Cerviniは、これまでにBLINK-182やONE OK ROCKなど、数多くのパンク/ラウド系バンドのアルバムに関わってきた敏腕だし、GOOD CHARLOTTEにとっては前作でもエンジニアとして関わっていて、信頼のおける相談役だったのではないか。そういったバンドとしての意志を表現しやすい環境で制作されたアルバムは、音楽スタイルではなく、精神的なものとしてのパンク・ロックを体現する彼らの、その哲学を表現した作品とも言えるものになった。まず、映画音楽のようなTrack.1の「Generation Rx」で幕開け。そして、続くTrack.2「Self Help」のアグレッシヴなイントロにはいきなりテンションが上がるし、エモーショナルなサビメロになだれ込む展開も感動的だ。

Track.3「Shadowboxer」、Track.4「Actual Pain」、Track.5「Prayers」に関しては、すでにミュージック・ビデオが公開されているが、どの楽曲も壮大で力強いロック・サウンドで、困難な状況や心の葛藤と戦う人々を描きながら、その視点は実に人間的で温かい。特に「Prayers」のビデオに関しては、その対価が移民や難民を支援する団体に寄付されるということなので、社会的にも大いに意味のある作品だ。その他にも、アルバムを通して、全体を彩る迫力のあるバンド・サウンド、そしてひとつひとつのリリックを丁寧に紡ぐ美しいメロディがある。そこには、GOOD CHARLOTTEというバンドの20年の軌跡と、彼らにしか語れない現代の若者への真摯なメッセージが詰まっているのだ。それは彼らが、バンドを支えてくれたファンや家族、仲間に感謝しつつ、大人になったことを言い訳にやりたいことから逃げずに、前に進み続けてきたことを示している。これは"Generation Rx"="処方箋が必要な若者たち"に寄り添い、力づけるアルバムなのだ。


▼リリース情報
GOOD CHARLOTTE
ニュー・アルバム
『Generation Rx』
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2018.09.14 ON SALE!!
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[WARNER MUSIC JAPAN]
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1. Generation Rx
2. Self Help
3. Shadowboxer
4. Actual Pain
5. Prayers
6. Cold Song
7. Leech (Feat. Sam Carter)
8. Better Demons
9. California (The Way I Say I Love You)

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