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FEATURE

JUDAS PRIEST

2014.07.11UPDATE

2014年07月号掲載

不死鳥メタル・ゴッドが渾身のニュー・アルバム完成

Writer 荒金 良介

JUDAS PRIESTが17thアルバム『Redeemer Of Souls』を遂にリリース!邦題は『贖罪の化身』と命名されている。"贖罪"という言葉を広辞苑で引くと、犠牲や代償を捧げることによって罪過をあがなうこと、と説明されている。また、キリスト教用語でもあり、キリストが十字架の死によって人類の罪を償い、救いをもたらしたという教義の1つだ。真意はわからないが、イマジネーションを刺激されるアルバム名であることは間違いない。


前作から6年の歳月を経て発表される新作ということもあり、待ちに待ったファンも多いことだろう。メタル・ファンならずともバンド名は耳にしたことがあるだろう、超ビッグネームだ。とはいえ、彼らも順風満帆でこの新音源を作り上げたわけではない。2011年から2012年にかけて、最後のワールド・ツアーと銘打たれた"Epitaph Tour"発表後に、なんとオリジナル・メンバーのK.K.Downing(Gt)脱退というニュースが飛び込んできた。バンドの存続すら危ぶまれる激震に見舞われたが、その険しい道のりを無事に乗り越えた。2012年に行われた日本公演では新しく加入したRichie Faulkner(Gt)を含む新体制で、JUDAS PRIEST健在を高らかにアピールする。だが、それで一安心とはいかない。それからまた4年の時が流れたわけで、バンドはどうなっているのか、アルバムは作るのか、ドキドキしながら動向を気にしていた人も多いに違いない。しかし、ここに正真正銘の新曲群が届いた。早く聴かせろ、という熱心なリスナーの声が耳に入ってきそうだが、中身に関しては後で言及したい。


歴史が長いバンドだけに、ここで軽くバンドのプロフィールに触れておこう。もともとK.K.DowningとIan Hill(Ba)が組んでいたバンドに、Rob Halford(Vo)、John Hinch(Dr)が加入し、1972年にバンドはイギリスはバーミンガムにて産声を上げた。1974年にGlenn Tipton(Gt)が加わり、ツイン・ギター体制の5人組が整い、同年に『Rocka Rolla』でデビューを果たす。音質はお世辞にも良いとは言い難く、JUDAS PRIEST夜明け前というマニア向けの作風だ。翌年にはドラマーがAlan Moore(Dr)に交替し、2ndアルバム『Sad Wings Of Destiny(邦題:運命の翼)』を完成。楽曲クオリティは一気に向上し、初期の名作と言える音源でブリティッシュ・ハード・ロック/ヘヴィ・メタルの威厳さえ漂ってくる。そして、メジャーのCBSと契約を結び、Simon Phillips(Dr)が参加して3rdアルバム『Sin After Sin(邦題:背信の門)』をリリース。その後、正式メンバーにLes Binks(Dr)を迎え、4thアルバム『Stained Class』を発表し、全英27位をマークして好セールスを記録した。「Exciter」に代表されるようにシャープなメタル・サウンドが存分に味わえる誉れ高き傑作の1つで、Rob Halfordのハイトーン・ヴォイスはメタル・ヴォーカリストのお手本と言える強烈な個性を放っている。また、屋台骨を支えるドラマー交替も激しく、ここでDave Holland(Dr)が入って『British Steel』が制作され、初の全英トップ10内に食い込むヒット作になった。ジャケットのカミソリが象徴するようにリフに次ぐリフの嵐、メタルのコアを凝縮したシンプルかつ破壊力抜群の楽曲が目白押しだ。「Breaking The Law」、「Matal Gods」、「United」などミドル・テンポの重厚なナンバーで攻める名曲のオン・パレード。『Point Of Entry(邦題:黄金のスペクトル)』を挟み、全米で200万枚以上のセールスを記録した『Screaming for Vengeance(邦題:復讐の叫び)』、『Defenders Of The Faith(邦題:背徳の掟)』と黄金期到来と言えるハイクオリティ作を連発する。もしこれからJUDAS PRIESTを聴いてみたいという若いリスナーならば、この2枚が入門編にはピッタリと言えるだろう。楽曲、作品のトータル性においてもヘヴィ・メタルは何ぞや、という問いに答えてくれる秀逸作だ。シンセ・ギターを導入し、ファンの間で賛否を呼んだ『Turbo』(個人的には好きだが)を発表。『Ram It Down』を挟み、今度はScott Travis(Dr)を加え、『Painkiller』を世に送り出す。これがソリッドでスピーディーなヘヴィ・メタルの魅力を詰め込んだ後期の傑作である。しかし、ワールド・ツアー終了後、バンドは活動休止状態に陥り、しばらくした後、Rob Halfordは自分のプロジェクト、FIGHTに専念するため、バンドを脱退した。希代のヴォーカリストを失ったものの、本体は若きフロントマンTim'Ripper'Owens(Vo)を迎え、『Jugulator』をリリース。2003年には再びRob Halfordが電撃復帰し、それ以降は作品&ツアーと精力的に活動を続けている。


随分引っ張ったが、ここで本題に入ろう。前作『Nostradamus』はバンド初のコンセプト・アルバムで、2枚組という大作だった。表題通り、ノストラダムスの題材にしたメタル・オペラ仕立てで、キーボードやストリングを導入した重厚長大な作風が並んでいた。今作はあれから期間が空いたことも関係しているのか、実にJUDAS PRIESTらしい音源に仕上がった。バンドの声明文を一部抜粋すると、"怒濤のギター・ソロとリフ、雷のように轟くドラム、骨太のベース・グルーヴ、そしてすべてを切り裂くようなヴォーカルだ"と書かれている。今作はほぼミドル・テンポ主体の楽曲が揃い、重いリフと鋭いフレーズで押しまくる楽曲が揃っている。 雷鳴と雨で始まるオープニング曲「Dragonaut」から、これぞJUDAS PRIESTと言える鋭いリフと流麗なギター・ソロが耳に飛び込んでくる。表題曲「Redeemer Of Souls」は一瞬『Painkiller』時代の楽曲を彷彿させるギター・フレーズが織り込まれ、叙情的なメロディにゾクゾクさせられる。「Halls Of Valhalla」は抑揚のある歌メロがユニークで、後半にはRob Halfordの真骨頂と言えるハイトーン・ヴォーカル、また、荘厳なムードさえたたえた重厚なコーラス・ワークもかっこいい。今作の中で唯一6分越えという長尺曲だが、全くダレずに聴ける。アルバムのおヘソに位置するTrack.4「Sword of Damocles」も非常に興味深い。随所にブルージーなギター・フレーズが差し込まれ、Rob Halfordの透明感を帯びた優しい歌声、慈愛に満ちたメロディ・ラインも美しく、風景がガラッと切り替わる曲展開でも惹き付ける。どこか、初期のPRIESTを思わせるウェットな質感も心の琴線に触れる。作品の最後を飾る「Beginning of the End」という曲名も意味深だが、約40年のバンド・キャリアを包括した集大成的作品と言えるかもしれない。ヴォーカル、演奏の一音一音が重く、逞しく、凛々しい。これぞJUDAS PRIESTだ!



JUDAS PRIEST『Redeemer Of Souls』
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